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2章 戦争の第一歩

47話 交渉

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「ここがザラートですのね・・・普通ですわね」


馬車でザラートの王都に入った私たちは、窓の外を眺めています、ビクトールの感想の通り、レンガ造りでこちらと同じ感じなの、ちょっとつまらないわね。


「まぁ文化の違いがないって事よ、私たちの砦の方が驚かれるかもね」

「「「「「ああ~」」」」」


みんなに何だか納得の声を貰ったんだけど、何だか呆れられてる感じでした。そして馬車は城に入り、私たちは机とイスが並ぶ会議室に通されたわ。


「ちょっと嫌な気配ね、みんな注意しておいて」


私はここに通される前に気になっています、階段を登り城の角の部屋だったのが決め手です。ここなら外から魔法で破壊しても城に損害は薄いわ。


「まぁ考えすぎの可能性もあるわ・・・さて、どうなのかしらね、楽しみだわ」


にやけて待っていると部屋の扉が開き、騎士風の男性2人と、貴族服の男性が1人入ってきたの、なかなかの金髪イケメンたちよ。


「ようこそザラートへ、自分は参謀のアラアズ伯爵です」


自己紹介をしてくれた参謀さんは良い笑顔です、でもこれは社交辞令ね、私たちも名乗って早速話し合いです、内容は降伏勧告なのでアラアズはかなり渋い顔よ。


「食料に金品、兵士も戦える大人全てとは、これでは国が滅びます」


ビクトールたちはお茶を飲んで余裕です、これは降伏勧告なのでそれ位は当然なのよ、攻めてきたのはそっちなんだからね。

でも私の考えは違うわ、これは揺さぶりよ。


「そちらが攻撃してきたのですもの、それ位は当然ですわ・・・っと言いたいのですが我が国は寛大ですの、進軍の為の兵と食料、それと我が国の兵が駐屯出来るように許可してくださいまし」

「進軍・・・まさか隣のジブラーンを攻めると言うのですか!?」


アラアズが先を読んで驚いてるわ、ビクトールがそれに頷き、大国と対等になろうとしていることを話したわ、アラアズはかなり動揺しているのよ。


「ほ、本気なのですか!?」

「ええ本気ですわ、あたくしたち中規模3国を統合すればそれも可能ですわ、リーンハイドくらいは脅威と感じて仕掛けてきそうですが、望むところですわよ」


リーンハイドとは、ここから北にある大国の1つです、大国の中では小さい方ですから、私たちが協力体制になったら何かしてくると思うわ。


「あなた達は確かに強い、自分たちが手も足も出ませんでしたから・・・しかしそれは中規模国での話、大国が相手となると他の中小国とも戦うことになるのですよ」


アラアズはかなり動揺しているわ、大国は他に協力する国を持ってるわ、だから手が出せないのだけど、何も真っ向から戦うとは言ってないわよ。


「その為の準備はしていますの、だから外の人達を下がらせてくださいましな」


ビクトールがそう言った後、優雅にお茶を飲んでいます、ビクトールが大国と戦うと言った辺りから、外に兵士が集まっているの、普通のエリアサーチでは分からないように隠蔽しているけど、私のシールドカメラには効かないわ。


「ど、どうして気付いた」

「だから準備をしていると言ったのですわ、力とは暴力だけではありませんのよ、ちなみにこれを指示したジブラーンには、わたくしが少しお仕置きを予定してますわ」

「「「!?」」」


ビクトールのその言葉に、アラアズと騎士が驚いているわ、この交渉は相手にとって時間稼ぎなのよ、私たち主力が王都を離れている間に、ジブラーン国が本国を攻めるという作戦みたい。

そんな事、私が気づかないわけないじゃないねぇ。


「何を驚いていますの?わたくしたち3国は今まで拮抗していましたわ、どこかが攻めれば残った国がどちらかを攻めて来る、そんな力関係があったからこそ、今までどこも攻めようとしなかった、それなのにそちらは攻撃をしてきましたわ、少し考えれば分かります」

「我々が協力した証拠はどこにもない!言いがかりをつけないでいただきたいな」

「証拠なんて必要ありませんわ、ジブラーンがわたくしの国に兵を向けたのは事実ですのよ、それを返り討ちにして手に入れた情報です、そちらは崩壊したジブラーンの王都を見て判断されるとよろしいわ、わたくしたちの本気を見せてあげます、もしそれでも攻めて来るのでしたら、その時は交渉などは致しません覚悟しておきなさい」


ビクトールが立ち上がり淑女の礼をしました、そして相手を笑顔で見て言ったのよ。


「国王に今言った事をしっかりと伝えなさいアラアズ、ジブラーンの様に武力制圧をされたいのか、それとも仲良く協力するかですわ」


アラアズはかなり引きつった顔をしています、本来なら外の兵士たちがここを攻撃するのでしょうが、それは愚策と分かっていて指示を出せないでいるようです。


「まぁどちらも大国にケンカを売るのは確実だから、二の足を踏んでるのかもしれないわね」


私たちの国が近くにあって、丁度攻めてしまったのが運のつきでした、返り討ちにあって協力する選択肢しかありません。


「甘いですわねラリーファ、普通ならこんなことをせずにすべてを奪い、それを使えば良いのです、向こうの王族はこちらに移動させて動けなくすれば済むのですわ」


ビクトールの答えにメリーナとキャミカルが頷いています、本来はそうするんでしょう、王族の下にいる貴族たちは勝ったものに着くそう言うモノだと言う事ですね。


「それは最後の手段よビクトール、この戦争は大国を倒しても続くわ、そうなったら長期になるから不満が出るの、最初はなるべく溜めない様にしないといつか爆発するのよ」


私がそう言うとみんなが唸っています、例え話でビクトールたちに接近戦をさせないとかを言ったら、なるほどって納得していたわ。


「じゃあわたくしたちは行きますわよラリーファ」

「ダメよビクトール、服はこっちを着て行きなさい、その方が注目される」


ビクトールたちがそそくさとバスに乗ろうとしています、ジブラーンに向かうのは指示したけど私は止めたわ、ビクトールたちには白いドレス着て戦って貰うつもりなのよ、これは必要なことよね、白い悪魔とか言われそうじゃない。


「ど、どうしても着ないといけませんの?」

「そうよビクトール、今空で戦えるのはあなた達だけ、これはかなりのアドバンテージだもの、大いに宣伝しておかなくちゃでしょ」


っと言う事で、白いドレスをビクトールたちに着せてジブラーンの王都に出陣です、王都の城周辺を集中攻撃して降伏させるんです、これでジブラーンの王族は手痛いダメージを受けるというわけです。


「王都を直接攻撃っすか、さすがラリーファっす、信じられない作戦を考えるっすね」

「ジブラーンが大軍をこちらの王都に進めて来たのがいけないのよ、あれをビクトールたちが返り討ちにしたせいで、余計にあの子たちの不満が溜まったんだからね」


砦戦に間に合わなかった時の話ですが、本来はあそこで爆撃をしてもらい降りて戦う予定でした。


「大変なんすね」

「人事みたいに言わないでよメリーナ、そろそろあなたに全権を任せたいのよ・・・そうだわ!?王都を潰して降伏させたら、国王様に言って管理してもらう人を決めて貰いましょ、もちろんあなたが言ってね」


メリーナが急に顔色を悪くし始めたわ、キャミカルが焦っています、王族が居なくなればこちらが管理しないといけなくなります、今のうちにそう言った貴族を見つけないとね。

私はビクトールたちを見送り第2他種族拠点に戻ったの、数日後ジブラーンの王都が壊滅したと報告が来て、アラアズからの降伏書が届きました、私は早速2つの国にレールを敷く準備をしたのよ。
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