618 / 747
最後の魔法編
第189話 背中を押してくれる者達
しおりを挟む
イグニートはジャンの体に入り込んで必死に火力を上げ、アスモンはパンプに血を分けていた。
「パンピー死んじゃ嫌なのだ!」
「安心しろ..姉上、我が踏ん張っている間は死なせはしない..我が主人の命に.....」
イグニートの様子は明らかにいつもと違う。無理もない、運命共同体である2人が仮死状態になってしまっているため、イグニート自身もいつ消えてもおかしくない。
「なんだよジャン、何泣いてんだよ」
「ジャン、まさかお前諦めてなんかないよな」
みんな、僕が守れなかった。僕が弱いから、情けないから守れなかった、助けられなかった。
『泣くな』
ダリアの言葉でジャンは冷静さを取り戻し、涙を止める。
「ジャン、お前の事だからどうせ罪悪感に蝕まれているのだろ?」
図星だ。ガブリラは笑っているがジャンはどうすれば良いのか分からない。
「このままじゃ不完全燃焼ですぜ」
「ボノム..」
「ボノムの言う通りだ。このまま終わる程、お前は中途半端なヤツじゃないだろ。まだお前は死んでない」
「ジャン君はやっと幸せになれたんだから今死んじゃ嫌。ジャン君には私の分も幸せになってよ。それに..」
ミセリアはジャンの耳元で2人にしか聞こえない声で囁く。
「あのスフールさんって人と結婚するって約束したんでしょ」
「ミセリア...そうだ..僕は止まっちゃっダメなんだ」
ジャンの中で確信が生まれた。この生と死の狭間に来てからの迷いが吹き飛んだ。白夜との約束だ。
「お主がやるべき事はもう決まっておる」
「そういう事」
「ばっちし行って、俺達の仇とってくだせい」
「武運を祈る」
「俺達はいつでも待ってるからさ、もっと平和になってから来てくれよ」
「じゃあねジャン君、いっぱい幸せになってね」
「うん!」
『行ってこい』
「嫌だ!せっかく母ちゃんと兄ちゃんと会えたのに!離れたくない!」
「パンプ!甘えるな!..お前は俺の弟だ!...だから..だから行かなければならない!」
泣きじゃくるパンプにザンパは厳しく怒鳴るが、何も出来ずにまだ赤子の弟を戦地へ送り返す事に悔しさの涙が溢れる。
「ああ、愛しのパンプや、こんな酷い母親でごめんね。何もできない、私を許しておくれ」
母も涙を流しながら2人わ強く抱きしめる。
「パンプ!お前には守るべき者達がいる。俺は最後まで守る事が出来なかった。だがお前には守れる!その力がある!」
「そんな事ない!兄ちゃんは強いよ!さっきもオレらを守ってくれた!」
「パンプ、よくお聞き。私達はお前の前からいなくなるわけじゃない。ほら、あなた達も」
ペルナの後ろからおでこに赤い宝石があるカーバンクルの子供達が現れた。
「さぁパンプ、いってらっしゃい」
「ガツンと行くんだ」
「でも...みんなと会えなくなるのは嫌だ」
「安心して、私達はあなたの中で生きるの。さぁ」
ペルナは宝石に変わってしまった。次にザンパ、子供達も続々と宝石に変わる。
「母ちゃん!兄ちゃん!」
「もうお前はひとりぼっちになんかさせたりしない」
「俺達はお前の中で生きる。俺の力、バッチリ使いこなせよ」
「「「「「「頑張れ!」」」」」」
宝石は次々とパンプの体に入り込む。
「みんな...」
パンプの意識が薄れていく。
「..ピー!ンピー!パンピー!」
「アスモン?」
ジャンとパンプは無事に目を覚ました。
「パンピー死んじゃ嫌なのだ!」
「安心しろ..姉上、我が踏ん張っている間は死なせはしない..我が主人の命に.....」
イグニートの様子は明らかにいつもと違う。無理もない、運命共同体である2人が仮死状態になってしまっているため、イグニート自身もいつ消えてもおかしくない。
「なんだよジャン、何泣いてんだよ」
「ジャン、まさかお前諦めてなんかないよな」
みんな、僕が守れなかった。僕が弱いから、情けないから守れなかった、助けられなかった。
『泣くな』
ダリアの言葉でジャンは冷静さを取り戻し、涙を止める。
「ジャン、お前の事だからどうせ罪悪感に蝕まれているのだろ?」
図星だ。ガブリラは笑っているがジャンはどうすれば良いのか分からない。
「このままじゃ不完全燃焼ですぜ」
「ボノム..」
「ボノムの言う通りだ。このまま終わる程、お前は中途半端なヤツじゃないだろ。まだお前は死んでない」
「ジャン君はやっと幸せになれたんだから今死んじゃ嫌。ジャン君には私の分も幸せになってよ。それに..」
ミセリアはジャンの耳元で2人にしか聞こえない声で囁く。
「あのスフールさんって人と結婚するって約束したんでしょ」
「ミセリア...そうだ..僕は止まっちゃっダメなんだ」
ジャンの中で確信が生まれた。この生と死の狭間に来てからの迷いが吹き飛んだ。白夜との約束だ。
「お主がやるべき事はもう決まっておる」
「そういう事」
「ばっちし行って、俺達の仇とってくだせい」
「武運を祈る」
「俺達はいつでも待ってるからさ、もっと平和になってから来てくれよ」
「じゃあねジャン君、いっぱい幸せになってね」
「うん!」
『行ってこい』
「嫌だ!せっかく母ちゃんと兄ちゃんと会えたのに!離れたくない!」
「パンプ!甘えるな!..お前は俺の弟だ!...だから..だから行かなければならない!」
泣きじゃくるパンプにザンパは厳しく怒鳴るが、何も出来ずにまだ赤子の弟を戦地へ送り返す事に悔しさの涙が溢れる。
「ああ、愛しのパンプや、こんな酷い母親でごめんね。何もできない、私を許しておくれ」
母も涙を流しながら2人わ強く抱きしめる。
「パンプ!お前には守るべき者達がいる。俺は最後まで守る事が出来なかった。だがお前には守れる!その力がある!」
「そんな事ない!兄ちゃんは強いよ!さっきもオレらを守ってくれた!」
「パンプ、よくお聞き。私達はお前の前からいなくなるわけじゃない。ほら、あなた達も」
ペルナの後ろからおでこに赤い宝石があるカーバンクルの子供達が現れた。
「さぁパンプ、いってらっしゃい」
「ガツンと行くんだ」
「でも...みんなと会えなくなるのは嫌だ」
「安心して、私達はあなたの中で生きるの。さぁ」
ペルナは宝石に変わってしまった。次にザンパ、子供達も続々と宝石に変わる。
「母ちゃん!兄ちゃん!」
「もうお前はひとりぼっちになんかさせたりしない」
「俺達はお前の中で生きる。俺の力、バッチリ使いこなせよ」
「「「「「「頑張れ!」」」」」」
宝石は次々とパンプの体に入り込む。
「みんな...」
パンプの意識が薄れていく。
「..ピー!ンピー!パンピー!」
「アスモン?」
ジャンとパンプは無事に目を覚ました。
7
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
異世界で黒猫君とマッタリ行きたい
こみあ
ファンタジー
始発電車で運命の恋が始まるかと思ったら、なぜか異世界に飛ばされました。
世界は甘くないし、状況は行き詰ってるし。自分自身も結構酷いことになってるんですけど。
それでも人生、生きてさえいればなんとかなる、らしい。
マッタリ行きたいのに行けない私と黒猫君の、ほぼ底辺からの異世界サバイバル・ライフ。
注)途中から黒猫君視点が増えます。
-----
不定期更新中。
登場人物等はフッターから行けるブログページに収まっています。
100話程度、きりのいい場所ごとに「*」で始まるまとめ話を追加しました。
それではどうぞよろしくお願いいたします。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
目覚めれば異世界!ところ変われば!
秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。
ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま!
目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。
公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。
命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。
身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
神滅の翼カイルダイン
冴吹稔
ファンタジー
二つの太陽が輝く空の下。
拳法使いの修道僧に憑依して異世界クィル=ヤスに放り出された大学生・准(じゅん)は、廃墟に眠っていた太古の巨大ロボット『カイルダイン』と出会い、その「佩用者」となる。
身長30メートル大の巨人ロボット「護令械(ルーティンブラス)」が闊歩するこの世界は、邪神の脅威と妖魔軍の侵攻にさらされ、無力な民衆が苦難にあえぐ焦熱の大地だ。
周りに次々と集う三人の美少女たちとともに、大陸を覆う戦乱の渦中で繰り広げる冒険の旅。カイルダインの鉄拳が邪悪を撃つ!
虐げられた武闘派伯爵令嬢は辺境伯と憧れのスローライフ目指して魔獣狩りに勤しみます!~実家から追放されましたが、今最高に幸せです!~
雲井咲穂(くもいさほ)
ファンタジー
「戦う」伯爵令嬢はお好きですか――?
私は、継母が作った借金のせいで、売られる形でこれから辺境伯に嫁ぐことになったそうです。
「お前の居場所なんてない」と継母に実家を追放された伯爵令嬢コーデリア。
多額の借金の肩代わりをしてくれた「魔獣」と怖れられている辺境伯カイルに身売り同然で嫁ぐことに。実母の死、実父の病によって継母と義妹に虐げられて育った彼女には、とある秘密があった。
そんなコーデリアに待ち受けていたのは、聖女に見捨てられた荒廃した領地と魔獣の脅威、そして最凶と恐れられる夫との悲惨な生活――、ではなく。
「今日もひと狩り行こうぜ」的なノリで親しく話しかけてくる朗らかな領民と、彼らに慕われるたくましくも心優しい「旦那様」で??
――義母が放置してくれたおかげで伸び伸びこっそりひっそり、自分で剣と魔法の腕を磨いていてよかったです。
騎士団も唸る腕前を見せる「武闘派」伯爵元令嬢は、辺境伯夫人として、夫婦二人で仲良く楽しく魔獣を狩りながら領地開拓!今日も楽しく脅威を退けながら、スローライフをまったり楽しみま…す?
ーーーーーーーーーーーー
1/14 HOT 17位 ありがとうございました!
1/13 HOT 29位 ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる