僕と精霊〜The last magic〜

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過去との決着編

第87話 純粋なる悪

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バーン家 ジャンの部屋

 窓から何者かが寝ているパンプを覗いていた
「おっ!いたいた!おーい!おーい!聞こえてないのか?」
窓の向こうにいる少年は細い足場につま先立ちをして必死にジェスチャーを送るがパンプに届くわけがない

「おいパンプ!起きろ!開けてくれよ!」
「おや?」
窓を叩く音を聞きつけたツイスターが様子を見に来た

「あ!ツイスター!久しぶりだなー!おいこれ開けてくれないか?」
相変わらず室内に大げさなジェスチャーをする少年の声は届かない

「クラムさん!?今開けますね」
ツイスターは急いで窓を開けて少年を引っ張り出す
「うおぉ!ツイスター久しぶりだなぁ!スカルドも居るのか!」
少年は土足で部屋の絨毯の上を飛び跳ねる

「クラムさん靴を!汚れてしまいます!」
「ん?靴を脱げばいいのか?」
クラムという少年は素直に靴を脱ぐ


「どうしたんですか?確か皆さんと一緒に旅に出ていたんですよね」
「ああ、そうなんだけどなー、科学軍の国?とかいうとこで歓迎されてご馳走を食べてからなーんか上手く思い出せないんだよな。そしたらさ、なんかイグニートが起こしてくれてジャンとパンプが助けてれたって言うからお礼をいいに来たんだ!ジャンはどこだ?」
クラムは言いたい事を全部言ってツイスターを揺さぶる

「なるほど、ですかジャンさんは...」
ツイスターは今のジャンとパンプの状況を説明した

「ええ!居ないのかよ!じゃあ探しに行くか!行くぞパンプ」
クラムはパンプを抱えて頬を軽くペチペチと叩く

「あ、あの聞いてましたか?パンプさんは傷が治ったとはいえ寝たきりなんですよ、それにジャンさんの場所が分かるんですか?」
「もちのろんよ!デカい建物がある方からジャンの臭いがするぞ」

「相変わらずの鼻です...ん?デカい建物ってもしかして!」
「んー確か、なんたら学園とかいった場所だっけ?」
「龍神学園ですよ!」
「そうそうそれそれ!今から行ってくる!」
クラムはそう言って靴を履き直して窓を開ける

「待ってください!パンプさんはまだ!あー行っちゃった...もー仕方ないんですから!」
ツイスターはクラムが散らかした布団を整えてため息を吐く

「スカルド!私は少し出かけて来ます、アミィさんを頼みましたよ」
「え?姉ちゃん!?」
ツイスターも窓からクラムを追いかける


龍神学園

「ほらほらどうしたの?もう終わり?」
ザル達はレヴィアンに翻弄され続け、満身創痍になっていた

「コイツ、精霊界に居たヤツより力は強くねぇが動きが速ぇ」
「攻撃が当たらない」

(ご主人、俺に考えが)
「グアァ?」
金棒のボノムはラートの両腕を纏う爪に変化する

「グルルァァ‼️」
ラートの雄叫びと共に周囲の空気が凍り出し、氷のドームが完成する

「何?氷?」
身構えるレヴィアンの足も少しずつ凍っていく
「ウシャアアァァ‼️我鬼氷爪がっきひょうそう...」
ラートは氷柱のように鋭い爪レヴィアンの心臓に狙い定めて飛び掛かる

「これならいける」
「いっけー!」

「大変、このままじゃ串刺しになっちゃうわ~。私の妹が」
レヴィアンは防御の構えを取るどころか大事な妹であるはずのアスモンテスを前に差し出した

「グッ...!」
咄嗟の判断でラートは攻撃を止める
(ご主人!何を)

「流石にこりゃ出来ねぇよ」
ラートの精霊石の輝きが止まると表面の氷がバリバリと剥がれ、元の姿に戻る

「どうも妹と仲良くしてくれてありが...とっ❗️」
「げぇお...‼️」
「ご主人!」
レヴィアンは手刀でラートの腹に切り裂く

「「ラート!」」
「ラート君!」

「もう妹は気持ちよく寝てるんだから、起きちゃったらどうしてくれるの?」
「ご主人!今傷を塞ぎます!」
ボノムはラートの傷口を凍らせて血を止める 

「お前だけは...お前だけは!」
「マスター?」
負傷した兄の姿を見て取り乱したレートが前へ前へと歩き出す












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