上 下
265 / 372
10章動き出す者たち

204話 やっと帰って来た

しおりを挟む
「来た来た、スイちゃんリサたちやっと帰って来たよ」


カッシュからの連絡から1か月、なかなか帰ってこなかったから心配してました。


「ホントだ、よかったねーマコッチ、マリン3枚チェンジだよ」


「はいスイ様」


スイちゃんの反応が冷たいです、まあ気持ちはあっちに行ってるのよね。


「スイちゃん、話すときはちゃんと顔を見る」


私はスイちゃんの顔をこっちに向かせました、最近集中し過ぎてるのよ。


「ああ!?何するのさマコッチ」


「ポーカーもいいけど、ダンジョンでしょスイちゃん、ほらほら」


ホント、ゲームが絡むとダンジョンがおざなりねスイちゃん。


「もうわかったよ・・・あれ?なんだか動きが変じゃないかな」


やっと画面を見たと思ったらスイちゃんがそう言ってきたわ、鋭いわね。


「アンナがちょっとね」


「ふぅ~ん、その言い方だと知ってるんだね、どうしてなの?」


「今日はギルドの転移の日なのよ、きっとカッシュからの手紙を早く受け取りたいんだわ」


向こうですごく親しくなったらしいわ、だから手紙のやり取りをするって報告があったの。


「そうなんだ、でもそれだけであんな感じになるの?相当急いでるけど」


アンナが素早く動いてモンスターを倒しているわ、これはオーバーワークよ。


「リサたちがカバーしてるから平気よ、でもこれはちょっと心配ね」


空回りしてみんなに迷惑を掛けてるって感じなのよ、まあ今日だけかもしれないから平気だと思いたいわね。


「他のPTは順調だねマコッチ」


「ええ、あと少しで70階のボスね、楽しみだわ」


ガラングランが先だけど大体同じね、まあチーチャムちゃんの装備の差かな。


「うんうん、順調順調、さぁポーカーやろうか」


「スイちゃん!・・・まあ順調なのはそうだけどね、もういいわよ!私が見るから」


そう言って私だけで画面を見始めました、ほんとに順調なのよ。

不測の事態も起きないしね、でも普通の冒険者は今低迷しているのよね。


「さてと他の冒険者はっと」


一番先に来ている普通の冒険者はやっと50階のボス前ね、もう少ししたら挑むんじゃないかしら、後はもっと上ね。


「新人たちはまだ20にも来てないか、アルエドたちが先頭って感じ・・・それにしても隠し通路には誰も気づかないわね」


気付かない方が良いんだけど、これだけ気付かないとつまらないわ。


「まあスキルで見つけられないからしょうがないけど、もう少し探さないのかしら」


上の階だからなのかな?まあ変える気は無いからしょうがないわね。

気長に見るしかないわよね、いま一番心配なのはやっぱりリサたちよ。




《63階では》


「リン!早くそいつを抑えろ、俺がとどめを刺す」


「もう!アンナちゃん早いよ」


「はぁ~やっぱり今日はやめるべきだったわ」


リサです、私は今後悔しています、最初から分かっていたの。


「リサ、サポート出来ない」


「ごめんねヴェル」


ヴェルが詠唱をするんだけど、アンナが敵を倒してしまって魔法をキャンセルすることが頻繁に起きてるわ。

魔法のキャンセルは使う魔法の魔力が戻るわけでは無く半分くらい使ってしまうの、だからすごく怒ってるわ。


「もう!アンナいい加減にしてよ」


「そうだよアンナちゃん」


「だってよぉ・・・そうだな焦ってもしょうがねぇか」


ティアとリンに怒られてすぐ反省してるわ、でもまだ落ち着きがないの、こうなるってわかってたのにここに来たのは、アンナに頼まれたからなのよ。


「じゃあそろそろ下の階に降りて帰りましょ」


「いや待て待て!もう少し付き合ってくれよリサ」


アンナは今カッシュに勝ちたくてがむしゃらに戦ってるの、そして今日送られてくる手紙も待ってるから、もうどうしようもないって感じね。


「じゃあ少し休憩しましょ、丁度あそこにオアシスがあるわ」


私たちは休憩の為にオアシスに立ち寄り、少し話をしたわ。


「全く、そんなにいい男なの?」


「な!?」


「私も聞きたいなぁアンナちゃん」


「ん、聞きたい、聞かせて」


みんなはまだあまり知らないの、旅の途中で話はしたけど断片的だし、そもそも知り合って1ヶ月くらいしか一緒にいなかったのよ。



「い、いいじゃねぇかそんな事」


「良くないわよ!その人のせいで今大変なんでしょ、聞く権利があるわ」


「そうだよアンナちゃん、ダメって言っても聞くからね」


「ん、絶対聞く」


アンナに詰め寄って聞こうとしてるわ、私に名前を聞いて来た時と同じね。


「あ、あいつは優しい奴だ」


「フンフンそれで」


「強さも相当だな」


「それは今のアンナちゃんを見れば分かるよ、それで」


ティアとリンがすごく食いついてるわ、ヴェルは少し飽きてるわね、旅の途中で聞いた内容だものね。


「村にいた時に何度か相手をしたんだが、勝てなかった」


「「「え!?」」」


3人が驚いてるわ、まぁそうよね今の私たちはすごく強いものね。


「嘘だー!アンナちゃん、その人が好きだからって顔を立てたんでしょ」


「んなことするかよリン、ほんとに強いんだって」


リンがアンナと言い合いをし始めたわ、でもティアとヴェルは考え込んでるわね、きっと気付くわね。


「リサもしかして」


「説明」


「やっぱり解るわよね、そうよそのカッシュって人はマコッチ関係よ」


「「やっぱり」」


2人が納得しているわ、アンナは気付いてないの、恋をしてるからそれどころじゃないのよ、旅の途中でも手紙の書き方をどうしようか聞いてきて大変だったんだから。


「じゃあその人とはうまく行くのかしらリサ」


「ん、気になる」


「そうねぇ~告白はしたから」


「「え!?」」


あら、私口が滑ったかしら?


「も、もうしたの!?あのアンナが」


「ジュジュにしなかったのに?」


ヴェルは知ってたのね、まあ一緒の時にでも聞いたのかな。


「ええ、だから手紙のやり取りをしてるのよ」


「なるほどねぇ」


「ん、納得」


2人が頷いてるわ、分かってくれて良かったわ。


「だから温かい目で見ててあげてね二人とも」


「まぁ」


「ん、アンナが幸せならそれでいい」


良かったわ、これなら心配しなくても良さそうね。


「でもリサ、こんなことが続くと困るわよ」


「それは私も感じてるわティア、だから帰ったら忠告をするつもりよ」


それでダメならマコッチにお願いして、カッシュをこっちに移動してもらうわ、一番いいのは私たちのPTに入る事だけど、あのアツアツをずっと見てないといけないのよねぇ。


「よろしくねリサ、ほらリン!そろそろ休憩しなさい」


ティアがリンを呼んでアンナも来たわ、少しは話したのかしらね。


それから私たちは少し落ち着いて狩りをして街に戻りました、ちなみに手紙は私たちの前で音読させたわ、罰としてね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】彼女を妃にした理由

つくも茄子
恋愛
ファブラ王国の若き王が結婚する。 相手はカルーニャ王国のエルビラ王女。 そのエルビラ王女(王妃)付きの侍女「ニラ」は、実は王女の異母姉。本当の名前は「ペトロニラ」。庶子の王女でありながら母親の出自が低いこと、またペトロニラの容貌が他の姉妹に比べて劣っていたことで自国では蔑ろにされてきた。今回も何らかの意図があって異母妹に侍女として付き従ってきていた。 王妃付きの侍女長が彼女に告げる。 「幼い王女様に代わって、王の夜伽をせよ」と。 拒むことは許されない。 かくして「ニラ」は、ファブラ王国で王の夜伽をすることとなった。

single tear drop

ななもりあや
BL
兄だと信じていたひとに裏切られた未知。 それから3年後。 たった一人で息子の一太を育てている未知は、ある日、ヤクザの卯月遥琉と出会う。 素敵な表紙絵は絵師の佐藤さとさ様に描いていただきました。 一度はチャレンジしたかったBL大賞に思いきって挑戦してみようと思います。 よろしくお願いします

[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

はな
BL
佐藤雪には恋人がいる。だが、その恋人はどうやら周りに女の子がたくさんいるハーレム状態らしい…どうにか、自分だけを見てくれるように頑張る雪。 果たして恋人とはどうなるのか? 主人公 佐藤雪…高校2年生  攻め1 西山慎二…高校2年生 攻め2 七瀬亮…高校2年生 攻め3 西山健斗…中学2年生 初めて書いた作品です!誤字脱字も沢山あるので教えてくれると助かります!

愛された事のない男は異世界で溺愛される~嫌われからの愛され生活は想像以上に激甘でした~

宮沢ましゅまろ
BL
異世界ミスリルメイズ。 魔物とヒトの戦いが激化して、300年。 この世界では、無理矢理に召喚された異世界人が、まるで使い捨てのように駒として使われている。 30歳になる、御厨斗真(トーマ)は、22歳の頃に異世界へと召喚されたものの、異世界人が有する特殊な力がとても弱かった事。色々あり、ローレンス辺境伯の召使として他の異世界人たちと共に召し抱えられてることになったトーマは時間をかけてゆっくりと異世界に馴染んでいった。 しかし、ローレンスが寿命で亡くなったことで、長年トーマを狙っていた孫のリードから危害を加えられ、リードから逃げる事を決意。リードの妻の助けもあって、皆で逃げ出すことに成功する。 トーマの唯一の望みは「一度で良いから誰かの一番になってみたい」という事。 天涯孤独であり、過去の恋人にも騙されていただけで本当の愛を知らないトーマにとっては、その愛がたとえ一瞬の過ぎたる望みだったとしても、どうしても欲しかった。 「お前みたいな地味な男、抱けるわけがないだろう」 逃げだした先。初対面でそう言い切った美丈夫は、トーマの容姿をそう落とした。 好きになれるわけがない相手――本当ならそう思ってもおかしくないのに。 トーマはその美丈夫を愛しく思った。 どこかやさぐれた雰囲気の美丈夫の名前は、フリードリヒという。 この出会いが、誰にも愛されなかったトーマの人生を変える事になるとは、この時はまだ知らなかった。 辺境の国の王太子×内気平凡異世界人 ※二章から二人の恋愛に入ります。一章最後当て馬(?)がちらりと出るあたりでちょっとムカつくかもしれませんので、気になる方は二章始まるまで待機をお勧めします。◆平日は1回更新、休日は2回更新を目指しています。 イラスト:モルト様

完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!

音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。 頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。 都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。 「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」 断末魔に涙した彼女は……

巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛
ファンタジー
 主人公である鳳(おおとり) ユウマは、いつもと違う帰宅コースを通り帰宅中に従姉妹達が交通事故に会いそうになるところに遭遇、奇跡的に助けることに成功した。  それと同時ぐらいに何か普通では考えられない事がおきて、その子達と共に見知らぬ部屋の中にいた。そこはどうやら神の部屋らしくそこで重大な話を聞きユウマ以外は確実的に異世界へ転移する事になる。  しかしユウマ自身は、この場所に巻き込まれてやったて来ていたので、元の場所に戻る事もできたが、知り合いの子達を見捨てる事ができず共に異世界に行く事にしたのだ。  そして、ユウマに関わった人や生物?の運命を変えることになり、そして自重を知らない転移者達は、周りを巻き込みハチャメチャな事を行うことになっていくのであった。

邪悪な魔術師の成れの果て

きりか
BL
邪悪な魔術師を倒し、歓喜に打ち震える人々のなか、サシャの足元には戦地に似つかわしくない赤子が…。その赤子は、倒したハズの魔術師と同じ瞳。邪悪な魔術師(攻)と、育ての親となったサシャ(受)のお話。 すみません!エチシーンが苦手で逃げてしまいました。 それでもよかったら、お暇つぶしに読んでくださいませ。

悩ましき騎士団長のひとりごと

きりか
BL
アシュリー王国、最強と云われる騎士団長イザーク・ケリーが、文官リュカを伴侶として得て、幸せな日々を過ごしていた。ある日、仕事の為に、騎士団に詰めることとなったリュカ。最愛の傍に居たいがため、団長の仮眠室で、副団長アルマン・マルーンを相手に飲み比べを始め…。 ヤマもタニもない、単に、イザークがやたらとアルマンに絡んで、最後は、リュカに怒られるだけの話しです。 『悩める文官のひとりごと』の攻視点です。 ムーンライト様にも掲載しております。 よろしくお願いします。

処理中です...