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4章 1年3学期
117話 補修の合間に
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「あの~白騎士、あれはなんなのよ?」
レッドドラゴンたちに、変形したゴーレムを使って作業を始めて貰ったのだけど、元の壁に皮が溶接されているのを見て、シャルティルに質問されました。
そして、その上には鱗が付けられ、最強の壁になって行きます。
「あれは変形したゴーレムだよシャルティル様。皮は糸でつなぐのが普通だけど、そこが脆くなって弱点になるから、つなぎ目を魔力溶接って方法を取って補強したんだ」
シャルティルは「へぇ~」っと、分かっていない空返事をしてきました。
魔力溶接は、僕たちが開発した方法で、まだ誰も知らない事なんだよ。
しばらくそんな作業を見ていると、騎士の赤髪さんが急に頭を下げてきましたよ。
「ど、どうしたんですか?」
「ごめんなさい白騎士様、あたしは騎士としても人としてもなってなかった、だから謝ります」
赤髪さんは、エメローネ様たちが離れている時を狙って、謝罪をして来ました。
きっと素直に謝るのが恥ずかしかったんだと、僕は気にしていないことを告げました。
「出来なかったのはホントだし、謝る必要はないよ」
「そう言うわけにはいきません、あたしの態度はほんとに悪い物でした。エメローネ様を助けたのだって、あたしは嘘だと思ってて、国としての作戦なんだと・・・だから、ほんとにすみませんでした」
「ほかの国の襲撃を許し、王都をあそこまで壊されたんだ、僕のような存在を作った方が良いと思うのは当然だよ。君はエメローネ殿を心配しただけなんでしょ?」
ちょっと離れた位置で、みんなの作業を見ているエメローネ様に、視線を移して言いました。
エメローネ様は、この国ですごく慕われていて、そんな彼女がやられそうになったと、噂でも流れたら評価が下がります。赤髪さんはそれが心配だったんです。
「そうですが、エメローネ様に助言出来るほどの方にあたしは」
赤髪さんは下を向き、かなり反省しているようなので、ぽっと出て来た僕を評価するなんて難しいと言っておきましたよ。
それでもまだ落ち込んでいて、僕はある提案をすることにしました。
「赤髪さん、いえバーバラ殿、自分を攻める前にまず精進しなさい。それが僕に対しての償いです」
「精進が償い?」
「そうですよバーバラさん。僕は今回、旅を中断してここにきました、それはあなたたちが強ければ起きなかったことです。僕のような英雄を作らずに済むように、あんな奴らをケチらせる力を、あなたたちが身につけなくてはいけません、それが償いになります」
頷くバーバラさんに、僕はアイテム欄から山の模型を出して渡した。
その模型には滝が流れていて、水が循環してるだけの模型なんだけど、それを見てバーバラさんは首を傾げて来ました。
「この模型の滝の流れを見て、それが止まって見えるようになってください、これは先ほどのエメローネ殿が入れた、無我の境地に入る訓練です」
僕の説明にバーバラさんは滝をじっと見始めた。
作業を見終わったシャルティルたちが戻って来ると、みんなで見始めたけど、シャルティルはすぐに飽きてしまいましたよ。
「白騎士、ほんとにこれであのすごい技が使えるの?」
「それはまだ使えませんシャルティル様、次の訓練がありますからね」
座禅を組み、その集中力を維持する訓練が待っていて、その次が最後と教えます。
最後が難関で、戦闘訓練をしながらでもそれが出来るようになる事で、まだまだ楽な方だと語って聞かせます。
「いつでも入れる様になるのは、ホントに大変なんですよ」
「そ、そんなに大変なの?」
「そうですよシャルティル様、今回エメローネ殿が行くことができたのも、僕が隣で補佐をしたからですし、戦闘時にそれをしても、はたして入れたか疑問です」
シャルティルは「なるほど」って頷いていますが、誰でも連れていけるわけでもありません。
ある程度の強者だけで、エメローネ様もぎりぎりでした。
「ダメ!全然止まって見えない、白騎士様ほんとに見えるようになるの?」
バーバラさんが早くも諦めてしまったようで、彼女はちょっと短気っぽいので、あまり相性はよくありません。
仕方ないので、ちょっと手伝うことにした僕は、バーバラさんの肩に手を添えて目を瞑って貰うことにしました。
「いいですがバーバラ殿、このまま静かに深呼吸です」
「は、はひっ」
バーバラさんは少し緊張していて、まずはそれを取り除く作業に入ります。
僕の呼吸と合わせて貰い、息が整う頃には落ち着き始め、バーバラさんの精神が静かになったのが確認できましたよ。
「では、ゆっくり目を開けてくださいバーバラ殿」
短く返事をしたバーバラさんは、止まって見えた滝を見て驚き、そこで集中力がとぎれてしまいました。
バーバラさんはがっかりしていますが、少しでも見えたのは進歩です。
「見えたでしょ?」
「はい・・・でも、見えたのはほんの一瞬でした」
「そうでしたね。でも、見えたのですから、出来るようになると分かりましたよね?」
僕の質問に、頷いて応える間も、滝を見る方に夢中になってくれた彼女は、これで感覚はつかめたでしょう。
後は訓練を続けるだけで、その内スキルを覚えてくれます。
「それが出来るようになったら、次はこちらが待ってますからね」
今度はバーバラさんによく切れるナイフを渡しました。
ナイフを受け取り、バーバラさんは首を傾げて来て、不思議そうな顔をしてきましたよ。
「あの、このナイフは?」
「それはエメローネ殿と同じ、ブルーメタルドラゴンの素材でできたナイフです。すごく良く切れるので、布を刃に落とすだけで切れてしまう」
バーバラさんの持っているナイフの刃を上に立て、僕がそこに布を落とすと、布はスパッと切れていきました。
バーバラさんは、それはそうでしょって顔していて、シャルティルたちも同じ顔をしてきました。
「切れましたねシャルティル様」
「エミリーそれはそうよ」
「何が言いたいんですか白騎士様?」
バーバラさんが答えを求めて来たので、僕は当然とばかりに解説を始めます。
エメローネ様たちも近づいてきて、丁度良いと思った僕は、再度ナイフに布を落とす準備をします。
「良いですか、今度は僕がナイフを持って、バーバラさんが布を落としてください」
「そんな事をしても同じですよ?」
「そうならないのが僕の答えです、見ててください」
バーバラさんは、半信半疑で布を落とします。すると布は切れず、ナイフの上にかぶさってしまった。
みんながどうしてだと驚いてきましたが、これは手品ではありません。
「どどど、どうして!?」
「ちょっちょっと!?どうしてよ!なにが違うのよアレシャ」
シャルティルが、驚きすぎてアレシャスと言いそうだったので、僕はすぐに手で口をふさぎに掛かります。
そして、物質には切れるタイミングと言う物が存在すると、みんなに教えたんです。
「そんなモノが存在するのか?」
「そうですよエメローネ殿。これは【モノの呼吸】と呼ばれる現象で、それを外す事で、切れるはずのモノが切れなくなるんです。そして、それは逆に斬ることも出来ます」
斬れることを証明する為、僕は銅の剣を取り出しあの鱗の前で構えたんだ。
誰もが斬れるわけないと思っているけど、僕はそうは思ってません。
「これはなんの変哲もない銅の剣です。これを領域に入って呼吸を合わせれば」
精神を集中させ、鱗の呼吸に合わせて剣を当てた。
力を入れず、ただ振りぬいただけに見えたでしょう。でも、鱗は半分に入れていったんだ。
「すご!?」
「ほんとに斬っちゃったわ」
エミリーとシャルティルが驚き、騎士たちは口を大きく開け、それどころじゃないようです。
「こんな感じで、剣を極めると武技やスキルを使わなくても、すごい事も出来るんですよ」
「し、ししし白騎士様・・・どうかあたしを弟子にしてくださいっ!!」
バーバラさんが最初に覚醒して、僕の前で土下座の体勢でお願いしてきました。
僕は戸惑って後ろに下がってしまったんだけど、ほかの女性騎士たちまで同じ感じになっちゃったんだ。エメローネ様をみると、やれやれって感じで止めてくれません。
「悪いけど、僕は弟子はとらないよ、僕だってまだ未熟なんだ」
「「「「「そんな!?」」」」」
「それに、僕と君たちでは進む道が違う、エメローネ殿と同じ道が君たちの道でしょ」
エメローネ様の方を向き、僕はそう告げました。
そして、女性騎士たちも分かってくれたようで、立ち上がってエメローネ様に敬礼をしたんです。
「僕は弟子は取りませんが、訓練内容はバーバラ殿に伝えました。これで精進してください」
「「「「「はい!白騎士様」」」」」
そこからは、模型の滝をジッと見る女性騎士たちが訓練を始めた。僕はその間に壁の補強に専念する事が出来ました。
そして、その後に少しだけ訓練につき合う事になったけど、誰一人僕に付いてこれなかったよ。
レッドドラゴンたちに、変形したゴーレムを使って作業を始めて貰ったのだけど、元の壁に皮が溶接されているのを見て、シャルティルに質問されました。
そして、その上には鱗が付けられ、最強の壁になって行きます。
「あれは変形したゴーレムだよシャルティル様。皮は糸でつなぐのが普通だけど、そこが脆くなって弱点になるから、つなぎ目を魔力溶接って方法を取って補強したんだ」
シャルティルは「へぇ~」っと、分かっていない空返事をしてきました。
魔力溶接は、僕たちが開発した方法で、まだ誰も知らない事なんだよ。
しばらくそんな作業を見ていると、騎士の赤髪さんが急に頭を下げてきましたよ。
「ど、どうしたんですか?」
「ごめんなさい白騎士様、あたしは騎士としても人としてもなってなかった、だから謝ります」
赤髪さんは、エメローネ様たちが離れている時を狙って、謝罪をして来ました。
きっと素直に謝るのが恥ずかしかったんだと、僕は気にしていないことを告げました。
「出来なかったのはホントだし、謝る必要はないよ」
「そう言うわけにはいきません、あたしの態度はほんとに悪い物でした。エメローネ様を助けたのだって、あたしは嘘だと思ってて、国としての作戦なんだと・・・だから、ほんとにすみませんでした」
「ほかの国の襲撃を許し、王都をあそこまで壊されたんだ、僕のような存在を作った方が良いと思うのは当然だよ。君はエメローネ殿を心配しただけなんでしょ?」
ちょっと離れた位置で、みんなの作業を見ているエメローネ様に、視線を移して言いました。
エメローネ様は、この国ですごく慕われていて、そんな彼女がやられそうになったと、噂でも流れたら評価が下がります。赤髪さんはそれが心配だったんです。
「そうですが、エメローネ様に助言出来るほどの方にあたしは」
赤髪さんは下を向き、かなり反省しているようなので、ぽっと出て来た僕を評価するなんて難しいと言っておきましたよ。
それでもまだ落ち込んでいて、僕はある提案をすることにしました。
「赤髪さん、いえバーバラ殿、自分を攻める前にまず精進しなさい。それが僕に対しての償いです」
「精進が償い?」
「そうですよバーバラさん。僕は今回、旅を中断してここにきました、それはあなたたちが強ければ起きなかったことです。僕のような英雄を作らずに済むように、あんな奴らをケチらせる力を、あなたたちが身につけなくてはいけません、それが償いになります」
頷くバーバラさんに、僕はアイテム欄から山の模型を出して渡した。
その模型には滝が流れていて、水が循環してるだけの模型なんだけど、それを見てバーバラさんは首を傾げて来ました。
「この模型の滝の流れを見て、それが止まって見えるようになってください、これは先ほどのエメローネ殿が入れた、無我の境地に入る訓練です」
僕の説明にバーバラさんは滝をじっと見始めた。
作業を見終わったシャルティルたちが戻って来ると、みんなで見始めたけど、シャルティルはすぐに飽きてしまいましたよ。
「白騎士、ほんとにこれであのすごい技が使えるの?」
「それはまだ使えませんシャルティル様、次の訓練がありますからね」
座禅を組み、その集中力を維持する訓練が待っていて、その次が最後と教えます。
最後が難関で、戦闘訓練をしながらでもそれが出来るようになる事で、まだまだ楽な方だと語って聞かせます。
「いつでも入れる様になるのは、ホントに大変なんですよ」
「そ、そんなに大変なの?」
「そうですよシャルティル様、今回エメローネ殿が行くことができたのも、僕が隣で補佐をしたからですし、戦闘時にそれをしても、はたして入れたか疑問です」
シャルティルは「なるほど」って頷いていますが、誰でも連れていけるわけでもありません。
ある程度の強者だけで、エメローネ様もぎりぎりでした。
「ダメ!全然止まって見えない、白騎士様ほんとに見えるようになるの?」
バーバラさんが早くも諦めてしまったようで、彼女はちょっと短気っぽいので、あまり相性はよくありません。
仕方ないので、ちょっと手伝うことにした僕は、バーバラさんの肩に手を添えて目を瞑って貰うことにしました。
「いいですがバーバラ殿、このまま静かに深呼吸です」
「は、はひっ」
バーバラさんは少し緊張していて、まずはそれを取り除く作業に入ります。
僕の呼吸と合わせて貰い、息が整う頃には落ち着き始め、バーバラさんの精神が静かになったのが確認できましたよ。
「では、ゆっくり目を開けてくださいバーバラ殿」
短く返事をしたバーバラさんは、止まって見えた滝を見て驚き、そこで集中力がとぎれてしまいました。
バーバラさんはがっかりしていますが、少しでも見えたのは進歩です。
「見えたでしょ?」
「はい・・・でも、見えたのはほんの一瞬でした」
「そうでしたね。でも、見えたのですから、出来るようになると分かりましたよね?」
僕の質問に、頷いて応える間も、滝を見る方に夢中になってくれた彼女は、これで感覚はつかめたでしょう。
後は訓練を続けるだけで、その内スキルを覚えてくれます。
「それが出来るようになったら、次はこちらが待ってますからね」
今度はバーバラさんによく切れるナイフを渡しました。
ナイフを受け取り、バーバラさんは首を傾げて来て、不思議そうな顔をしてきましたよ。
「あの、このナイフは?」
「それはエメローネ殿と同じ、ブルーメタルドラゴンの素材でできたナイフです。すごく良く切れるので、布を刃に落とすだけで切れてしまう」
バーバラさんの持っているナイフの刃を上に立て、僕がそこに布を落とすと、布はスパッと切れていきました。
バーバラさんは、それはそうでしょって顔していて、シャルティルたちも同じ顔をしてきました。
「切れましたねシャルティル様」
「エミリーそれはそうよ」
「何が言いたいんですか白騎士様?」
バーバラさんが答えを求めて来たので、僕は当然とばかりに解説を始めます。
エメローネ様たちも近づいてきて、丁度良いと思った僕は、再度ナイフに布を落とす準備をします。
「良いですか、今度は僕がナイフを持って、バーバラさんが布を落としてください」
「そんな事をしても同じですよ?」
「そうならないのが僕の答えです、見ててください」
バーバラさんは、半信半疑で布を落とします。すると布は切れず、ナイフの上にかぶさってしまった。
みんながどうしてだと驚いてきましたが、これは手品ではありません。
「どどど、どうして!?」
「ちょっちょっと!?どうしてよ!なにが違うのよアレシャ」
シャルティルが、驚きすぎてアレシャスと言いそうだったので、僕はすぐに手で口をふさぎに掛かります。
そして、物質には切れるタイミングと言う物が存在すると、みんなに教えたんです。
「そんなモノが存在するのか?」
「そうですよエメローネ殿。これは【モノの呼吸】と呼ばれる現象で、それを外す事で、切れるはずのモノが切れなくなるんです。そして、それは逆に斬ることも出来ます」
斬れることを証明する為、僕は銅の剣を取り出しあの鱗の前で構えたんだ。
誰もが斬れるわけないと思っているけど、僕はそうは思ってません。
「これはなんの変哲もない銅の剣です。これを領域に入って呼吸を合わせれば」
精神を集中させ、鱗の呼吸に合わせて剣を当てた。
力を入れず、ただ振りぬいただけに見えたでしょう。でも、鱗は半分に入れていったんだ。
「すご!?」
「ほんとに斬っちゃったわ」
エミリーとシャルティルが驚き、騎士たちは口を大きく開け、それどころじゃないようです。
「こんな感じで、剣を極めると武技やスキルを使わなくても、すごい事も出来るんですよ」
「し、ししし白騎士様・・・どうかあたしを弟子にしてくださいっ!!」
バーバラさんが最初に覚醒して、僕の前で土下座の体勢でお願いしてきました。
僕は戸惑って後ろに下がってしまったんだけど、ほかの女性騎士たちまで同じ感じになっちゃったんだ。エメローネ様をみると、やれやれって感じで止めてくれません。
「悪いけど、僕は弟子はとらないよ、僕だってまだ未熟なんだ」
「「「「「そんな!?」」」」」
「それに、僕と君たちでは進む道が違う、エメローネ殿と同じ道が君たちの道でしょ」
エメローネ様の方を向き、僕はそう告げました。
そして、女性騎士たちも分かってくれたようで、立ち上がってエメローネ様に敬礼をしたんです。
「僕は弟子は取りませんが、訓練内容はバーバラ殿に伝えました。これで精進してください」
「「「「「はい!白騎士様」」」」」
そこからは、模型の滝をジッと見る女性騎士たちが訓練を始めた。僕はその間に壁の補強に専念する事が出来ました。
そして、その後に少しだけ訓練につき合う事になったけど、誰一人僕に付いてこれなかったよ。
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