僕と精霊〜The last magic〜

絶海の孤島編

第109話 深い傷

　突然ジャンが死んだ目をしながらアスモンの首を絞めてきた。

「ぐっ...パン...」
「ジャン！やめろアスモンが❗️」
絞めるというより握りつぶす勢いでジャンの握力は強くなっていく

「ジャン‼️」
今のジャンには声が届かないと感じた瞬間、パンプはもう動いていた

　ジャンの顔を殴り飛ばし、アスモンの拘束を解く。そんな光景を遅れてやって来た白夜達は目の当たりにする

「ちょっと！ちょっと！どうなってのよ！」
「なんでパンプさんがジャンさんを！？」
せっかく再開できたというのにいきなり殴り、殴られる2人の姿に彼女達は驚いていた。だが1番驚いているのはパンプ本人であった

「はぁは...はぁは！！パンピー❗️」
急な攻撃で死にかけたアスモンはすぐにパンプに抱き付いて泣きじゃくる

「なんで！...なんで❗️アスモンにそんな事するんだ❗️アスモンは関係ないだろ❗️」
「..っ！....ごめん...なさい」
「え？」
パンプの怒鳴り声に怯えるようにジャンは再びその場にうずくまってしまう

「ちょっとパンプ、やり過ぎなんじゃないの？」
「で、でも！ジャンがアスモンの首を絞めたんだ！」

「ジャンさんがそんな乱暴な事を？」
「あー！白夜！お前オレを疑ってるな！」
「疑ってなんかないわ、驚いただけ」

「ちょっと！白夜にイチャモン付けないでくれる...！」
「うわぁぁ❗️離せローズ！ぐるじい！」
今度はローズがパンプの首を絞め始める

「あーお前！パンピーに何をするのだ～！」
負けじとアスモンがローズの髪を引っ張る
「痛いわね！アンタも！」
両腕を使って2人の首を絞め始めるローズ

「「グギャああぁぁ❗️」」
「ちょっとローズ！」

「ほらほら、大人しく白夜に謝りなさいよ」
「「ぐうぅうゔぅぅ‼️」」

「いい加減にして」

「「ガガガがが...」」
「何よ白夜、少しこの子達を甘やかしすぎよ。もう少し痛い目に」
「良い加減にしなさい‼️」
白夜の怒鳴り声が3人のわちゃわちゃした声を切り裂くように鋭く駆け抜ける

「え？」
「やめてって言ってるでしょ！」
白夜の平手打ちがローズの頬を綺麗に掠る

「こんな時に喧嘩してる場合じゃないの❗️」
「でも私は白夜の為に」
「そんな事されても私は嬉しくない」
「う...ごめん」
ローズは2人を離して白夜の元へ戻る。

　白夜はローズの落ち込みように少し言い過ぎたと思い、彼女の頭を優しく撫でる
「ううぅ....」
ローズはパンプ達に見えないように白夜の腕の中で涙を流す


「せっかく...せっかくみんな無事に合流できたっていうのに...ジャンさんも見つけられたのに....」
「そーそー、せっかくこの俺が見つかったってのに喧嘩しやがってよ、まぁ原因は俺か」
皆の背後から1人の男が体を起こす

　ジャンだ。と言っても乱暴な方のジャンだ
「お前は乱暴な方！」
「おいおい、そんな呼び方はないだろ？」

「やいやい！ジャンがおかしくなったのはお前のせいだろ！アスモンの事を虐めやがって！」
パンプはジャンに指を差して声を荒げる

「俺のせいじゃねぇよ、今アイツがおかしいのは....まぁアレだ、思春期ってヤツだ」
「シシュンキ？何だソレ！難しい言葉で誤魔化そうとするな！」

「嘘じゃねぇよ、俺ってそんなに信用ないのか？」
ジャンは自分の手を確認してため息を吐く
「変な事言ってないで..んんんん！」
「待ってパンプさん」
ジャンの言葉が気になった白夜はパンプの口を抑える

「んんん...！」
「ほぅスフール、テメェなら俺のパートナーよか話が通じそうで良いな」
「良いから話してちょうだい」
白夜は冷静に言葉を吐き捨てる

「じゃあ分かりやすく、手っ取り早く説明しますかっと、まずはだな...」
ジャンは自分自身に何があったのか話しめる