【完結】乗り過ごし鉄道

 中学一年生になり、初めて一人で電車に乗った奏はうっかり寝てしまい、最寄りの駅を乗り過ごしてしまう。仕方がなく、知らない街で電車から一度降りることに。その街はとても変わっていた。
 大きなクマのぬいぐるみが置かれたレコード屋、革張りのソファや振り子時計、足踏み式のミシンなどを扱う古い家具屋、エプロン付きワンピースを着たトルソーが並ぶ古着屋など。少し不思議なお店が軒を連ねるアーケード商店街を通り過ぎようとした時、車一台がようやく通ることができる横道が目に入った。
 その横道を進んでいくと、「乗り過ごし鉄道」という名の絵本屋に行き当たる。

 世界中の絵本を扱うこの店を、奏はこの街で最も不思議なお店だと思った。
 なぜか。
 それは、この店の中で絵本を読むと、絵本の世界中に入り込むことができるからだった。



 不思議な絵本屋に出会った少女の世界は、少しだけ明るく変わっていく。
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