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6章不穏

閑話 成人式を見に行ったら

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「立派になったんだねイネア」


どうもジェヅです、僕たちは今エントロス国の王都ビストスにいます。

2人と結婚したとイネアに報告がしたいのと、成人の儀を見るためですね。

そして今行進を眺めていてイネアが歩いてるんですよ、見つけるの大変でした。


「あれがイネアね、ジェヅと同じでかわいい子ね」


「ほんとですね、あの子にお姉さんって言われるんですね、ふふ」


キャティとリズが上を向いて考え込んでいます、きっとイネアにお姉さんって呼ばれた時の事を想像しているのでしょう。


「はぁ~カイズがいなくて正解でした、きっと笑われていましたね」


カイズとゼタとファルは今別行動中で今頃はダンジョンで頑張っている事でしょう。


「ここがその噂の商会の店?キャティ」


「うん、そのはずだよジェヅ」


「すごい大きなお店ですね、それに人が沢山です、ヴェルンの街でもここまではいませんよ」


成人の子たちのパレードが終わり、解散したので僕たちは店に来ました、来たんですけど困りましたね。

キャティとリズと僕は驚いています、中央区にあったことも驚きですけど、行列がすごいんですよ。


「ど、どうしようか、こんなに混んでると迷惑だよね」


「何言ってるのジェヅ!中に入って店員に言えばいいのよ、さぁ行くわよ」


キャティが僕の腕を引っ張ってきました、しょうがないので列の最後尾に並びましたよ。


「はぁ~長いよキャティ」


「それはそうよ最後尾だもん」


「どうにかできませんかね、ぜんぜん進みませんよ」


リズが背伸びをして列の先を見ています、確かに全然進んでいません、何でですかね?


「ジェヅ兄さま!?」


僕は急に名前を呼ばれたので振り向くと、イネアが立っていました、服は成人の儀で着ていた緑色の服です、成人の儀は仕事が決まっている子は仕事着で、まだな子は白い服を着ることになっています。

まぁ平民の子たちは大抵仕事着です、貴族の子が白ですね。


「や、やぁイネア、成人おめでとう」


「ありがとうございます兄様(ほんとにいました)それで兄様、どうしてここに並んでいるんですか?」


どうしてかイネアが質問してきました。


「だってイネアに会うには店に入らないといけないだろ、だから並んで入ろうかと思ってたんだ」


「そうだったのですか、この列はフクブクロっていう商品を買う為に並んでいるんですよ、店に入る為ではないんです」


「「「え!?」」」


僕たち3人は驚きました、特に僕はホントビックリです、この世界に来て福袋って言葉を聞くとは思いませんでしたよ。

確かに今は年を越したばかりですから、日本で言ったら正月なのかもしれませんが、この世界ではそれは存在しません。

ただ年が変わり、みんなが1歳年を取るだけなんです、まあ成人の儀でお祭り騒ぎになりますけど、それだけです。


「お茶だよー」


「「「ありがとうございます」」」


僕たちはイネアに店の3階に案内され今応接室のような部屋にいます、そして獣種のウサギの子がお茶を持ってきてくれました。


「ん~美味しい!」


「ほんとですね、さすがマーコト商会です」


キャティとリズが嬉しそうにお茶とお菓子を食べています、確かに美味しいのですが、これって午〇ティーだよね、紙パックだし。

それにお菓子も向こうの世界で見たことがある袋に入ってます。


「どうもお待たせして申し訳ないワン」


犬の獣種が部屋に入ってきて、すぐに謝罪を言ってきました。


「いえ、僕たちもこんな忙しい時に急に来てしまいすみません」


「イネアの成人式ワン、お兄さんが来るのは分かっていたワンよ、でもどうしても忙しかったワン、謝るのはこっちワン」


随分しっかりした獣種ですね、僕はこの世界に来てそれほど他の種族を見ていませんが、本とかで調べて知っています、獣種にこれほど教育をする者は聞いたことがありません。


それにあの商品を見る限り、僕と同じ人がいますね。


「イネアはホントはお休みだったワン、それなのに仕事をすると聞かなかったワン、これで休みに出来るワン、イネアお兄さんと話すといいワン」


「はい分かりました、ありがとうございますシェーバさん」


イネアにシェーバと呼ばれた犬の獣種と、ウサギの獣種が部屋の外に出て行きました。

部屋に僕たちだけになると凄く静かになりましたよ、誰も話さないです・・・き、気まずいです!なんですかこの空気は。


「それで兄様、お二人を紹介していただけますか?」


「あ、ああそうだね、ごめん」


僕は二人を紹介しました、まだ結婚をしたとは言っていません、だって紹介している最中もイネアの顔が笑顔なのに怖いんですよ。


「そうですか、PTの仲間なんですね」


「そ、そうなんだ、とても頼りになるんだよ」


僕が二人を見ながらそう言うと2人が顔を赤くしていました、とてもかわいいですね・・・でもイネアは。


「そうですか、私が大変な時にお兄様はお二人と仲良くしていたのですね、私は忘れられてしまったんですね、うぅ~」


イネアが手で顔を隠して泣きだしていまいました。


「そ、それは違うよイネア!イネアを忘れた事なんて」


「ふふふ嘘ですよお兄様、お変わりなくて安心しました」


嘘泣きだったのか・・・そういえば勉強を教えていた時、良く使ってたっけなイネアは、懐かしいな。


「良かったです、お兄様が幸せそうで」


キャティとリズを見ながらそう言って来ました、分かっているようですイネアは、それに頷き合っています、それで分かるの3人とも!僕だったら分かりませんよ。


「キャティさんそれにリズさん、お兄様をどうか幸せにしてあげてください」


「ええ任せてイネアちゃん」


「もちろんですよイネアさん、ジェヅの事は任せてください」


3人で握手までしています、だからそれでわかるの?

それから僕たちはダンジョンの話やイネアの仕事の話をしました、そして夕食の時にイネアに聞いてみました。


「イネアここの主には会ったことはあるかい?」


「いえまだありません、女性だというのはシェーバさんに聞いたのですけど」


「そうかぁ・・・じゃあ僕も会えないかな?お礼を言いたかったんだけど」


出来ればイネアがお世話になってるからお礼を言いたかったんだけど、会えそうもないかな。


「シェーバさんたちに聞いてみますね、でも私も前にそう言って会えませんでしたから、期待はしないでください兄様」


「分かったよイネア、じゃあダメだったら、この手紙をその人に渡して貰えるように言ってくれるかな」


手紙にはお礼と転生者であることを遠回しに書いておきました、もし相手が転生者では無かったら、恐らく分からないと思います、だって途中から日本語ですからね。

そしてどこかで会えないかとも書きました、少し危険ですけど、イネアがこれだけ大切にされているんです、悪い人ではないと覚悟して書いてみました。



《そしてその日の夜》


「どうして二人がここにいるのかな」


僕たちはあの店の4階で泊めて貰ったんです、断ったのですが押し切られました。

そして二人が僕の借りた部屋にいたんですよ。


「だって、ねぇリズ」


「そうですよジェヅ、もう誓いは立てたのです、妹さんにも挨拶を済ませました、ですから積極的に行かせていただきます」


リズのキャラが変わっています、キャティの方がモジモジしていますよ。


「分かりました、でも今日は2人も疲れてるでしょ、ほどほどにしましょうね」


「「うん」」


そう言ってみんなでベッドに入ったのですが、その布団が凄くフワフワでした。


「な、なにこれ!ふかふか」


「ほんとです、あの宿よりすごいですね・・・はぁ~気持ちいい」


2人が布団に顔を沈めています、確かにすごくいい布団です、あの宿の布団にも驚きましたけど、これはもっと高級ですね。


「やはり僕以外にも転生者がいるのでしょうか?」


僕がブツブツ独り言を言っていると、二人の寝息が聞こえてきました。


「だから言ったのに、まあ時間はありますからね、これからすればいいんですよキャティ、リズ」


そう言って二人にキスをして布団をかぶせました、僕も寝ましょう同じベッドで。

べ、別に残念とは思っていませんよ、二人とは誓いを立てたのです、いつでも出来るんですよ。
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