僕と精霊〜The last magic〜

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摩訶不思議!精霊界編

第44話 家族という呪い

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「いやあぁァァ‼️」
私は何処かも分からない場所で悲鳴を上げた。

「なんだまだ生きてたのか?」
私の声を聞きつけてアイツらが来た。どうやらアイツらの食糧庫で寝てたみたい

「ハァハァ...」
「ちょうどいい、デザート!デザート!」
「ハァハァ...」
「味付けはどうしようかな...!?」
よく覚えてないけど私は餓狼の群れを壊滅させた

 ナージャはもう居ない。私は最初はどうすればいいかばかり考えていたけど、次第にもしかしたらパパやママが私に優しくなってくれるんじゃ無いかって...でもそんな事を考える自分がどんどん嫌になっていった

 家に帰ればパパとママに殴られた。いつも以上に顔中アザだらけになった。最後にアンタが死ねば良かったなんて言われた。当然よね、結局私の事を知ってるのって私だけなんだもん。私の気持ちなんて誰にも分からないでしょ

 里のみんなからは弟殺しとして除け者にされ、家では居ない者のように扱われた。でもこのぐらいされても当然の事を私はしたんだ。そう言い聞かせて保っていくしか無かった


「だからね、里のみんなが言う通り私がナージャを殺したようなものよ」
ローズは涙を流しながら話を終える

「ありがとう、ごめんねローズ」
「なんでだよ!ローズは悪くないだろ!変だぞ!」
パンプは怒りながら机をバンバン叩く

「パンプ...」
「ありがとう..まさかアンタの言葉がこんなに....」
パンプに言われた言葉にローズは感極まって涙が止まらなくなってしまう

「.....」
ジャンは自分が今まで見てきたものとは全く違う家族の形を知り、複雑な気持ちになる

「お前が出て行ってから気付いた、そして何度も考えさせられた。我々夫婦が大切にしていたのは結局子供ではなく、太陽の子と呼ばれる本当かどうかも分からない伝説だった。お前達が居なくなる、そして家族の形が崩れる。これ以上の厄災など私にとって無かった...家族の事すら私は守れなかったのかと....何度も、何度も」

「パパ..」
「だがナージャは戻って来ない、ママはあれ以来話す事も出来ない。私も職を失った、何も、無い」
「そんな事ない、私がまだ居る」
ローズは父を抱きしめた。震える手を止めようと堪えたが震えは父に伝わる

「娘に辛い思いまでさせて....こんな事をまでさせてしまうとは、私はどうしようもないヤツだ」
「パパ..昔みたいにおんぶしてよ」
「え?...ああ、分かった」
父に抱え上げられ、ローズはまた泣いてしまう

「パパ、私ね、精霊界にもう戻るつもりは無いの人間界で白夜達と一緒にこれからもずっと生きていきたいって思うの」
「ああ」

「せっかくこうやって仲直り出来たのにもうパパとは会えない」
「気にするな、お前がパパをパパと思ってくれるなら私達は何処でも繋がっている事ができる」

「そうだったわね、家族は呪い。どんなに離れていても繋がっていられる。昔、ママがよく言ってたわね」
「いってらっしゃい、ローズ元気でな。スフールさん、ローズは強い子です。どうかこれからもよろしくお願いします」
「はい!」
ローズ達は家を後にし、歩き出す

「なぁなぁ、どうして仲直りできたんだ?ローズが一方的にいじめられてたじゃないか?」
「良いの!赤ん坊にはまだ少し早いわ」
「あー!赤ん坊って言った!オレは赤ん坊じゃなーい!」
「はいはい、そうよね赤ちゃーん」
「言ったなー!」
ローズとパンプの喧嘩が始まったがジャンと白夜は止める事なく、笑ってしまった

「なんで笑うんだ?」
「2人ともなんか変よ」

「ごめんごめん、こっちに来てから2人とも落ち込んでばっかりだったから」
「ふふふ、元気な姿を見れて安心しちゃった」

「じゃあもっと!うりゃ!」
「キャア!ちょっとパンプ!仕返しよ!」
2人で戯れあい、草原を転がり回る

「なんか良いね、こう平和な風景って」
「そうですね、早く悪魔が居なくなってくれれば私達の世界も平和になれるんですけど」
白夜の言葉痛い所に刺さる

「ねぇ白夜さん」
「何ですか?」
「もしさ、悪魔に良いヤツが居たらどうする?」
「え?どう言う事ですか?」
2人はパンプ達を見守りながら草原に寝そべる

「だってさ、悪魔にだって考える頭や感情があるんだよ。良いヤツだって居るかもしれないし」
「難しい、ジャンさんはどうするんですか?」

「僕は友達になるかな、やっぱり良いヤツとは友達になりたいし」
「素敵な考え方ですね、本当に良い悪魔が居れば良いんですけど」
白夜は雲を見つめて理想を語る

「居るよ」
「はい?」
「僕は居ると思うよ、絶対」
「...そうですね、居ますよ。私も友達になってみようかしら」
2人は話しているうちに風の気持ちよさに眠ってしまった



人間界 人気の無い屋敷

「おいおい、ベルを殺したヤツらの気配が消えたぞ」
「メスガキの方は何をやってやがる、だらしねぇな」

「許せねぇな....あのガキ供は腑抜けてる。俺が出る」
「出るって?アイツらが何処にいるか分かるのか?」

「フンッ‼️」
男は刀で空間を切り裂き、次元の穴をくぐり抜ける
「おぉ、怖」

「アイツが出たらぜってぇ勝ちだな!さぁてと俺はこっちをぐちゃぐちゃにしてくるか!ほんじゃ解散」

 4人組が屋敷を灰にして消え去る
















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