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2章 知名度広がる

27話 王都に到着

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光の剣のメンバーからお礼を言われ、俺たちは飛空艇を降りて王都の地に足を踏み入れた。
さすが王都と呼べるほどの大都市が広がっていて、メメルたちはキョロキョロしていたよ。


「建物が高いわ」
「首が痛いです」
「みんな、あまり見てると田舎者と思われますよ」
「そう言うマリューナだって、お店ばかり見てるじゃない」


ブラヌに指摘され赤くなるマリューナだが、その気持ちは分かるので宿を取る為に先を急いだ。
キンブルは、護衛を頼んだ光の剣の依頼達成報告に向かったから、別行動になったんだが、成功と言う形にするそうだからちょっと不満だ。


「まぁ仲良くなったから大目に見ても良いんだが、あいつらは調子に乗るからな」


訓練の時もそうで、気を動かすまでに留めたのは正解だと思っていた。
応用までやっていたら、あいつらは何処までも調子に乗り、恐らく近い内に命を落とす事になるだろう。


「あいつらの選んだ道だ、俺たちには関係はないが寝覚めは悪いからな」


一緒にいる事ももうないし、キンブルに言われた宿に到着して部屋を借りた俺たちは、そのまま王都巡りに出発した。
住宅も5階以上の建物になっていて、道が狭く感じている俺はあまり良い気分ではなかった。


「ゴミゴミしてる感じが嫌だな」


小道にはゴミが落ちているし、大きな道だけを綺麗にしている感じで、小道に座る子供はボロボロな服を着ていたんだ。
貧困の格差はかなりありそうでそれも嫌だったんだが、メメルたちに見せたくもなかった。


「親に捨てられた事を思い出しそうだよな」


チラッとみんなを見ても気にしてはいないが、早く用事を済ませてしまいたい気持ちは変わらなかった。
しかし、王族との謁見は数日後になるとキンブルに事前に言われていたから、その間は王都で依頼を受ける予定で、あまり良い経験にはなりそうもなかったんだ。


「王都の依頼はそれほどないらしいからなぁ」


暇を持て余すよりは良いから、外での採取なども教えようと考えていた。
ついでに、不作となってる村を救うのも良いだろうっと、まずはみんなのお腹を満足させる為に食事屋を探し来店したんだ。


「入ったは良いが、メニューは変わり映えしないな」


品質は良いのかもしれないが、焼いた肉とサラダがメインで、後は果物とパンだった。
肉の種類が変わる程度とスープを付けるくらいしか変わらず、みんなは嬉しそうだが俺は不満だったよ。


「まぁ肉の種類は沢山あるから、みんなが喜ぶのも分かるが、パンの種類が少ないのも気になるな」


次に行く店はパン屋に決定したが、白パンと黒パンしか置いてなかったよ。
この世界には発酵させる技術が無いから仕方ないが、外での依頼を受けるのなら食料も確保したいので、市場で色々買い付けたよ。


「後は、マリューナが気にしてる服屋だな」
「い、良いんですか?」
「勿論だ、むしろそっちの方が本筋だな」
「も、もしかしてリューブさん、着物以外も使うつもりなんですか?」


その為に王都に来たとも言えるし、マリューナを勧誘した時に既に考えていた内容だった。
頷いてそこまでを話すと、マリューナは羨ましいとか言ってきたが、メメルたちだけでなくマリューナもその中に入っていると伝えたら、どうして私もとか言ってきたよ。


「何を言ってるんだ、一緒に着物を着て戦ってるだろう」
「そうですけど、私は皆とは違うから」
「それを言ったら、俺が一番違うぞマリューナ」


男で師匠でPTに入ってない存在であり、いつか一緒にいる事が無くなる。
だから、今がとても幸せで手放したくないと思っているが、同じくらいみんなには大成してほしいと思っていた。


「そんな存在の俺だから、出来る限りをしてあげたいんだよ」
「卒業したらという話ですよね」
「そうだな、マリューナも俺の弟子なんだ、だから年長者としてみんなを支えてあげてくれ」
「それは良いですけど、リューブさんから離れるなんてありえませんよ」


未来は分からないものであり、俺よりも好きになる人が現れるかもしれない。
その時は俺がしっかり調べるが、みんなの幸せを最優先するのは確実だから、相手が不幸になっても気にしない。


「そう、俺の時の様に分からないんだよマリューナ」
「それは相手が悪かったんです、私たちは違います」
「俺みたいなおじさんじゃ、みんなが不幸になるだろう」
「「「「「それはない」」」」」


いきなりみんなが振り返って声を揃えて来て、俺はびっくりして立ち止まってしまった。
話を聞いていたのもびっくりだが、俺と結婚するのはみんなの総意とか言われたよ。


「みんなは知らないのさ、世界は広いんだよ」
「分かってないわねリューブ師匠」
「そうですよ、その広い世界でワタシたちは出会ったんですよ」


助けて貰ったのも運命で、これ以上はないとかメメルが潤んだ目をして言ってきた。
それだけの決意があるのは分かってたが、それに縛られるのは違うとも思っていた。


「まぁ5年と言う約束だからな、それまでに相手が出来たらいつでも言ってくれよな」
「「「「「それもない」」」」」


また声を揃えられたが、それが無くても俺のする事は変わらないし、みんなを大切に想っているからそれ以上は言葉にしなかった。
みんなの服選びも楽しめた俺は、最後の目的地である冒険者ギルドに入ったんだが、そこでは困った表情でアワアワしてるキンブルがいたんだ。


「キンブルさん、どうしたんですか?」
「何かやらかしたのかキンブル」
「み、皆さん・・・実はですね、光の剣の方たちが他の冒険者に絡まれまして」


最後まで喋らなかったキンブルを見て、なんとなく俺は事態を把握して、何をしてるんだと光の剣のメンバーを叱る必要が出来てしまった。
キンブルが渋々説明した内容は、依頼達成報告をした際、ランクにそぐわない実力と他の冒険者に文句を言われたからであり、それを黙らせる為に気功術を勝手に教えている事が分かった。


「僕はダメと言ったんですが、皆さん頭に血が昇ってしまっていたんです」
「誰に言われても成功したんだから気にしなければ良いのに、どうしてそこまで怒ってるのよ」
「それはですねブラヌちゃん、仲間を貶されたからです」


それは、俺でも我慢が出来ない事で、仕方ないと説教は控えめにする事にした。
それでも説教以外で訓練場に足を運ばなければいけない理由があり、俺は急いで移動を始めた。


「リューブさん、どうしてそんなに急ぐんですか」
「キンブルお兄さん、気功術を会得するには集中しないといけないんです」
「それは飛空艇で見たから分かりますが、急ぐ理由にはなってませんよメメルちゃん」
「違うんです、あの訓練には3つの段階があって、最悪な展開だと体内の気が爆発するんです」


メメルが説明してくれた通り、気持ちが荒ぶっている状態ではなりやすく、爆発した場合は勿論命を失う。
だから急いでいて、それを聞いたキンブルは青い顔をし始めたよ。


「ど、どうしましょうリューブさん」
「最悪の場合だキンブル、まずは現場に行き俺が抑える」
「お願いします、文句を言ってきた冒険者は8つ星の優秀な人たちなんです」
「ランクは関係ない、気功術が問題と思われるとこちらが困るんだ」


魔族と戦うには絶対に必要な特技であり、俺たちは覚えなくてはいけない。
文句を言ってきた冒険者なんてどうでも良かったが、兎に角俺は急いだんだ。
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