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2章 コスで冒険

36話 エリーヌさんとデート

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「はぁ~緊張する」


生まれて初めて、僕は今からデートをします、人を怖がり嫌っていた僕が異性とデートです、男性の姿で噴水広場に立ってソワソワしてます、服もクレミルを参考にカッコイイ系の服(コス)で揃えました。


《ステータス》(コスプレ中)
【名前】遠藤竜(リュウ)
【年齢】16歳
【性別】男
【種族】ヒューマン
【職業】コスプレイヤー(〇〇戦士)
【レベル】1(300)
【HP】100(○○)【MP】50(○〇)
【力】100(〇〇)【防御】100(○○)
【素早さ】150(○○)【魔法抵抗】50(○○)
【魔法】
なし
【スキル】
収納レベルMax
(格闘レベル〇〇)
裁縫レベル5
調理レベル3
【ユニークスキル】
コスプレ
永遠の16歳
不眠不休
不思議のダンジョンレベル3
《酒ダンジョン》
《野菜ダンジョン》
《肉ダンジョン》
(〇〇戦士)
【称号】
破滅のランナー・世界を越えたコスプレイヤー・お酒ダンジョン制覇者・魅了の笑顔・恐怖の笑顔・宣伝娘・お酒ダンジョン制覇者・お仕置き人・迷惑っ子・二つ名持ち・ドジっ子・野菜ダンジョン制覇者・闇のお仕置き人・最高の指導者・救済者・肉ダンジョン制覇者


ほんとはリュウを担当してる分身に頼めばいいと思ったんだ、だけど拒否されました、約束したのは本体の僕だからです、相手に失礼なのは僕も感じていたから何も言えなかったよ。
コスが中途半端なのでレベルだけは記載されていました、僕の他にも待ち合わせの人達はいます、視線が気になるけど怖くないんだ、ほんとに僕は変われたとちょっとだけ嬉しいよ。


「リュウく~ん」


遠くからエリーヌさんが手を振って走ってきます、清楚系で揃えた白い服がとても綺麗で僕はドキっとしました。
待ち合わせの定番「待った?」と聞かれたので、「今来た所です」と応対をします、そしてエリーヌさんの服を褒め僕もかっこいいと言われたんだ。


「ありがとうございますエリーヌさん」


素直なお礼を伝えると、エリーヌさんは顔を手で隠し後ろを向いてしまいました、何処か変だったのかと不安になります。
これからどうしますか?っと変だったことを隠し聞きます、話を進める為にも必要ですよね、正直僕に女性のエスコートは難易度が高すぎます、お祭りと言えばコスイベントしか行った事ないし、そもそも他人と遊んだこともないんだ。
それなのに、いきなりこんな綺麗なお姉さんとデートなんて、子供がプロの選手に挑むくらい無謀だよ。


「そうねぇ~・・・じゃあ、北の貴族区に行きましょ、あそこは露店が少ないから人もあまりいないの」


エリーヌさんがウインクして僕の手を引っ張ってくれます、他人に触られたのは男性の姿ですごく久しぶりです、凄くドキドキして歩きました、少しして落ち着くと周りが見えるようになり、お祭りなのに露店が出ていないことに気付いたんだ、僕の為にこんな所に来て楽しくないんじゃ?っと不安になったよ、だけどエリーヌさんは楽しそうです、僕の視線に気づくと笑顔を見せてくれます。
気遣いの出来るエリーヌさんはモテるだろうなぁっと、数少ない食べ物の露店を回ります、代金は僕が出します、エリーヌさんは遠慮してきたけど、お礼も兼ねているので押し通しました。


「優しいのねリュウ君、ありがと」

「ふぇっ!?」


僕の腕にエリーヌさんが絡みつき、僕はすごく動揺します、ドキドキが止まらず串焼きを落としそうになりました、凄く近い笑顔のエリーヌさんと一緒に成人者たちに手を振り、露店の出し物を見て歩いて楽しい時間を過ごします。
昼はちょっと豪華な食事屋にエリーヌさんが勧めてきました、貴族区なので当たり前かもっと入店です、注文はエリーヌさん任せだけど、メニューは腸詰めやサラダとコース料理が出てきたんだ、味も美味しかったよ。


「魚は無いんですね」

「魚?・・・ここでは海が遠いからね、リュウ君の国では魚を良く食べるの?」


ここでは見た事なかった、今頃になって気付いた僕でした、エリーヌさんに魚料理の話をしたら、行ければ海の見える街に旅行に行こうと誘われちゃったよ。
デートも初めてなのに旅行は無理です!エリーヌさんに約束は出来ないと前置きはしましたけど、行ければいいねと話をまとめたんだ。
絶対ねとか言われちゃったけど、それよりもお皿を下げられる時、ちょっと困る内容がエリーヌさんから提示されました、僕はどうしようと悩んじゃったよ。


「無理にとは言わないわ、だけどパーシェントもアタシみたいにあなたが好きなの、その気持ちは本物だし、予定が無ければ付き合ってあげてくれないかしら」

「訓練もお祭りの3日間は無いですし、予定はないですけど・・・エリーヌさんは良いんですか?」


違う女性とデートをするのは嫌ですよね?そう思って聞いたのに、エリーヌさんは頭を傾けて不思議そうです、僕はそんなにモテた事はありません、いきなり二股とか無理です、相手の人が許しても僕の許容量を超えます。
ここで僕は少し考えます、このデートの軽さは僕が思うほどのモノじゃないのかもと考え直しました、つまりデートと言っても友達と遊ぶ感覚です、エリーヌさんがパーシェントさんを勧めてるのはそれなんだと確信を得たんだよ、だから僕は了承しました、友達とお祭りに行くなら問題ありません。


「やったわ!じゃあ早速教えに行かなくちゃね」


行きましょっと、僕の手を引っ張り冒険者ギルドに向かいました、受付ではグテーっとしてる女性たちがいましたよ。
エリーヌさんが教えてくれたけど、新年祭なのに遊ぶ事も出来ないで仕事に出され、ものすごく嫌なんだそうです。


「みんなが遊んでるのにお仕事は嫌だよね」


エリーヌさんが受付に向かったので、僕はテーブルの並ぶ手前で待ち独り言です、エリーヌさんが近づくと、冷やかしだ!とか聞こえてきます、怒るのも分かるよ、お菓子でも買ってくれば良かったね。
遠くからエリーヌさんたちの言い合いを見て、仲がいいなぁっと僕は笑って見ていました、でも途中でパーシェントさんが僕の方に手を振ります、あれは明日よろしくって事でしょう、手を振り返して返事をしておきました。
エリーヌさんが戻って来て外に出るまで、僕は手を振り続けます、隣の女性たちはちょっと怖かったように見えましたね。


「パーシェント、とても喜んでたわよリュウ君」

「お仕事大変ですもんね、息抜きは必要ですよ」


ギルドには冒険者たちはいませんでした、でも万が一があるから待機していたんでしょう、ほんとに大変なお仕事です。
エリーヌさんの苦労話を聞きながら、午後からのお祭りは中央広場で見学です、屋台もフルーツや肉と沢山出ていて、賑わいはここが一番だと思いました。
それ以外の出し物としては、大道芸人さんたちです、ナイフを使ったジャグリングをしていたり、口から火を出したりしています、その中に成人者が投げる球を目隠しで避けてる人がいたんだ、その人に当てると賞金が貰えるらしいよ、ちょっと離れて宣伝してる人が説明してます。


「参加費は大銅貨5枚、当てたら銀貨5枚ですか・・・目隠ししてるのに見事に避けますね」

「リュウ君はピュアねぇ、あれは危機察知スキルで避けてるのよ、目隠ししていても変わらないわ」


スキルを持っているから出来ると、エリーヌさんが嫌そうです、賞金は誰も貰えないのが決まってるそうですよ。
必勝法はないのかと僕は質問します、でもエリーヌさんは無理と即答でした、列には100人以上が並んでいますけど、1度に参加する人数は3人と限定されています、3人では同時に投げても避けられてしまうと諦めてます。
ほんとにそうだろうか?僕は避けている人を見て気になってることがあります、それは動きが大きい事です、使える広さは大体10㎡です、恐らくスキルで来るのは分かるけど、何処に当たるのかは分からないんだ、それなら方法はある、そう思ってエリーヌさんにヒソヒソと教えてみます。


「なるほど・・・いけるかもしれないわね」


エリーヌさんが悪役っぽい笑顔をしてすごんでいます、早速試してみようと並んでいる成人者の子たちを3人捕まえます、事情を話し試しにやってもらう約束をしたんだ。
エリーヌさんが戻って来ると、とても良い笑顔をしていました、何でも昔に自分もやられて悔しい思いをしたそうです。
じゃあ楽しみですねっと、僕たちはその子たちの番を待ちます。


「でもリュウ君、良く気付いたわね」

「誰でも目標があった方が投げやすいけど、狙いが良すぎると思っただけです、あれはそれを有効に使って騙す戦法です」


成人者たちは目隠しの人を外さずに投げていました、恐らく挑発スキルも使っているのかもです、だから彼らには目を瞑って投げてもらう約束をしました、それならどこに投げるのか分からない、当たらないかもしれないけど、少しの時間差しかない球が飛んで行きます、今までよりは格段に避けるのが難しくなるんです。
目隠しの人は、大きく移動する以外にも規則性があります、それは前後には避けない事です、前後にも10mの空間があります、だけど左右にしか動かなかったんだ、投げて来る位置は正面7m地点、だから危機察知が知らせた位置から移動するけど、後ろだと避けきれない可能性が出て来る、だから左右に移動するんだ。
身体のどこに当たるのかが分からないと大変です、僕の予想が正しければ、避けた位置に球が飛んでいても危機察知が発動したままになり、回避が間に合わないはずです、その予想は当たり、見事に球を当てる事に成功しました、周りはすごい騒ぎになりました、エリーヌさんが僕に抱き付いて喜んでくれます。


「すごいわリュウ君!ほんとに当てちゃった」

「運も味方に付けましたね、身体1つ分の位置に球が2つ飛びました」

「それでもすごいわ!胸がスカっとした」


勢いで僕のほっぺにキスをするほど、エリーヌさんが興奮しちゃいました、周りの人達も興奮してるので気持ちは分かります、だけど恥ずかしいのでやめてほしいです。
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