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摩訶不思議!精霊界編
第46話 生贄
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パンプは初めて見る本当の家族を前にかなり動揺している
「人間がいるという事は君がパートナーだね」
「は、はい」
あまりの衝撃にジャンはいつも通り名乗れなかった
「私はお前のお父さん、ダンパ。こっちが姉のピンプ、そして兄のザンパにお前の双子の弟のプキンだ」
父に紹介され、それぞれがパンプを見つめる
ピンプは涙を流し、ザンパはにっこり笑う。しかし、プキンだけはパンプを睨みつける
「どうしたんだパンプ?」
「お、お前らがオレの家族?ウソだね!信じるか!」
パンプは目の前の家族を否定し、ジャンの制服に潜り込む
「まぁ何があったのパンプ?」
「さぁこっちに来なさい、みんなで美味しいご飯でも食べようじゃないか」
「ほらパンプ、アンタの家族がせっかく誘ってるだからいきなさいよ」
「そうですよ」
ローズとツイスターはパンプの背中を押すがうんともすんとも言わない
「どうしたんだ?俺らは正真正銘お前の家族だ!」
「うるさい!そんな事言ってオレを捨てて1人にさせたじゃないか!」
パンプの怒鳴り声に4人は黙り込む
「寂しかったんだぞ!辛かったんだぞ!なんでそんな酷い事するヤツが家族なんだよ!何が兄ちゃんだ!オレの兄ちゃんはジャンだけだ!姉ちゃんなんで居ないし!父ちゃんはユウスケだ!弟もアイツだけだ!うわぁん❗️」
パンプは泣きながら1人家を飛び出してしまった
「パンプ!」
ジャンも家を飛び出してパンプを追う
「父さん、俺も行ってくる!」
ザンパは風のように白夜達の間をすり抜けて行く
「速いなぁ!」
「さぁさぁ皆さんはゆっくりでお茶でも飲んでいってください」
ピンプは白夜達を人数分の湯呑みを宝石で作り出す
「やっぱ、なんでも宝石で作れちまうのか」
「なんでもは作れませんよ。作れるのは簡単な形をした物だけです」
「でもパンプは銅像とか複雑な物を色々作ってたわよ」
ローズ達はそれぞれ色が違う湯呑みをまじまじと見つめて触ってみる
「あの子は特別なの...」
「特別?」
「ねぇねぇ!ねぇたま!パンプの事なんて良いからプキンと遊んでよー!」
パンプとおでこの宝石が無い所以外、違いが分からないほど瓜二つの弟プキンはピンプに抱きつく
「こーら、プキンちゃん。今はお客さんが来ているからお部屋で遊んでなさい」
「プキンちゃんはパンプと双子なのね。お兄ちゃんとそっくりですねー」
ツイスターがそう言うとプキンは頬を膨らませる
「プキンはパンプと違う!プキンは良い子だけど!パンプは悪い子だ!だからお母たまも居なくなったんだ!」
「こらプキンちゃん!」
「うわぁ!ねぇたま!離して!」
「もしかしてそれってパンプが1人で育ってきた事と関係が」
「ええ...」
「詳しくは私が話しましょう」
ダンパも席に着き、話を始める
23年前
この村には守り神様の銅像があり、500年に1度生贄を捧げる事で村の繁栄が約束される。生贄はカーバンクル1人。だが普通のカーバンクルでは意味が無い。ごく稀に生まれるおでこに赤い宝石を持つ者が守り神様の好物とされ、昔から生贄に選ばれてきた。この年が生贄を捧げる日であった。
当時のこの村にいる者に生贄候補は居なかった。
「お母さん!見て見て!卵が動いたよ!」
私達には新しい子供が生まれようとしていた。それがパンプとプキンだ。
「本当ね、ピンプも昔はこうだったのよ」
「へぇー!ねぇねぇザンパお兄ちゃんもこうだったの?」
他のカーバンクルとは比べ物にならない巨体を持つパンプ達の母ペルナは卵を毛皮で温めながら娘と話をする
「そうよ、みんな昔は卵だったの。元気に生まれる事が出来るように中でいっーぱい栄養を蓄えてるの」
2つの大きな宝石、これがカーバンクルの卵で目を凝らすと中の様子が見える
「ねぇお母さん、お兄ちゃん卵の子のおでこに赤い宝石が付いてるよ!」
「何ですって!?」
ペルナはパンプの卵を確認し青ざめる
(確か今年は生贄を捧げる年、この村に生贄候補は居なかったはず...)
この時、ペルナの頭の中には最悪の未来が浮かんでいた。自分の愛する子が生贄にされる。生まれて間もなく
世界を知る事なくこの子は殺されると
「ピンプ、この事は忘れなさい」
「どうして?」
「いいから忘れなさい、あと友達にも他の方にも絶対に話さない。約束できる?」
「..よく分からないけど分かった、約束」
2人は鼻先を合わせて約束を交わす
それから数ヶ月、ペルナ達は私とザンパにもその事を話さずにとうとう2人が生まれた
「おお!2人とも男か!鍛えがいがありそうだな!」
「ザンパお兄ちゃんったら、戦いのことしか考えてないんだから」
「なーに言ってんだ、強くならなきゃイジメられちまうよ」
「そんな事より!お母さん、この子達の名前は決めたの?」
「ええもう決めてるわ」
「聞かせてくれペルナ」
「お兄ちゃんの方がパンプ、弟がプキン」
「可愛い!パンプちゃんにプキンちゃん!ピンプお姉ちゃんですよー」
「お、おい!ずるいぞ!俺にも抱っこさせろ」
兄姉共に新たな弟達に興奮をしている
「お、おいペルナ。パンプのおでこ...」
「...ええ」
夫婦間に不吉な予兆が走る
「人間がいるという事は君がパートナーだね」
「は、はい」
あまりの衝撃にジャンはいつも通り名乗れなかった
「私はお前のお父さん、ダンパ。こっちが姉のピンプ、そして兄のザンパにお前の双子の弟のプキンだ」
父に紹介され、それぞれがパンプを見つめる
ピンプは涙を流し、ザンパはにっこり笑う。しかし、プキンだけはパンプを睨みつける
「どうしたんだパンプ?」
「お、お前らがオレの家族?ウソだね!信じるか!」
パンプは目の前の家族を否定し、ジャンの制服に潜り込む
「まぁ何があったのパンプ?」
「さぁこっちに来なさい、みんなで美味しいご飯でも食べようじゃないか」
「ほらパンプ、アンタの家族がせっかく誘ってるだからいきなさいよ」
「そうですよ」
ローズとツイスターはパンプの背中を押すがうんともすんとも言わない
「どうしたんだ?俺らは正真正銘お前の家族だ!」
「うるさい!そんな事言ってオレを捨てて1人にさせたじゃないか!」
パンプの怒鳴り声に4人は黙り込む
「寂しかったんだぞ!辛かったんだぞ!なんでそんな酷い事するヤツが家族なんだよ!何が兄ちゃんだ!オレの兄ちゃんはジャンだけだ!姉ちゃんなんで居ないし!父ちゃんはユウスケだ!弟もアイツだけだ!うわぁん❗️」
パンプは泣きながら1人家を飛び出してしまった
「パンプ!」
ジャンも家を飛び出してパンプを追う
「父さん、俺も行ってくる!」
ザンパは風のように白夜達の間をすり抜けて行く
「速いなぁ!」
「さぁさぁ皆さんはゆっくりでお茶でも飲んでいってください」
ピンプは白夜達を人数分の湯呑みを宝石で作り出す
「やっぱ、なんでも宝石で作れちまうのか」
「なんでもは作れませんよ。作れるのは簡単な形をした物だけです」
「でもパンプは銅像とか複雑な物を色々作ってたわよ」
ローズ達はそれぞれ色が違う湯呑みをまじまじと見つめて触ってみる
「あの子は特別なの...」
「特別?」
「ねぇねぇ!ねぇたま!パンプの事なんて良いからプキンと遊んでよー!」
パンプとおでこの宝石が無い所以外、違いが分からないほど瓜二つの弟プキンはピンプに抱きつく
「こーら、プキンちゃん。今はお客さんが来ているからお部屋で遊んでなさい」
「プキンちゃんはパンプと双子なのね。お兄ちゃんとそっくりですねー」
ツイスターがそう言うとプキンは頬を膨らませる
「プキンはパンプと違う!プキンは良い子だけど!パンプは悪い子だ!だからお母たまも居なくなったんだ!」
「こらプキンちゃん!」
「うわぁ!ねぇたま!離して!」
「もしかしてそれってパンプが1人で育ってきた事と関係が」
「ええ...」
「詳しくは私が話しましょう」
ダンパも席に着き、話を始める
23年前
この村には守り神様の銅像があり、500年に1度生贄を捧げる事で村の繁栄が約束される。生贄はカーバンクル1人。だが普通のカーバンクルでは意味が無い。ごく稀に生まれるおでこに赤い宝石を持つ者が守り神様の好物とされ、昔から生贄に選ばれてきた。この年が生贄を捧げる日であった。
当時のこの村にいる者に生贄候補は居なかった。
「お母さん!見て見て!卵が動いたよ!」
私達には新しい子供が生まれようとしていた。それがパンプとプキンだ。
「本当ね、ピンプも昔はこうだったのよ」
「へぇー!ねぇねぇザンパお兄ちゃんもこうだったの?」
他のカーバンクルとは比べ物にならない巨体を持つパンプ達の母ペルナは卵を毛皮で温めながら娘と話をする
「そうよ、みんな昔は卵だったの。元気に生まれる事が出来るように中でいっーぱい栄養を蓄えてるの」
2つの大きな宝石、これがカーバンクルの卵で目を凝らすと中の様子が見える
「ねぇお母さん、お兄ちゃん卵の子のおでこに赤い宝石が付いてるよ!」
「何ですって!?」
ペルナはパンプの卵を確認し青ざめる
(確か今年は生贄を捧げる年、この村に生贄候補は居なかったはず...)
この時、ペルナの頭の中には最悪の未来が浮かんでいた。自分の愛する子が生贄にされる。生まれて間もなく
世界を知る事なくこの子は殺されると
「ピンプ、この事は忘れなさい」
「どうして?」
「いいから忘れなさい、あと友達にも他の方にも絶対に話さない。約束できる?」
「..よく分からないけど分かった、約束」
2人は鼻先を合わせて約束を交わす
それから数ヶ月、ペルナ達は私とザンパにもその事を話さずにとうとう2人が生まれた
「おお!2人とも男か!鍛えがいがありそうだな!」
「ザンパお兄ちゃんったら、戦いのことしか考えてないんだから」
「なーに言ってんだ、強くならなきゃイジメられちまうよ」
「そんな事より!お母さん、この子達の名前は決めたの?」
「ええもう決めてるわ」
「聞かせてくれペルナ」
「お兄ちゃんの方がパンプ、弟がプキン」
「可愛い!パンプちゃんにプキンちゃん!ピンプお姉ちゃんですよー」
「お、おい!ずるいぞ!俺にも抱っこさせろ」
兄姉共に新たな弟達に興奮をしている
「お、おいペルナ。パンプのおでこ...」
「...ええ」
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