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6章不穏

108話 異変

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「やっぱりおかしいですね」


「バンヨウもそう思う」


「ええ、どう考えても体調の悪い人が多すぎます」


どうもバンヨウです、私たちは今、テミルの村から一番近い街、アルベルトって所にいます。

そこで宿を取り、次の日出発しようとしたのですが、街の異変を感じました。


「そうだよね、顔色も悪い人が多いし向こうで嘔吐していた人もいたよ、何かの病気かな?」


「少し気になりますね、ギルドに行って聞いてみましょう」


私たちがギルドに入ると冒険者が誰もいませんでした、普通朝は人でいっぱいのはずなんです、これは異常ですね、受付に向かい聞いてみましょう。


「そうですか、原因は分からないと」


「はい、今のところ死人は出ていませんが、ひどくなるばかりなんです、冒険者のほとんどは避難してしまって、この有様ですよ」


なるほど、外に逃げてしまったのですか、これはまずいですね。


「治す方法はないんですか?」


私が対策を考えているとテミルが受付の女性に聞いていました。


「今魔法薬の店で状態異常回復薬の上位薬である、ハイキュアポーションを製作しているんですが、器具がそろっていないので成功率が悪く、それほど作れてない状態です」


受付嬢が言うには上級薬は器具が無い状態でも作れるのだそうです、しかし錬成の成功率が20%と相当に低くなってしまい、素材も底をつきそうだと言う話です。


「分かりました、その製作している薬屋は何処にありますか?」


「バンヨウ、まさか手伝うの!」


マコッチお姉さまに報告が先ですが、きっと助けようとしてくれます。


「当然です、テミルの村が近いのですよ、もしかしたら外に出た冒険者にも病気の人がいたかもしれません、広がるのは時間の問題なのです、ここで薬を作り、周りに広めなければ大変なことになりますよ」


「そうなんだ・・・ありがとうバンヨウ」


テミルにお礼を言われました、少し照れ臭いですね、それにテミルの妹さんにも言われました。

べ、別に好きとかそう言うのではないですよ、守ってあげてほしいと言われたのです、まぁ他にも言われましたけどね。


「すみません、どなたかいらっしゃいますか」


私たちは受付嬢に薬を作っている場所を教えて貰い、着いたのですが店には誰もいませんでした、奥から音がしてるので作業に集中しているのでしょう。


「奥に行って見る?」


「そうねテミル、ラビーとポチーノはここで待っていてね」


2人が頷いたので私とテミルは奥に入りました、変わった匂いがしています、きっとポーションの材料の匂いなのでしょう。


「あ!いたいた、すみませんちょっといいですか?」


テミルが白い服を着た女性に声を掛けました、声を掛けられた女性は直ぐに振り向いてテミルを見ていますが、相当疲れているのか、もうろうとしています。


「あなたこれを飲みなさい」


「こ、これは!?」


女性は私が出した薬がスタミナポーションだと分かったのでしょう、すぐに飲んでいました、さすが魔法薬の店の者ですね。


「すごい!?上級薬だったなんて、あなた達はいったい」


「僕たちは冒険者です、ここで病気に効く薬を作ってるって聞いて、お手伝いが出来ないかと思って来ました」


テミルが事情を説明してくれました、お姉さまには知らせてあるので今の状況を詳しく聞き、お姉様に対策を考えてもらう予定です。


「そうでしたか、私はここの店を経営していますララティナと言います」


「僕はテミルって言います、こっちが仲間のバンヨウで店の方に他にも二人います」


私たちの紹介をすると一度ラビーたちを紹介するって事で店の方に行き、紹介を済ませると状況の説明をする為にテーブルを囲んで集まりました。


「というわけで数日前から起きています、それで薬を作ってはいるんですが、どうしても成功確率が低いんです」


「なるほど、それで機材を揃えたらどれくらい作れますか?」


私は聞いてみました、お姉さまに聞くように言われているんです。


「それは・・・今の私では70%ってところでしょうか?」


「70%ですか、それなら平気かもですねバンヨウ姉」


「ええそうね」


私たちが話し合っているとララティナとテミルは首を捻っています。


「機材を揃えようにもここには売っていませんよ?何処かの王都に行って注文しないと」


「それは平気です、私がある人から送って貰います」


「・・・」


私がそう言うとテミルは黙って考え込んでいました、きっとお母さまに渡したエリクサーの事を思い出し、それをくれた人だと考えているのでしょう。


「ほんとですか!ありがとうございます・・・それとさっきの上級薬のお代ですけど、いくらでしょうか?」


ララティナが言ってきましたがこれから作業をするのにあの状態では出来ませんからね。


「要りません、そんな事よりこれから頑張って薬を作ってください」


「え!?」


「では後でまた来ます、それと素材を教えてください、取りに行きます」


マコッチお姉さまに送って貰う物を受け取らないといけませんからね、問題はテミルに見られないようにしなくてはいけません、ラビーに訓練をさせておきましょう。
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