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2章 支店

37杯目 熱血王子の合図

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「危険ですライオルド王子」


俺の護衛騎士であるララーンが止めるが、危険だからこそ意味がある。
俺は、敵国デデントモルのデール砦に攻め込んだ理由と、正式な宣戦布告をしなくてはならない。


「これは、王族である俺の役目だ、止めるんじゃないララーン」
「伝令なら他の兵士にお任せください」
「いいや、それこそ兵の命が失われる」


俺なら矢を叩き落せるし、宣戦布告には丁度良いとララーンに合図があれば突撃するように伝えた。
ミケミ師匠を含めた兵士は総勢3000、相手は7000と聞いているからララーンの心配も分かるが、今回俺が率いた兵はミケミ師匠たちだけなのだ。


「2つの国が攻めて来る可能性があったから分散したが、ミケミ師匠たちが俺に付いてくれているんだ、無様な戦いは出来ない」


見ててください師匠っと、砦に歩いて近づき俺は宣言したんだ。
王族である事を宣言し、罠に嵌めた国を許すわけにはいかない、謝罪が無ければ攻撃を開始すると俺は伝えたが、砦側からは笑う声が聞こえた。


「そうか、お前たちの返答は侮辱だったか」


それならば今から攻撃を開始すると宣言し闘気を高め始めたが、砦から無数の矢が飛んで来た。
だが、それが俺に触れる事はなく、闘技【ファイナルインパクト】を放ち砦の壁を破壊した。


「さぁ合図をしたぞララーン、突撃して来い」


そうじゃないと俺が全て倒してしまうぞっと、砦から出て来る兵士を倒して進んで行ったんだ。
普通の兵士はとても弱く、俺の爪で三枚におろせてしまう。


「弱いっ!弱すぎるぞお前らっ!!」


こんな弱い奴らの相手をミケミ師匠にさせてはいけない、そう思い始めて俺は急いで敵を倒してしまう事にした。
向かってくる敵は瞬殺し、大きかろうと関係なくぶっ倒し、いよいよとなる服装の男が前で出て来たよ。


「我が名はジャイデン、この砦で最強の騎士だ」
「そうか、俺はライオーン族の王子、ライオルド・バル・ライデン、いざ尋常に勝負っ!」
「良いだろう、食らうがいい!斧技【アックスラッシュ】」


大きな斧を振り下ろして来て、それは高速で繰り出されたが、正直弱くて片手で捌けてしまった。
これでここの最強とか、余計ミケミ師匠に任せるのは失礼と、俺は斧を殴り壊し男の顔をめがけて拳を繰り出して破壊した。


「た、隊長が!」
「ば、バケモノだあぁぁぁーーー!」
「弱い、弱すぎるぞお前ら」


それでも兵士かと怒鳴り、逃げる兵士を倒して行き、遂にそこを指揮していた貴族に対面した。
そいつは戦えるのかと言った容姿で、最初太ったボアかと思ったよ。


「まぁいい、お前の首を持ってお前の国を攻め落とすか」
「わ、ワシを殺したら、お前は国から狙われるぞ」
「元から狙われている、来るなら来やがれ」


男の頭を首から切断し、勝利の雄叫びを上げた。
敵兵はそれを聞き武器を捨てたようで、廊下を歩き外に出る間に確認できた。


「ライオルド王子」
「ララーンか、こいつを持って陣に戻れ、俺はまだ仕事がある」
「りょ、了解しました」


ララーンが箱を持って陣に走り、俺は砦で仕事をしてくれてるミケミ師匠を探した。
匂いを辿り直ぐに見つけると、跪いて報告したんだ。


「ふむ、よくやったなライオルド」
「はい、完璧にこなしたっす」
「そうだね、あたいが来る前に全てを終わらせた、さすがだ」


ミケミ師匠にヨシヨシと頭を撫でてもらえて、俺はもう喜びで失神しそうだが、俺の仕事はまだ残っている。
敵兵を陣に移動させ、進軍しなくてはならないんだ。


「次の砦はもっと手強いと良いが、望みは薄いかも知れないな」


2つの国で戦いを挑んで来た時点で、相手は弱く俺たちを恐れていた。
ミケミ師匠の手を煩わしてはならない敵で、俺は苛立ちを覚えたんだ。


「次の砦であの箱を引き渡すが、時間は掛けられないな」


相手は人種族だから、恐らく時間を稼ごうとしてくる、その時は俺が先陣を切ってぶっ倒すと決めた。
進軍して数日後、その砦に到着した俺たちは、前の様に俺だけで砦の前に立って箱を投げ入れて宣言したんだ。


「投降しろ、さもないと殲滅する、これはそちらが犯した罪だ」


5分待つと宣告し、俺はその時間を使って闘気を溜めた。
相手は投降するかどうかの話し合いをするでもなく、矢を飛ばして来たので、同じ様に壁を破壊してやったよ。


「浅はかだ、こんな奴らに俺は嵌められ殺されそうになったのか」


むかしの自分を殴りたくなったが、それがあったからミケミ師匠に出会うことが出来て今の自分がある。
そこは感謝したが、罪は償ってもらう必要があり、俺は砦に乗り込んだ。


「さぁ掛かってこい、ライオーン族王子、ライオルド・バル・ライデンが相手だ」


雄叫びを上げ、俺は向かってくる敵をなぎ倒して行き、その砦でも同じ様に勝利する事が出来た。
またミケミ師匠に褒められたが、そろそろ王族として振る舞えと一喝されたんだ。


「しかし師匠、こいつらにミケミ師匠の相手をさせる訳にはいきません」
「そうかもしれないが、あんたは国の王族だよ、それを忘れるんじゃない」
「分かりましたミケミ師匠」


やはりすごいお方だと、ミケミ師匠を見上げて尊敬した。
俺は王族に生まれただけで偉いわけではないが、それを変える事は出来ないのだから努めなければならない。


「次はあたいたちが出るよ」
「お願いしますミケミ師匠」
「まぁ次はないだろうけどね」


ミケミ師匠は、次の砦が降伏すると予想して来て、それは現実になった。
その数日後、デデントモル国の王族が白旗を上げて対面して来て、この戦争は俺たちの勝利に終わったが、ここからが王族である俺の役目で、ちゃんとした交渉の場に招かれたんだ。


「ワタシは第5皇子のデデル・オン・トモルです」
「それで、どういった内容が好ましいかな?」
「その前に謝罪がしたい、我が国がそなたを暗殺しようとした事、まことに申し訳ない」
「それはもういい、言葉よりも行動で示せ」


援軍で参加した俺たちを罠に嵌めたんだ、それは獣人であったなら恥知らずが行う行動で、死んでも許されない。
それにふさわしい謝罪内容を聞きたかったが、普通の降伏条件であったから笑いそうになったよ。


「そなた、ほんとに分かっているのか?」
「ワタシたちに出来るのはこれくらいです」
「ふむ、謝礼金に王族数名の首、正直いらんな」
「で、ではどうすれば」


そんな事は簡単っと、俺はメンヤ殿との話し合いで決まった事を告げた。
武器を捨て畑を作る事、それを敗戦国に言い渡したんだ。


「そ、そんな!?それではワタシたちは戦えなくなってしまう」
「そなたこそ分かっていない、戦いはもう終わったのだ、これからは民を育てる為に時間を使うんだよ」
「し、しかし、他の国に攻め込まれたらどうするのです」


その時は俺たちが出向く、そしてそれは俺たちに歯向かった事になり、同じ末路になるだろうと言ってやった。
ゾッとしたのか、顔を青くして頷いて来たが、恐らくそんな者はいないだろう。
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