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第四章 暗黒神編
第64話 六魔
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ストローを口に息を吹き入れ泡を立てて遊ぶシャリエル、それを見ていたグレーウルフの仲間達は彼女の異変にすぐ気が付いた。
「元気無いねシャリエル」
心配そうに背中をさするアーネスト、元気が無い……確かにそうだった。
理由はセリス、暗黒神復活から一週間全く姿すら見せない……何処で何をしているのかが無性に気になって居たのだった。
最近各国の至る所で魔人族や魔獣が出現し大陸はかつて無いほどに危険な状態となって居る……セリスの事を気にしている場合では無いのは分かっているが何故か彼の所為で妙に調子が狂ってしまった。
「恋……ですか?」
「こ、こ、恋?!」
サレシュの言葉に動揺するシャリエル、自分がセリスに恋をして居る?あり得なかった。
いや、この感情は恋をして居る自分を信じたく無い……そんな感情だった。
「はぁ……何やってんのかな」
ため息を吐くとシャリエルはそっと空を仰いだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うーむ」
高価な茶器を片手にバルコニーでチェス盤を眺め唸る様な声を出すアルシャルテ、向かい側に座り相手をして居るアルセリスは困惑して居た。
たまたまオーリエス帝国に休暇を兼ねて寄ったのは良いがまさか皇帝のチェス相手をするとは思わなかった、話しがあると言われ連れてこられたは良いが……一向に話し出す様子も無い、それに加えてアルシャルテ、彼は驚く程にチェスが弱かった。
天才軍師と言われている皇帝が役割すらあやふやな初心者よりも弱いとは驚きが一周してもはや驚けないレベルだった。
「そう言えば最近魔人が各地で発見される様になってな」
ナイトの駒を動かしながら言うアルシャルテ、アルセリスは盤面を見つめながら無言で頷いた。
「冒険者の間では暗黒神の復活で持ちきりだ、魔なる物が動きし時闇の復活は近い……ってな」
「魔なる者……ですか」
知らない程のリアクションを取りながらアルシャルテのキングを取る、するとアルシャルテは分かりやすく悔しそうなリアクションをした。
「正直暗黒神などお伽話とばかり思っていた、だが魔物や魔獣の出現頻度を見るとな」
そう言い冒険者の名前にばつ印が振られた紙を取り出す、ざっとその数は百を超えて居た。
「オーリエス帝国だけでこれだ、他国も合わせると……数千は行くかも知れん」
低級の冒険者ばかりがやられているとは言えその数字に軽く驚く、とは言えアルカド王国の部下たちは精鋭揃い、負けはゼロに等しかった。
問題はどうやって民衆に好印象を植え付けるか、ランスロットの件もありなるべく補佐達の単独行動は避けたい所だった。
「そう言えばアダムスを覚えているか?」
「確かアルスセンテの中では一番実戦不足の……」
「そうだ、彼が西に数十キロ地点の古城で特異な魔物を見つけてな、今調査中だ」
特異な魔物と言う言葉に反応するアルセリス、恐らく暗黒神が従える六魔だった。
ゲーム時代の強さはかなりの物、シャリエルでも勝てるか怪しい強さ……ちょうどアルカド王国を売り込むのに良さそうだった。
「なんなら私が行きましょうか?」
そう言い立ち上がるアルセリス、その姿を見てアルシャルテは嬉しそうに笑った。
「ちょうど頼みたかった、今のアダムスでは少し心配でな」
そう言い苦笑いをするアルシャルテ、確かにアダムスは弱いが『今の』と言う言葉が少しばかり気になった。
「それじゃあ依頼承りました」
それだけを言い残し冒険者ギルドの入り口へ貴族風で尚且つ傷だらけの冒険者を装い転移する、そして息を整えギルドに駆け込むと必死の形相を作り叫んだ。
「西の古城で魔物だ!仲間が戦っている、報酬は言い値で払うから助けてくれ!」
そう言い倒れこむ、すると近くの冒険者は何事かと駆け寄ってきた。
「どうした!?すごい怪我だぞ!」
「西の古城で魔物と遭遇した、アダムス様が交戦中だが増援が欲しい、勿論報酬は言い値で払う」
その言葉に冒険者達の殆どが立ち上がる、やはり金の亡者……作戦は成功だった。
ふらふらとした足取りでトイレに入ると遮音魔法を使い外部に音が漏れない様にする、そして耳に手を当てた。
『フェンディル、手は空いているか?』
『はい』
雑音が混じりながらもフェンディルの低い声が聞こえてくる、するとアルセリスは少し早口で言った。
『西の古城で魔物が発生したらしい、恐らく六魔の一体、アダムスと言う男が先に行っているらしいがギリギリまで手助けはするな、死ぬ一歩手前位で助けに入れ』
その言葉にフェンディルは了承しながらも疑問を隠せない様子だった。
『回りくどい事をする理由はアルカド王国の存在を知らせる為だ、倒した時にアルカド王国の事も伝うる様に』
『かしこまりました』
そう言い残すとフェンディルは通話を切る、面倒くさいがこれは王国を好印象で表舞台に立たせる為……正直自分が戦いたかったが仕方ないだろう。
暗黒神との戦いもまだ残っている……後は他の守護者達の役割も考えなくてはならなかった。
「一週間の休暇も短いものだな」
そう言いアルセリスは笑うとトイレから姿を消した。
「元気無いねシャリエル」
心配そうに背中をさするアーネスト、元気が無い……確かにそうだった。
理由はセリス、暗黒神復活から一週間全く姿すら見せない……何処で何をしているのかが無性に気になって居たのだった。
最近各国の至る所で魔人族や魔獣が出現し大陸はかつて無いほどに危険な状態となって居る……セリスの事を気にしている場合では無いのは分かっているが何故か彼の所為で妙に調子が狂ってしまった。
「恋……ですか?」
「こ、こ、恋?!」
サレシュの言葉に動揺するシャリエル、自分がセリスに恋をして居る?あり得なかった。
いや、この感情は恋をして居る自分を信じたく無い……そんな感情だった。
「はぁ……何やってんのかな」
ため息を吐くとシャリエルはそっと空を仰いだ。
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「うーむ」
高価な茶器を片手にバルコニーでチェス盤を眺め唸る様な声を出すアルシャルテ、向かい側に座り相手をして居るアルセリスは困惑して居た。
たまたまオーリエス帝国に休暇を兼ねて寄ったのは良いがまさか皇帝のチェス相手をするとは思わなかった、話しがあると言われ連れてこられたは良いが……一向に話し出す様子も無い、それに加えてアルシャルテ、彼は驚く程にチェスが弱かった。
天才軍師と言われている皇帝が役割すらあやふやな初心者よりも弱いとは驚きが一周してもはや驚けないレベルだった。
「そう言えば最近魔人が各地で発見される様になってな」
ナイトの駒を動かしながら言うアルシャルテ、アルセリスは盤面を見つめながら無言で頷いた。
「冒険者の間では暗黒神の復活で持ちきりだ、魔なる物が動きし時闇の復活は近い……ってな」
「魔なる者……ですか」
知らない程のリアクションを取りながらアルシャルテのキングを取る、するとアルシャルテは分かりやすく悔しそうなリアクションをした。
「正直暗黒神などお伽話とばかり思っていた、だが魔物や魔獣の出現頻度を見るとな」
そう言い冒険者の名前にばつ印が振られた紙を取り出す、ざっとその数は百を超えて居た。
「オーリエス帝国だけでこれだ、他国も合わせると……数千は行くかも知れん」
低級の冒険者ばかりがやられているとは言えその数字に軽く驚く、とは言えアルカド王国の部下たちは精鋭揃い、負けはゼロに等しかった。
問題はどうやって民衆に好印象を植え付けるか、ランスロットの件もありなるべく補佐達の単独行動は避けたい所だった。
「そう言えばアダムスを覚えているか?」
「確かアルスセンテの中では一番実戦不足の……」
「そうだ、彼が西に数十キロ地点の古城で特異な魔物を見つけてな、今調査中だ」
特異な魔物と言う言葉に反応するアルセリス、恐らく暗黒神が従える六魔だった。
ゲーム時代の強さはかなりの物、シャリエルでも勝てるか怪しい強さ……ちょうどアルカド王国を売り込むのに良さそうだった。
「なんなら私が行きましょうか?」
そう言い立ち上がるアルセリス、その姿を見てアルシャルテは嬉しそうに笑った。
「ちょうど頼みたかった、今のアダムスでは少し心配でな」
そう言い苦笑いをするアルシャルテ、確かにアダムスは弱いが『今の』と言う言葉が少しばかり気になった。
「それじゃあ依頼承りました」
それだけを言い残し冒険者ギルドの入り口へ貴族風で尚且つ傷だらけの冒険者を装い転移する、そして息を整えギルドに駆け込むと必死の形相を作り叫んだ。
「西の古城で魔物だ!仲間が戦っている、報酬は言い値で払うから助けてくれ!」
そう言い倒れこむ、すると近くの冒険者は何事かと駆け寄ってきた。
「どうした!?すごい怪我だぞ!」
「西の古城で魔物と遭遇した、アダムス様が交戦中だが増援が欲しい、勿論報酬は言い値で払う」
その言葉に冒険者達の殆どが立ち上がる、やはり金の亡者……作戦は成功だった。
ふらふらとした足取りでトイレに入ると遮音魔法を使い外部に音が漏れない様にする、そして耳に手を当てた。
『フェンディル、手は空いているか?』
『はい』
雑音が混じりながらもフェンディルの低い声が聞こえてくる、するとアルセリスは少し早口で言った。
『西の古城で魔物が発生したらしい、恐らく六魔の一体、アダムスと言う男が先に行っているらしいがギリギリまで手助けはするな、死ぬ一歩手前位で助けに入れ』
その言葉にフェンディルは了承しながらも疑問を隠せない様子だった。
『回りくどい事をする理由はアルカド王国の存在を知らせる為だ、倒した時にアルカド王国の事も伝うる様に』
『かしこまりました』
そう言い残すとフェンディルは通話を切る、面倒くさいがこれは王国を好印象で表舞台に立たせる為……正直自分が戦いたかったが仕方ないだろう。
暗黒神との戦いもまだ残っている……後は他の守護者達の役割も考えなくてはならなかった。
「一週間の休暇も短いものだな」
そう言いアルセリスは笑うとトイレから姿を消した。
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