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2章 戦争の第一歩

37話 街に戻って準備

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「あの村からアーボラまで4時間・・・信じられないっす」


ペルーロたちはシールドに乗った走行に慣れているので、ジープの速度にあまり驚いていません、でもメリーナとキャミカルは、目をぱちぱちさせて驚いています。

早く慣れてねふたりとも。


「傭兵ギルドに着いたわけだけど・・・ラリーファ、これが貴族様対応なんだね」


ペルーロがオドオドして肩の私に聞いてきたわ、私は「そうよ」って言いながら話の流れを見ています、今メリーナに対してローグナスたちギルド職員が整列してるの、これはメリーナに対しての普通の対応よね。

これをギルドの外でしているって事は、全て順調って事よ、良かったわ。


「ご無事で何よりですメリーナ様」

「出迎え感謝しますわローグナス、早速ですが進捗を聞かせて貰いますわ」


ローグナスとメリーナがギルドに入って行きました、キャミカルも後を追ったけど、私たちの護衛依頼はここで終わり、まず私たちは受付ね。


「カリーサさん、依頼報告をしたいんですけど」


並んでいるギルド員の中からカリーサさんを見つけ、私は目の前に飛んで行きました、カリーサさんはニッコリと笑顔になりギルドに入っていきました、私たちも後に続いて受付で袋を出してくれました、流石貴族様を護衛したって感じにスムーズです、報酬もかなりの額貰ったわ。


「30万メリーも貰えるんですね」


報酬の額は角銀貨30枚でした、普通の護衛は1人1000メリーで銀貨1枚、往復なので日数は16日、上乗せしても5万いかないわ、なのでこれはかなり高額ね。


「指名依頼でしたし、領主護衛や様々な追加報酬が加算されています、まぁ妥当かと」


詳細はハッキリと言わないようです、きっと言えないものもあるんでしょう、ペルーロが受け取りました。


「さて次ですが、他種族の方達が100人集まっておりますよラリーファファ様」


カリーサさんが羊皮紙の束をくれました、そこには名前が記載されていて他種族の傭兵が50人、傭兵でない大人が20人、それと子供とお年寄り合わせて30人です。


「思ってたよりも少ないわね、でもまぁ何とかなるかしら」


ここにメリーナの兵士が加わるわ、まぁ一緒には戦わないで、別動隊での行動になる予定です、一緒にいるといざこざが起きますからね。


「それと、作っていた道具はどういたしますか?」

「それは私が貰います、ありがとうございました」


カリーサさんにお礼を言って、私たちは倉庫に向かい、使用した機材と出来上がった道具を受け取り、また受付に戻って来てメリーナたちを待ちました。メリーナたちはしばらくして奥から来たんですけど、ちょっと暗いです。


「どうしたのメリーナ?」

「ラリーファ、家で雇っていた兵士全員が逃げたそうっす、すまないっす」


それを聞いて、私はちょっと焦りました、まさか領で雇っていた兵士、1000人全員が逃げ出すとは思わないわよね。


「どうするのラリーファ、さすがにまずいよね」

「そうね、でもこの街なら何とかなるかしら」


私は頭を直ぐに切り替え考えました、前の戦い以降、アーボラの街の門番や傭兵は、他種族と仲良く暮らしている人達が増えたわ、徴兵すれば300人は集まるでしょう。

まぁそれは最初から集める予定で、ここを守ってもらうから、連れて行く事はしないんだけどね。


「気にしないで前向きに考えましょメリーナ、他種族をあまり嫌っていない兵士だけを集められるわ、それ以外の条件は付けないで年齢も問わない、歩ければ良しにするの」

「わ、分かったっす」


メリーナがそう言って再度ギルドの奥に行きました、きっとローグナスに言って広めるんでしょう、集まるのは時間が掛かりそうですよ。


「っとなると、あの村の人たちも戦ってもらわないと、かなりきついかもしれないわね」


今すぐではないけど、まだ体調が本調子では無い人たちだから、なるべく安静にしてほしかったんだけど、これじゃ仕方ないわ。


「兵士の数が十分でないから、逃げられる可能性を考えてまだ銃を使いたくないし、他に必勝必殺の方法が欲しいわね」


少し考えをまとめながらメリーナたちの帰りを待ち、メーリリさんの宿にみんなで向かいました。そしてお風呂に入っても、まだ悩んでいます。


「ラリーファファ様は、まだ悩んでいらっしゃいますねメリーナ様」

「そうっすねキャミカル、自分のせいっす」


キャミカルに体を洗てもらっているメリーナがちょっと落ち込んでるけど、別にそれが原因じゃないわ、そっちの対策はさっき思いついたの、人がいないのならいる所から貰えば良いのよね。

私がいま考えてるのは、大きく動くと問題もあると言う事、あまり大事にすると敵の国が本腰を入れかねないわ、そしてこちらの国でも注目を集める、それはまだまだ控えたいのよ。


「メリーナ、作戦が決まったわ良く聞いて」


私は今回の作戦を決めみんなに話しました、ここにいないペルーロには後で寝る前に話すわ。

作戦はこうよ、まず砦に向かいます、そして砦の兵士たちにある程度訓練をして時を待つ。それと同時にリリフォト村のエルフたちが設置した罠を少し減らすように通達、その報酬は地下施設の1つの紹介ね。


「ちょっと待ってくださいラリーファファ様!罠を減らしたら戦う敵兵が増えてしまいます、ただでさえこちらの兵が少ないのに、敗北してしまいますよ」

「安心してよキャミカル、今回は戦わないわ、時間稼ぎだから最初からそうだったんだけど、追加で兵士補充もしちゃうの」


私の案は怪我をした兵士を村人が優しく介抱する事です、それを話すとみんなが悩んでいます、他種族が対応するからでしょうか?でもそこは時間が解決してくれるわ。


「人はね、弱ってる時に優しくされると魅かれるものよ、きっと成功するわ」


進軍途中で怪我をし、近くに村があれば立ち寄ってくる、そこで治療と奉仕をして留まってもらうの、しばらく平和に暮らせばきっと仲良くなるわ、誘拐犯と一緒にいてもそうなるのよ、時間を掛ければそれだけ可能性が出てくる、その為にも色々するけどね。


「ウチは分かる気がするウサ」

「まぁミサーラはペルーロに助けてもらって、もう好きで仕方ないものね」


私が頭に乗って撫でると、ミサーラが顔を真っ赤にしてしまいました、そして仕事の話は終わりでガールズトークです。

ミサーラのノロケを散々聞いてお風呂から上がりました、ごちそうさまミサーラ。


「ふ~ん、敵の兵士を奪うんだね」


部屋に着いた私は、早速作戦をペルーロに教えました、もちろんミサーラの件は言いませんよ。

私は頷き、更に進めたの。


「そうよペルーロ、でもそれには一緒にいるはずの上官を遠ざけないといけないわ、それに話の分かる上の人を選ばないとね」


私は右手を上げ手の平にすごく小さなシールドカメラを出したの、ペルーロが見えなくて首を傾げてれるわ。


「これをエイジャルナ・アラバンの領まで飛ばすの、そして事前に兵士の事情を調べるのよ」

「これって言われても・・・見えないよラリーファ」

「まぁ見えたらダメだからね、とても小さなシールドカメラよ、しかもこれはこっちのシールド型パソコンにデータを送ってくれるわ」


私サイズのノート型パソコンを出して見せました、ペルーロが今度は見えているので頷いてます、どう使うのかとか、内容は分からなさそうね、目をパチパチさせてるわ。


「ペルーロ、情報は戦いにおいてとても重要よ、覚えておいてね」

「わ、分かったわん」


久しぶりにペルーロの方言を聞き、私はちょっと嬉しくなって自室のベッドに入ったの。


「こちらの本軍出発は2か月後・・・時間はそれほど無いけど、何とかしないとね」


考える事は山ほどだけど、やれることは全てやってる、あの事で逃げ腰でもない。そう思って目を瞑るんだけど、眠るのにすごく時間が掛かりました。
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