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英雄誕生伝編

第48話 過去と現代の共鳴

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【竜の里】

「お母さん!黒い竜だよ!」
女の子が遠くにいるケンザキを指差す。
「見ちゃダメ!黒い竜は災いをもたらすのよ、早くこっちにいらっしゃい!」
女の子の母は女の子と一緒に防空壕へ移動する。

「さぁどうするのかな?今の私にとっては貴様らなどアリ同然だね~」
ケンザキはジャン達を踏み潰そうとする。

「アリだって結構やるんだぜ、フレイムボール!!」
「バーストジュエル!!」
ジャンとパンプはケンザキの足を避けて攻撃するが全く効いていない。

「アリなら大人しく潰れな!」
ケンザキは次に倒れているユウスケ達を踏み潰そうとする。
ふう!!」
ジャンはスピードを上げ、3人を回収する。

「ハァハァ!」
ジャンは息を切らす。
「ハッハッハ!中々のスピードだ!だがその程度では私に傷を負わせることすらできんぞ!」
ケンザキは鋭い爪を振り落とす。

「うわぁ!!」
ジャンは凄まじい風圧で飛ばされる。
「しまっ..!父さん!」
風圧に負けたジャンはユウスケを落としてしまう。

「させるか!」
ケンザキは黒い息を吐く

まずい!

ふう!!」
パンプが投げた宝石が砕けると突風が吹き、黒い息を跳ね返す。

「何!?」
ケンザキは自分の息に焼かれる。
「グォォ!!前が見えん!」
ケンザキは目を抑えながら腕を振る。

「ジャン!こっちだ!!」
ジャンはその隙にユウスケを回収し、パンプの下へ行く。

「すまないパンプ」
「良いってことよ!それよりもコレなーんだ!」
パンプは対魔の剣を持っていた。

「それはゼノが使ってた剣!いつの間に」
「コッソリ取ってきたぞ!この剣凄い魔力で溢れてるぞ!コレならケンザキを!」
パンプは剣をジャンに渡す。

「うおっ!なんだコレ!?剣に魔力を...吸われる!」
ジャンは剣を握ると剣と2人の精霊石が輝き出す。

「よし、少しずつコントロールできてきたぞ」
「ジャン!その剣での長期戦は無理みたいだ!一気にキメるぞ!」
「ああ!」
ジャン達はユウスケ達を置いて再びケンザキの方へ走り出す。

「何処へ行った!ジャン・バーン!」
ケンザキは激しい炎を吐きながら、翼を羽ばたかせ竜巻を飛ばす。

「パンプ!サポートを!」
「おう!」
パンプはジャンを宝石に乗せて飛ばす。

「うおりゃゃ!!」
ジャンは魔力を纏った剣でケンザキの右足を斬り付ける。

「ヌッ!?何故貴様ら如きに!」
バランスを崩したケンザキは跪く。
「スッゲー!切れ味抜群だな!」
ジャンは宝石を乗りこなしながら剣身を触り言う。

「よし戻れ!」
パンプは指示をし、ジャンが乗っている宝石を自分の方へ戻す。

「ガルルル!!ゴオォォォ!!」
遂にケンザキは怒りで理性を失う。

「アイツ、自分の力を制御できてないぞ!」
パンプは暴れるケンザキを見て笑う。
「言ってる場合か!あの強さで理性が無いって事はここら一帯を破壊し尽くすまで止まらないぞ!」

「ドオォォォ!!」
ケンザキの体中に電気が走り始める。
「何か溜めてるぞアイツ!」
「マズイ!あっちは里の方だ!パンプ行くぞ!」
ジャンはパンプに乗り里の方まで猛スピードで移動する。

「ボォオウ!!」
ケンザキは口から高密度の魔導砲を放つ。

「ジャン!」
「ああ!!」
2人の精霊石は剣の輝きに共鳴するかのように輝きを増す。

 2人はお互いを感じ合い、何も言わずに里へと迫る魔導砲の前に立ち塞がる。

(いけるなパンプ...)
(ああ、もちろんだ...)
剣と2人の精霊石の光が魔導砲とぶつかり合う。


「...んっ!しまった!」
ノックは目を覚まし、周りを見渡すとすぐに巨大な黒龍が目に入った。
「おい!おい!」
ノックはユウスケとクランクを起こす。

「...イテテ、やっぱりダメだったな」
ユウスケは頭を抑えながら目を覚ます。
「あんな化け物初めてだぜ」
クランクは拳を握る。

「おい!何だあれは!?」
ノックは里の方で輝く光を指差す。

「これはどこかで感じた魔力、だが何かが違う」
クランクは考える。
「ジャンの魔力か!ジャンの魔力の中に何かをさらに感じる!」
ユウスケは光の方へ走り出す。

「おい!待てよ!」
2人もユウスケの後を走る。


【現代 龍神学園】

 学園長は1人で学園内の魔獣の群れを相手にしていた。
「ハァハァ、キリがない!ハァ!」
学園長が放った魔弾は魔獣を吸い込み爆発する。

 魔獣の1匹が学園長を背後から襲いかかる
「しまっ!グギッ!」
学園長は突然のギックリ腰で体制を崩した。

ふう!」
一瞬で魔獣が消えた。

「おいおい爺さん、歳が歳なんだから大人しくしてろよ」
サラは学園長に手を差し出す。
「サラ君か、すまないね。私もそろそろ引退かな?」
学園長はサラの手を掴み立ち上がる。

「なーにが引退だ、この短時間であの魔獣を数百匹やってんだからまだまだ現役だよ。アンタは」
サラは呆れながら言う

「とりあえず此処は片付いたわい..」
学園長はホッとため息を吐く。
「じゃ!私は他の所に回ってくるよ!」
サラは走り去る。
「本当にアラフォーか?あの小娘は...」

「誰がアラフォーのババアだ!このクソジジイ!!」
「グギッ!」
猛スピードで戻って来たサラは学園長にゲンコツを食らわせる。
「そこまで言っとらん...」
学園長の頭には大きなタンコブができる。

「たくっ!あの爺さんは、てか私もそんな歳か~そろそろ子供作ろうかな~」
サラは魔獣の禍々しい気配のする方へ走る。


【避難所付近】

「橋が崩れたぞ!このままじゃあ避難所に行けない!」
沢山の人が避難所へ行くための橋の前で立ち往生している。

「皆さん!下がってください!」
リベラが橋の前に出ると種を植え始めた。

「おい!こんな時に何やってるだ!」
「そうよ!もう泳いででも向こうへ行くわ!」

「リベラを信じてください!」
リベラがそう言うと種が急成長し、大きなツタの橋になる。

「さぁ速く此処を通ってください!」
「あ、ありがとう!」
「女神様じゃ!ありがたや!」
大勢の人々は橋を渡る者、リベラを拝める者に分かれる。

「あ、あの速く橋を...」
リベラは照れて顔を隠す。

「シャー!!」
川の中から首長竜の魔獣が飛び出す。
「危ない!!」
リベラは魔獣に種を飛ばして植え付ける。

「ググッ..ズズッ...」
魔獣は体内から伸びたツタに縛られて川に沈む。
「「「おぉ!」」」

「アイスフィールド!!」
川が突然凍り出す。
「ラートさんにボノムさん!」
「へへっ!大丈夫か?リベラ!」
「ありがとうございます」
リベラはお辞儀する。

「さぁさぁ!橋を渡れん人は氷の上を歩いてくだせい!滑るんで気をつけて!」
ボノムは誘導をする。
「うわぁ!雪だるまが喋った!」
ボノムは小さい子ども達に人気だ。
「照れますな~」

 今度は空から魔獣が襲いかかる。
「いくぜ!ボノム!」
「勿論ですぜ!ご主人!」
2人の精霊石が輝き出すとラートの額の右側に生えている角が肥大化し、ボノムの体の周りに雪が集まり巨大化する。

「一気にカタをつけますぜ!ご主人!」
「おうよ!」


【上空】

 レート、ウリエラ、ガブリラは空から町を見渡す。
「ウリエラさーん!そっちはどう?」
「問題ありません!」
「ガブリラさんは?」
「こちらも問題ありません!」

「マスター!あそこにお婆さんがいます!」
グライドは大声でレートに伝える。
「いくよ!グライド!」
「了解しました!」
2人の精霊石が輝き出すとレートの額の左側に生えている角が肥大化し。サイズアップしたグライドは翼を逞しく広げ、クチバシは鋭くなる。

「とばしますよ!マスター!」
「一気にいくか!」


【繁華街】

 モニーとアドロンは繁華街に溢れる魔獣を対処している。
「アドロン君!そっち行ったよ!」
「了解!」

 鎧姿のアドロンは次々と魔獣を薙ぎ倒していく。
「どっちが魔獣かわからなくなるね!」
モニーも魔獣を刻んでいく。


 魔獣の襲撃はまだまだ収まる気配はない。
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