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第3章
第13話 お嬢様に必要なのは花嫁修行?
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翌日。
眠っていたシアは瞳を開けた。
気だるげに瞼を擦ると、あたりを見渡した。
誰もいない、室内。
いつもなら、ネオが起こしにくるはずなのに……
どうしてこんなに、静かなのだろうか。
ベッドから立ち上がると、シアは口を開いた。
「ネオ」
呼んだら、すぐにやってくるネオ。
シアの言葉を聞き流しつつ、稽古の日程を告げるのが日常だ。
それなのに……
呼んだ声に、反応するものはない。
しん、と静まりかえった部屋が、虚しさを感じさせる。
コンコン、とノックする音。
扉が開くと、シアは口を尖らせた。
「呼んだら、すぐにきなさいよね。ネオ」
そこまで口にして、シアはかたまった。
部屋を訪れたのは、ネオではない。
執事長だった。
「申し訳ございません。シアお嬢様に、ご当主様よりご伝言がございます」
「……なに?」
当主ということは、シアの父親からの伝言。
珍しいこともあるものだ、と、シアは自嘲気味に笑みを浮かべた。
執事長は、淡々と口を開いた。
「本日より、お嬢様のお稽古事は休止といたします。そのかわりに、《花嫁修業》の項目を受けていただくことになります」
「お稽古が、休止……?」
「いまのシアお嬢様に必要なことは、淑女としての心得であると、ネオが判断して、ご当主様に提案したからでございます」
「どういうこと?」
突然のことに、頭のなかがパニックになる。
しかし、執事長は首を横に振った。
「シアお嬢様の《花嫁修業》の担当は、ネオがおこないます。ご当主様は、ネオに一任しておりますので、私からはなにも」
「……そう」
これ以上なにか聞いても、無駄だろう。
そう判断したシアは、ため息をついた。
「なにかございましたら、お呼びください」
執事長が深々と頭を下げると、部屋をあとにした。
お稽古事が、なくなる……?
淑女としての心得って、どういうこと……?
もやもやとした気持ちを抱えたまま、シアは再び、大きなため息をついた。
眠っていたシアは瞳を開けた。
気だるげに瞼を擦ると、あたりを見渡した。
誰もいない、室内。
いつもなら、ネオが起こしにくるはずなのに……
どうしてこんなに、静かなのだろうか。
ベッドから立ち上がると、シアは口を開いた。
「ネオ」
呼んだら、すぐにやってくるネオ。
シアの言葉を聞き流しつつ、稽古の日程を告げるのが日常だ。
それなのに……
呼んだ声に、反応するものはない。
しん、と静まりかえった部屋が、虚しさを感じさせる。
コンコン、とノックする音。
扉が開くと、シアは口を尖らせた。
「呼んだら、すぐにきなさいよね。ネオ」
そこまで口にして、シアはかたまった。
部屋を訪れたのは、ネオではない。
執事長だった。
「申し訳ございません。シアお嬢様に、ご当主様よりご伝言がございます」
「……なに?」
当主ということは、シアの父親からの伝言。
珍しいこともあるものだ、と、シアは自嘲気味に笑みを浮かべた。
執事長は、淡々と口を開いた。
「本日より、お嬢様のお稽古事は休止といたします。そのかわりに、《花嫁修業》の項目を受けていただくことになります」
「お稽古が、休止……?」
「いまのシアお嬢様に必要なことは、淑女としての心得であると、ネオが判断して、ご当主様に提案したからでございます」
「どういうこと?」
突然のことに、頭のなかがパニックになる。
しかし、執事長は首を横に振った。
「シアお嬢様の《花嫁修業》の担当は、ネオがおこないます。ご当主様は、ネオに一任しておりますので、私からはなにも」
「……そう」
これ以上なにか聞いても、無駄だろう。
そう判断したシアは、ため息をついた。
「なにかございましたら、お呼びください」
執事長が深々と頭を下げると、部屋をあとにした。
お稽古事が、なくなる……?
淑女としての心得って、どういうこと……?
もやもやとした気持ちを抱えたまま、シアは再び、大きなため息をついた。
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