上 下
46 / 62
第6章 絶対零度

第45話 宣戦布告

しおりを挟む
北部のある街で、藍原美鈴は蒼と2人で裏社会の組織を襲撃していた。

「おいおい、私に借金した2000万 いつ返すんだよ!! ああ??」

「す、すみません なかなか返せなくてぇぇぇ」

頭を下げる中年男性の胸ぐらを掴んで、地面に叩きつけて重力をかけた。

「ぐはっ…… う、うごごけな……」

「2週間待ってやっただけ優しいと思え!! 蒼、取引履歴は見つかった??」

「うん…… ていうか、私たちの2000万、別のところに払ってる……」

「あ??」

蒼の言葉を聞いて、さらに重力をかけて男の顔面をコンクリートの地面にめり込ませた。

「ま、待て…… それには理由があああああああ」

「言い訳なんて聞きたかねぇ、じゃあな!!」

「あああああああああああああ」

男は重みに耐えられず、顔が潰れて圧死してしまった。
蒼の能力で作ったゾンビが、金庫を持ってきた。
私は金庫に能力で穴を開けた。

「なんだよ~ 最初からこれを出せって~」

中に入っていたのは金のインゴットだった。
重さ的に1億円くらいあるかもしれない。

「……ここの地下にあった見たい…… 普通じゃ見つからないとこ……」

「ま、隠してたと思うが うちの探索家の手にかかりゃ……」

話している途中で、強力な魔力を感じた。

(なんだ??この魔力は……)

「っっ、なんだ…… 少し、肌寒い感じがする」

蒼を見ると、蒼も体が少し震えていた。

「寒い…… くしゅんっっ……」

蒼が鼻水を出していたので、ポケットからティッシュを取り出して蒼の鼻を拭いた。

「風邪ひくなよ、それよりなんだ、この魔力……」

「距離は…… ここから随分遠い、東部あたりかな……」

「そうだな、こっからだと中央都市貫通して行っても半日ってとこか…… 間に合わなそうだし 軍のやつなら、あいつらに任せるしかねぇ」

(この距離でも感じ取れる禍々しい魔力…… これが能力の『進化(Evolve)』ってとこか…… まさかこのステージに立つやつがいるなんてな……)


私は指パッチンをして、組織のビルを屋上から重力をかけて更地にした。
上から社員募集中の看板が落ちてきた。
看板は、私と蒼の周りに貼った重力のバリアに触れて潰れた。











中央都市王宮横のセントラルビル15階


「ありゃま、この間の話は本当だったのか…… こりゃまずいことになりそうだ、どうする?? お前ら」

「こっちも守らなきゃいかない、これを機に各3(サード)が動き出すかもしれない、ザック行ってきたら??」

「わがっだど、まあここには死体を持ってくるから待ってでけろ~」

ザックはビルの壁を突き破り、とんでもない魔力の発生源に一直線で向かった。

「正直ハーレ、3(サード)と同等の我々が束になっても、あれは止められん プランさん案件だが、あの方は音信不通なんだよな」

「いつものことでしょ まあなんでもいいわ とりあえずザックには死んでもらいましょ うざいし」

「おいおい、冷たいねぇ 仲間だって言うのに」










???

「ようやく、覚醒したか…… 我が娘よ」

「神の名を持つ能力のうちの1つ『absolute zero(アブソリュートゼロ)』、これを機に、ディザスターも『進化』してくれりゃ、世界を取れるんだがな……」

「まあ せいぜい頑張りたまえ、『崩壊』は近い……」












紫音は巨人の上から中央都市を見ていた。


「さて、まあこの街の”アレ”は誰にも壊せないし、それまで暇潰しにでも行こうか」

紫音は血まみれで、全身に氷の槍のようなものが刺さっている陽翔の顔を撫でた。

「これが、ディザスターの覚醒者…… あんたじゃあ この支配の世界を変えれない」

紫音が氷の剣を作りだしてとどめを刺そうとした瞬間、目の前の床に斬撃が飛んできた。

斬撃で地面が崩れ、陽翔のいた部分が落下した。

紫音が下を見ると、彩葉が剣を持っていて 使い魔の鬼??が陽翔の体を抱いていた。

「お、やるね  あんたは前に私が覚醒した時に邪魔をしたやつだろ」

紫音がそう言うと、彩葉は剣をしまった。

「私一人で戦っても多分倒せないし、それに私は紫音ちゃんを怪我させたくない 一度体制を立て直す」

「おいおい、この体はもう私のものだ!! 紫音とか言うやつはもういない!!」

「記憶改竄能力はもうないけど…… 紫音ちゃんを元に戻す方法があるはず……」


彩葉はそう言って逃げようとした。
紫音は巨大な氷の塊を作りだして、彩葉に投げた。

「酒呑童子!!!」

彩葉がそう言って指パッチンをすると、日本刀を持ったツノの生えた美少年のような人物が現れた。
その男は日本刀を鞘から出し、氷の塊を縦に一刀両断した。

「お、さすが あん時より格段に魔力も上がってる…… だが人間の作った能力には限度があるだろう」

彩葉の息が少し上がっていた。
紫音は追撃しようと、今度は氷の矢を作り出した途端激しい頭痛がした。
その痛みで立っていられず、頭を抑えてその場に膝をついた。

「っっっ…… まだ完全に乗っ取れてなかったか……」

この隙を逃すことなく、彩葉は酒呑童子を消して大型の鬼のような使い魔と共に陽翔を抱えてその場を離れた。

「逃げらえたか…… まあいい とりあえずこの街の中心行くか、私をこの体に閉じ込めたやつをぶっ殺しに行く」

紫音は穴を開けた部分から、巨人に乗って中央都市に侵入した。
中に入ると、巨大な大砲や軍の部隊が一斉に砲撃してきた。
紫音は巨人の背中に手を置いて、魔力を流した。

「白龍の息吹(ドラゴニックストライク)」

「「「「「ぐはぁぁぁぁぁ」」」」」

紫音の周辺の地面が凍った。
周辺にいた軍人や防御兵器が吹き飛び、その場所には夏が近いこの季節に雪が降った。










しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

処理中です...