心を掴むのは冒険者の心得!だから俺は引退前に指導する。

まったりー

文字の大きさ
上 下
15 / 63
1章 知名度アゲアゲ

15話 周りが騒がしい

しおりを挟む
10階のボスを倒し、メメルたちのランクが1つ上がったのをきっかけに、他のPTからギルドを通して誘いの声を貰ったんだ。


「またか、今度は何処だ?」
「9つ星のエンシェントです」
「また高ランクPTだなブレイス」
「はいリューブさん、無理とは言ってるんですけど、伝えるだけでもしておくように言われまして、こちらも断る事が出来ないんです」


戦力増強の為の指導員が欲しいのだろうが、メメルたちはその勧誘に入ってないから俺は断っていた。
入っていても、今の実力では足手まといになり、みんなのやる気が下がるからどの道断る一択だった。


「下のランクだったらいいのに、どうして高ランクのPTばかりなんだ?」
「それは、人気を上げたいんでしょうね」
「だろうな」


映像の特殊さを求めているのは目に見えていて、一度同行して技術を盗んでやろうとしているのが見え見えだった。
だから断っていて、下のランクのPTでも注意はしていたんだ。


「ですけど、そろそろこちらも断り切れません、一度集めてしっかりと言った方がよろしいと思いますよ」
「確かに、力づくで来る奴も出てくるかもしれないな」
「はい、ギルドとしましても、騒ぎは避けたいんです」
「そうだな、声を掛けて来たPTを集めてくれるか」


日にちは相手に合わせる事にしてブレイスに頼んだが、メメルたちは反対してきたよ。
どうせマネの出来ない事なんだからっと、時間の無駄を指摘してきたんだ。


「そう言ってやるな、知らないより知って諦めて貰った方が良い」
「そうですけど、リューブ師匠が苦労する必要はありません」
「メメルの言う通りよ、放っておけばいいじゃない」
「二人とも、そう言う訳にはいかないのよ、さっきリューブさんが言ってたでしょ、暴力で来るかもしれないって」


マリューナが注意してくれて、ムスッとしてても子供たちはそれ以上何も言わなかった。
自分たちを守る為とか思っていそうだが、気功術の訓練を始めたみんなは強さだけなら引けを取らないから、やり過ぎを気にしてもいたんだ。


「っとなると、手ぶらで帰す事になるから、何か考えておく必要はあるな」
「ほら~やっぱり面倒な事になるじゃない」
「そう言うなよブラヌ、いつかは起きる事だったんだ」


ライジングランサーの時は、俺が動いて撮っている程度に見えたが、さすがに今は無理があった。
安全の為に必要と言い聞かせ、俺たちはギルドを出たんだが、既に手遅れだったのか後ろから何者かが付いて来ていたよ。


「リューブ師匠、倒しますか」
「メメル、そのままで良いよ」
「危険ではありませんか?」
「気の索敵も出来ない相手だ、放置で良い」


俺が教えた気功術はそれだけ強力であり、普通に冒険者をしている者たちでは天地がひっくり返っても敵わなかった。
だからメメルたちは強くなり、レベルが上の尾行者を発見出来たんだが、数日後には解決するから放置だ。


「それこそ無駄と言う事さ、気にしないで飯屋に行こう」
「それもそうですね」
「でもさ、そう考えると間抜けね」


はははっと、みんなの気分が明るくなり、俺たちは尾行されたままで楽しい夕食を摂り、普通に宿に戻った。
何事もなかったからか、尾行していた奴は宿を確認して戻って行ったが、メメルたちとは違い、俺の探知は広範囲だから、何処の誰が尾行していたのかが分かったよ。


「10つ星のエクスカリバーだったか」
「リューブさん、まさか行くつもりですか」
「いや、行かないよマリューナ、さっきも言ったが労力の無駄だ」


襲って来るなら話しは変わるが、どうやら調べに来ていただけの様で、夜遅くになっても動きはなかった。
そんな不穏な動きもあったが、ギルドが集めてくれる日になり、俺たちは上位の冒険者たちが集まる会議室に足を運んだよ。


「来たな」
「待っていましたよ」
「もう待ちくたびれたわね」
「まぁ、家に来るのは確実だろう」


それぞれのリーダーが何やら言って来たが、最初に加入はしない事を伝えた。
そして、尾行なども止める様に注意し、次からは倒してしまうと言い切ったんだ。


「きゃはは、随分威勢が良いじゃんおじさん、子供たちを守るのに必死だね」
「必死なのはそっちだろう、10つ星のエクスカリバーのリーダーキャベサ」
「へぇ~あたいを知ってるんだね」
「もちろんだ、3日前に尾行してただろう?」


気付いてた事には驚かず、なかなかやると評価して来て、投稿の技術抜きで欲しいとか言って来た。
だが俺は断り、そもそも投稿の技術と言うのが他でマネの出来ない物とその場で現物の折り鶴を飛ばして説明したんだ。


「この様に俺にしか操作出来ないし、作る事も出来ないんだ」
「あらあら、可愛い子たちね」
「なるほど、話は分かったが、それなら尚更君が欲しいな」


9つ星のリーダーアマンサが引かない態度を取って来て、他のメンバーも俺を欲しがった。
こうなる事は予想してたので、子供たちを育てる楽しさを語り、今とても幸せだと伝えたんだ。


「だから、俺たちに邪魔をするなと言いたいのか?」
「端的に言えばそうだが、タダとは言わないよフェニックスのリーダーマゼカン殿」
「ほう、では聞こうか、俺たちが君を諦めると宣言するほどの内容をな」


そんなモノは無いっと、俺たち以外は思っている空気だが、人差し指を立てて小さな気の弾を出したのに誰も気づかないから、絶対にその空気は変わると確信したよ。
気を扱う事の出来ない者は、気を扱う者には勝てない道理であり、これを教えると約束したんだ。


「これって、ただ指を立てただけじゃない」
「そう見えるだろうが、指の先には今エネルギーの弾が浮いている」
「「「「「え」」」」」


嘘ではない証拠に、指先の弾を飛ばしテーブルを破壊して見せた。
いきなりテーブルが爆発したから、リーダーたちは今までの余裕がなくなっていたよ。


「分かってもらえたかな?」
「え、ええ・・・ほんとの様ね」
「これは気と言う力なんだが、戦闘力を爆発させて何十倍にも出来るんだ」


だからうちの子たちは5レベルなのにどんどんダンジョンを進めていて、動きも新人とは思えないモノだった。
闘気術でも同じような事は出来るが、あれは高めるのではなく溜めて使う事しか出来ず、絶対量が決まっていた。


「これを教えるから勧誘は無しにしてくれ」
「ほ、本当に数十倍に出来るのか?」
「ちょっと待ってよ、その前になんでレベルの数値が分かってるのよ」
「確かにそうですわね、まさかモンスターの数を数えてるとか言いませんわよね?」


そこに気付いてリーダーたちはジッと見てきたが、鑑定紙はまだ公表出来ないので、5レベルまでは数えていたと笑顔で応えた。
5レベルまでなら出来なくは無いとか、規格外とか言われたが誤魔化す事は出来たので、話しを先に進める事咳払いをした。


「だからな、俺たちがやっているから君たちも出来る、訓練には時間が掛かるがな受けてみるか?」


家の子たちは、まだ数倍にする程度しか出来ないが、一ヶ所に集中させたりして威力を上げていた。
そうすればダンジョンの探索には有効と説明し、それは説得するに十分だったよ。


「分かった、君を勧誘するのは諦めよう」
「ありがとう」
「だが、一つ聞かせてくれ、そんな力を持っているのに、どうして上を目指さないんだ」
「それはなマゼカン殿、それ以上に大切なモノを見つけたからだよ」


ライジングランサーを育てている時には感じなかったモノで、俺はこれ以上を求めていなかった。
だから他の所にはいかないし、子供たちが成長し巣立っていくのを見たいと思った。


「まるで親だな」
「そうさマゼカン殿、血は繋がってないが、俺はこの子たちの親なんだ」
「そうか、それは守らないといけないな」
「ああ、だから邪魔はしないでくれよな」


邪魔をするなら、誰であれ排除すると目だけで知らせて、上位のPTに気功術を教える事になった。
メメルたちは不満そうだったが、奥の手は教えないし、弟子としているのは家の子たちだけだから、そこを伝えたらニコニコしていたよ。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

勇者PTを追放されたので獣娘たちに乗り換えて楽しく生きる

まったりー
ファンタジー
勇者を支援する為に召喚され、5年の間ユニークスキル【カードダス】で支援して来た主人公は、突然の冤罪を受け勇者PTを追放されてしまいました。 そんな主人公は、ギルドで出会った獣人のPTと仲良くなり、彼女たちの為にスキルを使う事を決め、獣人たちが暮らしやすい場所を作る為に奮闘する物語です。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

処理中です...