ウォーキング・オブ・ザ・ヒーロー!ウォークゲーマーの僕は今日もゲーム(スキル)の為に異世界を歩く

まったりー

文字の大きさ
上 下
97 / 102
異世界クリアのラストステップ

97歩目 全員集合

しおりを挟む
「アマンダお姉ちゃん、元気でいるかなぁ」


港から海を見ながら私は呟きます、少しだけ見える大陸には、アユムお兄ちゃんたちがいて、私たちも明日出航します、今はここに集まる予定の戦力が揃うのを待っているんです。


「ローナ、最後の部隊が到着したってよ、責任者は領主の館に集合らしいぜ」


海を眺めて私のシリアス感を砕いたのは、一緒に戦いに参加するサルートでした、サルートは自分の背丈の倍はある、けん玉を肩に担いで歩いてきました、隣にはエイミーもいます、同じ位大きな竹とんぼを肩に乗せていますよ、私はサルートに返事をして地面に置いていた大きなヨーヨーを背中に担いで歩きます、これは私たちが村を出る時、トレントのおじいちゃんから貰っ特注品です。


「それにしても、人種族は俺たちだけかよ」


サルートが準備の為に働いている人を見て言ってきました、でもそれは仕方ないってエイミーがため息を付きます、人種族は今、私たちの村に訪れた勇者のアケミさんたちと一緒です、北の国を取り戻す戦いに出ているんです、そこを取り戻したらそのまま東側の海を渡り魔族大陸に向かう手はずです。


「西の大陸にある国が使えないんだもん、仕方ないじゃんサルート、それよりも驚きなのはあれだよ」


エイミーが頬を膨らませ竹とんぼを掲げて私たちに注目させました、その先には初期のヨーヨーやけん玉を持っているドワーフさんたち他種族の人達がいます、アユムお兄ちゃんたちが売り込んだんでしょうけど、エルフさん以外ほとんど持っているんですよ。


「この武器は強度が高いからな、きっと兄ちゃんたち村の為に頑張ってくれたんだ、俺たちも頑張らないとなローナ」

「そうねサルート、村を守ってくれてる叔父さんたちの為にもね」


モンスターの叔父さんたちは、残った子たちと村でお留守番です、この戦いが終わっても生活はありますからね。


「当然だぜ!帰ってみんなに話すんだ、間抜けな事は言えねぇよ」

「ふふふ、そうだねサルート」


楽しく話しながら歩いていると村一番の屋敷が見えてきました、村長さんのだけど、私の家とは比べ物にならない立派さです、門の前には今日到着した部隊が荷物を運んでいて忙しそう、それを見て私たちはちょっとホッとしています。


「人種族だな」

「だねサルート・・・でも、どうやら戦う為に来たわけじゃなさそうだよ」


エイミーが言うように、運んでいるのは食料などの商品です、恐らくどこかの商会が最後だったんでしょう、進軍は後方の支援も必要です、これが分かるようになったんだよって、アマゾンお姉ちゃんに胸を張れます。


「皆良く集まってくれた、ワタシはこの軍をウンダス国のマーメイダス様に任されたジャンクバウト侯爵だ、早速だが作戦を説明する」


会議室として使わせてもらっている大きめの部屋に入ると、責任者たちは揃っていて早速作戦会議が始まりました、でもみんなのやる気が極端に下がります、今偉そうに喋っているジャンクバウト侯爵のせいです、彼はウンダス国の部隊を任されているだけの人です、1部隊(12人)でも参加してくれた事は感謝ですけど、国としての立場を考えての参加なのは誰もが分かる事です、ジョリバンの部隊は3部隊(36人)と多目です、言い出した国なので当たり前だね、でも人種族の国なのに獣人さんたちが主流で隊長も獣人の女性です、副隊長は人種族の人なんだけど、何も言わず黙って座っています。


「敵の攻撃は陸に上がる時に行われる、皆心して船に乗ってくれ」

「ちょっと待て侯爵、何故そなたが進めている、本隊のリーダーはミケサだろう」


我慢できなくなったのか、エルフ部隊のリーダーをしているオベーリオさんが注意しました、他の人達も同じ気持ちで頷いてます、侯爵が勝手に話を進めていて怒っています。


「ミケサ殿は爵位を持っていないであろう、副官のジンバー殿は子爵だ、ワタシがやらずに誰がやるのだ?」


侯爵さんは当然って感じで言い返します、オベーリオさんが怒るのも分かります、ここにいて個別で挨拶をしていないのはこの人だけです、自分が偉いと思って私たちが行くのを待っていると部下の人が謝って来ました、リーダーであるミケサさんが注意に行くと、今の様に爵位の話をして聞かなかったそうですよ。


「まだそんな事を言ってるのかお前は!ミケサに言われていただろう、改善の意思が無ければ戦いから外れてもらうと、聞いてなかったのか!」


ここに集まっているリーダーは毎日会議を開いています、侯爵はその会議に参加せず部下に任せてきました、参加するように何度も注意されていたんです、報告だけ聞けばいいとか言って結局参加しなかったので、みんな我慢の限界です。


「それはワタシのいない場での話であろう、我はウンダス国の侯爵だぞ、わきまえるのはそちらだ」

「もういいよジャンクバウト、あんたがいるとじゃまだから国に帰りな!変わりは隣にいるサーフ子爵がやる、そう忠告はしてあっただろ」


ミケサさんが腕を組んでそう宣言しました、これは昨日の会議で決まっていた事です、黙って自分の兵士を指揮してくれれれば良かったんですが、全体を指示するとなると話は違ってきます、この戦いは負けるわけには行かないんです。


「な!?どんな権限でお前に指図されねばならん!獣人の分際で」


侯爵がそんな事を言ってしまったから、みなさんの空気が変わり、急に部屋がピリピリとします、武器を持っていないのが唯一の救いです。


「皆すまないね、こういった人種族は派遣されないはずだったんだけど、ウンダスも北の戦いに参加していて貴族が少なくて大変なんだ、どうやらこいつはそれを分かってないらしい」

「こここ、こいつだと!?きさまっ!誰に向かって言ってるのか分かっているのか!」


ミケサさんの言い方が気に入らないようです、でも私たちも怒っています、作戦は既に決まっていて最終確認と覚悟を決めるのがこの会議でした、この後はみんなで広場に向かい前夜祭をするんですよ。


「ああ分からないね、あんたは国の方針に逆らったんだ、そんな事も分からない奴なんて知るもんかね。サーフ子爵、そいつの処遇は任せたよ、あたいたちは会議を済ませたら宴に出席する、あんたもすぐに来るんだよ」

「分かっていますよミケサ殿」


サーフ子爵が返事をして兵士たちをベルで呼ぶと、侯爵さんは連れて行かれました、既に拘束する準備がされていたみたいです、私たちはやっといなくなったと会議を進め楽しみにしていた宴に参加です。


「うめぇー!やっぱミケサおばさんの料理は最高だぜ!」


サルートが両手にタコスを持って嬉しそうに言ってます、エイミーも焼きうどんって細長い食べ物を食べて喜んでいますよ、私はタコ焼きって食べ物を食べながら歩いています。
丁度その目線の先にミケサさんたちが新しい料理を出しています、今日来た商人のサージュエルさんが商談を持ち掛けていますね。


「あの商人のお姉ちゃんもたくましいよね、あれって何度も断られてるんでしょ?」

「エイミーあれはまた違う話よ、今話しているのは、いくらでも水が湧く盃を売ってくれって話をしてるの」


ミケサさんたちが料理に使っているお水は、全てその盃から汲まれています、そのお水はとても綺麗で病気なども治しちゃうんだそうですよ、アユムお兄ちゃん以外にも凄い魔道具を作る人がいるんだって、私はミケサさんに話しを振ったんですけど、それを作ったのはアユムお兄ちゃんでした、しかも驚くことに、ここにいる人たちのほとんどはアユムお兄ちゃんを知っていました、凄く有名になってるそうです。


「ふぅ~ん、大変なんだね」

「そうよ・・・それにあの人達、アユムお兄ちゃんに会う為に参加したみたい、特にあの子はすごく積極的だよ」


サージュエルさんの隣でオロオロしている女の子はアンシーと言います、私たちよりも3歳から4歳年上って感じの人で、アユムお兄ちゃんの事を好きみたいです、お兄ちゃんの話になるとすごくキラキラした目をします、それは他の部隊にもいます、アユムお兄ちゃんが頑張っているのが分かって嬉しかったです。


「それはミケサおばちゃんの子供もだろ?・・・ってか、ここにいる奴らでアユム兄ちゃんたちに会うのを目的としてねぇのっているのか?」

「「たしかに」」


サルートがタコスを口に入れてそんな事を言ってきした、私もエイミーも顔を見合って頷き笑ったんです。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

クラスで異世界召喚する前にスキルの検証に30年貰ってもいいですか?

ばふぉりん
ファンタジー
 中学三年のある朝、突然教室が光だし、光が収まるとそこには女神様が!  「貴方達は異世界へと勇者召喚されましたが、そのままでは忍びないのでなんとか召喚に割り込みをかけあちらの世界にあった身体へ変換させると共にスキルを与えます。更に何か願いを叶えてあげましょう。これも召喚を止められなかった詫びとします」  「それでは女神様、どんなスキルかわからないまま行くのは不安なので検証期間を30年頂いてもよろしいですか?」  これはスキルを使いこなせないまま召喚された者と、使いこなし過ぎた者の異世界物語である。  <前作ラストで書いた(本当に描きたかったこと)をやってみようと思ったセルフスピンオフです!うまく行くかどうかはホント不安でしかありませんが、表現方法とか教えて頂けると幸いです> 注)本作品は横書きで書いており、顔文字も所々で顔を出してきますので、横読み?推奨です。 (読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...