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6章不穏

閑話 コンタクトを取ろう

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「やっぱり変だよなぁ」


「何がだよアリト」


仲間のリオルが俺の独り言に反応して言ってきた、久しぶりだがガラングランのリーダーアリトだ、俺は最近気にかかることが多い。

今はコルル街の地下にある銅貨1枚宿で会議中だ。

ほんとはあの石で40階に転移出来るんだが、コルル街の宿がいっぱいだったんだ、それにここの方が安いんだよ。

まぁかなり進まんと宿まで来れないから誰もしないことだがな。


「あのPTの装備だ、いきなりいい物が揃い過ぎだとは思わんか?」


「ああサンダーボルトの事か、そりゃーあれだけ宝箱から出るんだ、運が良ければ揃うだろ」


まあ確かに運が良ければ揃うかもしれん、現に俺たちの装備も半分はそういった装備だ、それに新しく入った魔法拳闘士のキバルも、武器はかなり高い付与の装備を付けている。


「まあそうなんだが・・・それだけじゃない、能力が高い気がする」


「それはレベルじゃないのかな?」


俺とリオルの話に入ってきてキバルが言ってきた、チーチャムとキャスとアスリンは違う話で盛り上がっている、何でもマーコト商会の新商品を手に入れたとか言ってたな、フクブクロって名前らしい。


「俺たちよりも先に50階のボス討伐だぞ!俺はあいつらをよく知っているんだが、ここに来た時は20レベルくらいだったはずだ、レベルだったとしたら相当上がっている、それは不自然だ」


俺は二人にそう言った、同じように冒険者として生活をしているんだ、俺たちと同じ位のレベルで40から50のはずだ、それなのに強すぎる。

俺たちも今50階のボスを倒せるか調べに行こうとしているが、41階からはまた動くダンジョンになっていた。

それにモンスターがまた厄介なんだ、リザードマンの小さいのはまだいい、問題は鎧のモンスターやゴーレムだ、あいつらは堅いんだ、40階のボスも堅かったが、それよりも少し硬くないって感じなんだ。


そこを俺たちよりも早く進んでいる、きっと何か隠しているはずだ、別にそれに文句はない、隠すことで自分たちが優位に立っているのだからな。


だがそんな方法があるなら知りたい、交渉の場を作りたいほどだな。


「てことはだ、考えられるとしたらやはり装備か?」


俺がそんな事を考えていたらリオルが話しを進めた、確かにそれしか考えられないな、資金があればアクセサリーを買って強化するということだな。

俺たちも最近はかなり資金が手に入っている、報酬は個人に分けているが、そこから2割をPTで貯めておくようにもしたんだ、そうすれば緊急の時なんかにそこから使えるからな。

それほどに余裕がある、だからあいつらは装備に金を使っているって事だろう。


「まあそうだろうねリオル、オイラも速さの上がる指輪を装備してるけど、それだけでもすごく違うもん」


確かにキバルの速さはリオルの上をいっている、獣人だしな・・・そうか!?そういった装備も付けていたのか。


「ずりぃぞキバル!この前手合わせした時もそれで俺に勝ったんだな」


「あ、あの時はしてなかったよ、ほんとだよ!その後である人から譲って貰ったんだ」


俺は二人のじゃれ合いを聞いていて聞き逃したが、すぐに質問した。


「キバルある人って誰だ、そんな珍しい装備をくれる人なんているのか」


「ああ、みんなは試験に合格したって言ってたから言うけど、オイラはその人から君たちを支援するように言われてPTに入ったんだ、入れてくれなかったら大変だったけどね、はは」


初耳だ、確かにキバルは何故か新人なのに俺たちと対等なほど強い、最近ではいなくなったが、少し前はすごい数の新人強者がここに来た。

もしかしてあれもその、ある人が絡んでいたのか?


「分かったみたいだねアリト、君が推理したとおりだよ、多分ね」


「良く分かんねぇよアリトにキバル、要は俺たちは試験ってのに合格してどうなるんだ?」


リオルが頭をかきながら言ってきた、確かに他人なんてどうでもいいか、俺たちは合格したとキバルは言っているがよく分からんからな。


「これからその人が支援してくれるんだよ、これはすごくラッキーで名誉あることなんだ、まぁあの人本人はそう思ってないみたいだけど、ホントにすごい事なんだよ!」


少し興奮気味に言っているが、ある人ではな、かなり怪しいぞ。


「名前は言ってくれんのか?さすがに胡散臭すぎるぞキバル」


「まぁそうだねアリト、名前の方は会ってから聞けばいいよ、二人は知ってるかな守護の女神の噂」


守護の女神!?それはエントロス国で冒険者をしていれば誰だって知っている、特にここのダンジョンだな。

その女神がダンジョンの中を見ていて、あの救済の天使を使って俺たちを救っていると言う話だ。


他にもエントロス国の村々を救っているとも聞いたことがある、だがそれは住民が勝手に言っていることだ、他にも戦争で救ってくれたとか、色々言われているがそれも噂だ。


「それを知らないのは新人くらいじゃねぇかな?・・・いや新人でもあの天使は見てるから知ってるか」


「そうだね、クリス姉さんは頑張ってるもんね」


「ん!クリス姉さんって誰だ?」


「あ!?」


キバルが口を押えている、あの天使の名前なんて誰も知らんぞ、知っているとしたらその本人か主くらいだろう。

まあ主がいるんであればだがな、誰も会ったことがないんだ、いないかもしれんだろ?

噂なんてそんなもんだ、まして女神がいるだなんてな。


「キバル、もう遅いぞ、そうかお前もあの天使と同じってわけか」


「うぅ、そこまで言うつもりはなかったのに、オイラ怒られるかな」


「平気さキバル、一緒に怒られてやんよ」


リオルが良い笑顔をして言っている、まぁそうだな、会うならその時は一緒だな、問題は会うかどうかだ。


「ありがとリオル」


「べ、別にお前の為じゃねぇよ、PTの為さ!お前がいなくなったらまた虫とかとの戦闘が大変になっちまうからな」


「えへへ、そうだね」


リオルが赤くなってるよ、まあしばらく経つがこいつは恐らくキバルが好きなんだな、応援はするぞ。


「じゃあアリト、いつマコッチ様に会うかな、連絡しておくよ」


キバルがまた口を滑らせている、まだ気づいていないなこれは、これ以上は可哀そうだな。


「そうだな、今回の探索を終わらせてからが良いな」


「分かったよ、マコッチ様に伝えておくよ」


会う前提で話しが進んでいるが、少し抜けているキバルの主だからな、悪い奴ではないだろう。

それに支援をしてくれるなら願ってもない。


「なぁキバル、さっきから言ってるマコッチ様って誰だ?そいつがお前やあの天使の主なのか?」


「あ!?」


キバルがまた口を押えている、それを見てリオルも口を押え始めた・・・もう遅いぞ。


「のおぉー!どうしよぉー」


「ま、まぁ頑張れ」


俺はキバルの肩を軽くたたいて励ました、これくらいしか出来んよ、リオルは赤くなって横を向いて笑っていたな。

それから数日後、俺たちはその女神に会う事が出来た。
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