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【22話】ご飯です。そのあとは勿論、同じ部屋で一緒に……寝るんですか!?
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もぐもぐもぐ。
運ばれてきた料理を、ロイルは美味しそうに平らげていく。
その幸せそうな顔を見ながら、ノアももそもそと食べる。
「美味しいね、ノア」
「そ、そうですね……」
味など、全く分からない。分かるはずがない。
それよりも何よりも、ノアはこの後のことが気になって仕方ないからだ。
「ふう、ごちそうさま」
お腹いっぱい食べて満足したのか、ロイルは幸せそうな顔をしている。
ロイルは元王族と言っていたが、異性と同じ部屋に寝泊まりしたことはあるのだろうか。
そんなことを考えてみるが、勿論本人に聞いてみなければ分かるはずがない。そして当然のことながら、聞けるはずもない。
「じゃあ、ギルドに戻ろうか」
「はぅ、はい……」
お店から出た二人は、ギルドへの道を戻っていく。
今晩泊まるであろう宿部屋に入ってしまえば、二人きりになる。それから朝になるまで、他の誰かが邪魔をすることもないだろう。
緊張しすぎて眠れないかもしれないが、その時はどうすればいいのだろうか、と頭を悩ませるノアだが、残念ながら答えが出る前にギルドへと着いてしまった。
「お仕事お疲れ様」
「おう、ありがとさん」
受付に立つ小太りの職員に挨拶をした後、ノアとロイルの二人はギルドの奥に併設された宿部屋へと足を延ばし、用意された部屋の扉を開く。
「おおー、結構きれいな部屋だね」
しっかりと掃除しているのだろう。ギルドの宿部屋は、二人の目には綺麗に映っている。
「ここで、ロイルと一緒に……」
今日を無事乗り越えることが出来たとしても、ロイルとパーティーを組んでいる限り、明日も明後日も同じように緊張を強いられることになる。
これは予想外の事態が続きそうだ、とノアは眉をひそめた。
「ベッドが二つに、机と椅子もあるね」
「はい……うっ」
言われて室内に目を向けるノアは、二つのベッドがくっつけられていることに気付いてしまった。これではベッドが二つある意味がないではないか、と心の中で叫んだ。
例えロイルが意識していなくても、真横で寝られては、ノアは快眠出来そうにない。
「あわわわ……どうすれば……ッ」
緊張の糸が切れることなく、ずっと表情がこわばっている。
そんなノアの様子を見やり、ロイルは察したのだろう。くすりと笑った後、ノアの肩に手を置く。
「緊張しないでいい。僕たちは仲間なんだから、安心して眠っていいよ」
「ッ、ご、ごめんなさい!」
何に謝ったのか、ノアは自分でもよく分かっていない。だが、それでもその言葉をロイルにぶつけて、そしてまたロイルがゆっくりと頷いたことで、ほんの少しだけ緊張がほぐれたようだった。
二人は着替えを持ち、一旦部屋の外に出る。ギルドの浴場で湯浴みする為だ。
「じゃあ、また部屋で」
「はい……!」
部屋に戻るまでに、心を落ち着かせよう。
そう思うノアだったが、まずはのぼせないように気を付ける必要がありそうだった。
運ばれてきた料理を、ロイルは美味しそうに平らげていく。
その幸せそうな顔を見ながら、ノアももそもそと食べる。
「美味しいね、ノア」
「そ、そうですね……」
味など、全く分からない。分かるはずがない。
それよりも何よりも、ノアはこの後のことが気になって仕方ないからだ。
「ふう、ごちそうさま」
お腹いっぱい食べて満足したのか、ロイルは幸せそうな顔をしている。
ロイルは元王族と言っていたが、異性と同じ部屋に寝泊まりしたことはあるのだろうか。
そんなことを考えてみるが、勿論本人に聞いてみなければ分かるはずがない。そして当然のことながら、聞けるはずもない。
「じゃあ、ギルドに戻ろうか」
「はぅ、はい……」
お店から出た二人は、ギルドへの道を戻っていく。
今晩泊まるであろう宿部屋に入ってしまえば、二人きりになる。それから朝になるまで、他の誰かが邪魔をすることもないだろう。
緊張しすぎて眠れないかもしれないが、その時はどうすればいいのだろうか、と頭を悩ませるノアだが、残念ながら答えが出る前にギルドへと着いてしまった。
「お仕事お疲れ様」
「おう、ありがとさん」
受付に立つ小太りの職員に挨拶をした後、ノアとロイルの二人はギルドの奥に併設された宿部屋へと足を延ばし、用意された部屋の扉を開く。
「おおー、結構きれいな部屋だね」
しっかりと掃除しているのだろう。ギルドの宿部屋は、二人の目には綺麗に映っている。
「ここで、ロイルと一緒に……」
今日を無事乗り越えることが出来たとしても、ロイルとパーティーを組んでいる限り、明日も明後日も同じように緊張を強いられることになる。
これは予想外の事態が続きそうだ、とノアは眉をひそめた。
「ベッドが二つに、机と椅子もあるね」
「はい……うっ」
言われて室内に目を向けるノアは、二つのベッドがくっつけられていることに気付いてしまった。これではベッドが二つある意味がないではないか、と心の中で叫んだ。
例えロイルが意識していなくても、真横で寝られては、ノアは快眠出来そうにない。
「あわわわ……どうすれば……ッ」
緊張の糸が切れることなく、ずっと表情がこわばっている。
そんなノアの様子を見やり、ロイルは察したのだろう。くすりと笑った後、ノアの肩に手を置く。
「緊張しないでいい。僕たちは仲間なんだから、安心して眠っていいよ」
「ッ、ご、ごめんなさい!」
何に謝ったのか、ノアは自分でもよく分かっていない。だが、それでもその言葉をロイルにぶつけて、そしてまたロイルがゆっくりと頷いたことで、ほんの少しだけ緊張がほぐれたようだった。
二人は着替えを持ち、一旦部屋の外に出る。ギルドの浴場で湯浴みする為だ。
「じゃあ、また部屋で」
「はい……!」
部屋に戻るまでに、心を落ち着かせよう。
そう思うノアだったが、まずはのぼせないように気を付ける必要がありそうだった。
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