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3章 知名度戦争でもアゲアゲ

46話 味方になった中に

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凄い数の飛空艇が発着場に着き、俺たちは凄いと見ていたが、その中に見知った気を感じて冷や汗が出てきたよ。


「ケーオンは当然だし、ナリュミャも教会との戦いの切っ掛けである獣人だから良いとして、何故エルフのキリとキコルがいるんだよ」


飛空艇も独特で、木が生えている船とかちょっと興味を持ったよ。
しかし、元仲間が勢ぞろいでちょっと問題だろうと、俺は会議に参加したくなくなってきたんだ。


「とはいえ、学園の授業もまだ始まらないし、顔を見せる場である会議には参加しないといけないんだよなぁ」


ミローナ様が到着して1週間、ミローナ様にも色々とお話もしたが、好意を持たれてしまっていて困っていた。
俺が信じられるのはメメルたちだけで、良い人なのは分かるんだがどうしても抵抗があったんだ。


「憂鬱だが、行くかな」


ケーオンが連れて来た冒険者たちと挨拶もしたいし、みんなも久しぶりに話をするように指示を出した。
フェニックスやエクスカリバーたち上位のPTがいて、戦力も整い始めたのが良く分かる顔ぶれが空から見れたよ。


「リューブ師匠、そろそろ行きましょう」
「そうだねメメル、式の護衛を始めるぞ」
「「「「「はい」」」」」


俺たちの今日のお仕事は、空から遠くを見張る事と式の途中で空に絵を描く事だったんだ。
花火は俺の仕事だが、気を爆発させれば出来るので、準備だけを済ませて遠くの索敵を始めたよ。


「それにしても、こちらに付いた国が多くなったから、もう勝ち確なんだよなぁ」


最初とは大違いで、映像で実力を見せたのが大きかったと評価されているが、それに対抗しようと思わない辺り、教会の力の無さを哀れに思ったよ。
あの研究の罪悪差もあったが、こちらが正義なのを世界が認めた事が大きかった。


「だから攻めて来る奴はいないんだが、味方になると見せて襲撃とかありそうなのに、全然そんな気は感じられないな」


式は順調に進み、メメルたちの出番も無事に終わる頃、襲撃もなくみんなが喜ぶ声が広がっていた。
俺の鑑定紙のおかげで事前に調べてはいたが、泳がせて捕まえる予定が狂ってしまったよ。


「まぁ全員が味方ならそれで良いが、ちょっと拍子抜けだな」


このまま勝利で終われば良いかっと、式の終わりを空で見ていた。
その後、メメルたちと合流して会議室に入ったんだが、予想通りケーオンたちに睨まれてしまった。


「飛び出してこなかったのは良かったが、これは後で問い詰められるな」


メメルたちは抑えて置いたんだが、その必要はなく撫でるだけで終わったよ。
各自の紹介の後、今後の話をミローナ様が行ったんだが、飛空艇で向かい、1つ1つの国を降伏させると言うモノだったよ。


「うむ、こちらの方が数は上だ、それで良いだろう」
「そうね、戦う必要がないならそれで良いわ」
「では、それぞれの国の船で出発するとして、今夜は宴を開きますわね」


この後広場で宴会を予定していて、俺はそこで囲まれるのが決まっていた。
ギラリとした視線を色々な所から向けられ、もし降伏に応じなかった場合の話などもミローナ様からされ、余裕の殲滅戦なのが良く分かったよ。


「難しい話は以上です、皆さんゆっくりして行ってくださいね」


会議が終わりミローナ様が退席していくと、予想通りのメンバーが俺の前に集まり、どういう事なのかと説明を求められたよ。
魔王の時の話ではなく、何で戦争に参加しているのかと言う質問で、俺は素直に教会の研究が気に入らなかったからと答えたんだ。


「まぁそうね、アタシもそれには賛成よ」
「こらこらキリ、ボクたちは協力はするけど、あくまでも中立だよ」
「分かってるわよキコル兄さん、でも結婚の約束はまだ生きてるわよね」
「それはそうだ、ボクも楽しみだよ」


まだそっちの話は終わってなく、男性のキコルもそれに入っていた。
エルフは同性愛も了承しているが、キコルの場合は妹のキリに俺が相応しいのか、決闘した際、自分自身が気に入ってしまったという流れだ。


「二人とも、あたいを抜きで話を進めないでくれ」
「ナリュミャ・・・そうねごめんなさい」
「分かってくれるか、それでリュウ、今はリューブだったか、今回の落とし前はどうする気だ」
「ナリュミャ、教会が人種の街にあるんだから、癒着がないとは言わないけど、敵は教会だよ」


建前を言ったんだが、それで収まるわけもなく、闘気を上げて俺を威嚇して来た。
咄嗟にメメルたちが間に入ってきたが、俺はそれを止める為みんなを抱き寄せてヨシヨシと撫でたんだ。


「こんな感じで、俺は子供たちが大切なんだ、それをあんな風にする奴らを許せない、それではダメかな?」
「お前の言う子供には、獣人も含まれるのか?」
「俺を知ってるだろうナリュミャ、種族関係なく子供は宝だ」
「そうか、それなら見せてもらうぞ」


結婚とは言わなかった辺り、まだ全然許されてない感じだが、これから改善していくしかないと言うしかなかった。
そして、キリとキコルは俺の膝の上にいるメメルたちを見て、ズルいとか言ってきたよ。


「二人は大人だからな、これは子供の特権だよ」
「だからって、そんなにイチャイチャしてズルいわ」
「そうだ、ボクだってしてもらったことないぞ」
「そんな事を言うから、俺は皆を置いて魔王と戦ったんだよ」


ケーオンから聞いてないのかと視線を向けると、手紙を渡して説明した事が返って来た。
自分を一番に優先する性格はそうそう直らず、それでは結婚はしないとはっきりと伝えたんだ。


「そんな、アタシを捨てるのリュウ」
「キリ、俺の名はリューブだ、そんな事も切り替えられないのか」
「だって、あの時誓ったじゃない」
「だったら言うんだがなキリ、あの時誓った内容は【お互いの気持ちを思いやり、支え合って愛し合う】っというモノだったはずだ」


それなのに、キリは一方的に意見を通そうとするだけで、訓練をしようと提案したのに妥協も許してくれなかった。
今回も、子供たちを優先してほしいとお願いしているのに、妥協案を出さず自分を愛してくれと言って来たのはどういう事だと追及したよ。


「俺はキリの事は好きだが、結婚なんて出来ないよ」
「アタシ間違っているの?」
「そこまでは言ってない、ただ俺の意見も汲んでくれと言ってるんだ」


しょんぼりとして言い返す事が無くなったが、妹がこんなになってしまって兄であるキコルが黙っているはずもなく、怒りの表情で俺を見ていた。
だが、俺はそれ以上に怒っていて、キコルにも言う事にしたよ。


「キコル、お前は決闘の後言ったよな、キリとの子供が出来たらこれ以上なく愛して見せるってさ」
「当然だ、愛しい妹と愛しているお前の子供なら、ボクは命に代えても愛すぞ」
「メメルたちは俺の娘だ、キリが結婚するのならキリの娘となるんだが、それでも愛せるのか?」
「そ、それは・・・愛せる」


しばらく考えた時点で、それが難しいのは分かっていて、そんな奴と結婚なんて出来ないとはっきりと宣言した。
男性とかは関係なく、その心が愛せないと伝えたら、キコルも下を向いてしまった。


「約束を破ったのは悪かったが、最初に約束を破ったのはそっちなんだ、分かってくれるよな」


ケーオンにも伝える為、視線は二人からケーオンに向けていて、直してくれれば結婚は考えると伝えたんだ。
それが出来ればやっているだろうから、結婚はなしと考えても良いが、それよりもまず戦争をどうにかしないといけなかったんだ。


「色々言ったが、今は戦争で戦う仲間だ、お互い全力で戦おう」
「あ、ああ・・・そうだな」


最後に締めくくったが、戦えるのかと言う以前に、この後の宴会が暗くなりそうなほどに落ち込んでしまった。
自分たちが話を持ち掛けてきたんだからこれは仕方ないっと、俺はメメルたちと会場に向かい、俺たちだけは楽しく食事を進めたよ。
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