上 下
15 / 62
第2章 紅蓮の炎

第15話 死の淵

しおりを挟む
「あの~ あんた、この学校の生徒さんでしょ??帰らんでええの??」

「ふえ?? 今、何時……」

職員のおばさんに声をかけられて、如月佳澄は目を覚ました。

「あ、すみません…… 本を読んでた途中で寝てました……」

「今日は、あたしが戸締まりした後に床の張り替えなどの作業だからね~ 忘れもんせんでや~」

「わかりました 今片付けます」

私は机の上に置いていた筆記用具、本、飲み水を急いでバックの中にしまった

「そんな焦らんでええよ~」

私は片付けると、校舎裏から爆発音がなった

(工事の音、こんな爆発音大きいんだ…… びっくりした……)

「もう始まった感じですかね?? 起こしていただきありがとうございました!!失礼します」

バタんとドアを閉め、図書室から出た。



「あれ??旧体育館は来週だったはずやけど?? わからないけれども、まあ予定変更かしら??」








廊下を歩いてる時にふと、思い出した。

(そう言えば、私自転車の鍵を無くしてて盗難対策に裏に置いていたんだった……)

「まあ、忘れ物して戻ったと言えば怒られないと思いたい……」

少し歩いたのちに、旧体育館周辺に着いた。
好奇心で私は一応、工事があったであろう場所に向かった。

(さっき大きな爆発音のようなのが聞こえたのはこの辺だったけど……)

旧体育館に着いたが作業人の姿はなかった。
代わりに昨日まではあった旧体育館のあった位置に、巨大な穴が開いていた。

(解体用の重機とかは見当たらない…… もう撤去したのかな??)

「気になるし、覗いてみよ……」

私は好奇心で大穴の上から、中を覗き込んだ
最初は何も見えなくて、作業後の光景かなと思って帰ろうとした瞬間、中心に誰かいるのが見えた。

(あれは…… 人だよね……)

よく見ると、大火傷を負っている人が倒れていた。
まだ生きている可能性を信じて、私は穴の中心に走っていった。

(足場が悪い…… 靴に瓦礫か何かが刺さって痛い……)

降っている途中に石のようなものぶつかって、足を擦りむいてしまったが、気にしている場合ではなかった。

穴の中心に着くと、上から見たとおり人が倒れていた。
実際に近くでよく見ると、悲鳴を上げそうなったけれども、もしも事件なら犯人が近くにいると思い、悲鳴を押し殺した。

詳しくみると、うちの学校の制服を着ている人だった。

(火傷を負っているのに、服は無事なのね……)

一応その人の体を起こして、目の位置の前で手をひらひらとして意識があるかの確認をしてみたが反応がなかった。

「だ、大丈夫ではないですよね…… あ、あの……生きてますか??」

私が話しかけると、息を吹き返したようにその人は立ち上がった。

「はぁ…… はぁ…… げほっっ!! 喉がいてぇ…… え、あ~生きてた…… って佳澄さんか!! 僕を介抱してくれてありがとう……」

声をかけてみると城ヶ崎陽翔君だった。
全身の火傷と怪我で最初に見た時は、誰かわからなかった。

「え?? 陽翔くん?? いや今きただけで、私は何もしてないよ…… それより、その体どうしたの??」

「ああ、ちょっとヘマしてな……。っっとごめん…… 意識を保つのがやっとで、これ以上話せそうに…… ない……」

そう告げ、陽翔はまた気を失った。
バタっと倒れた陽翔の体を支えた。

「陽翔くん、陽翔くん!!」

何度か呼ぶが目を覚さなかった。
病院まで学校からかなり距離があるので、応急措置のため保健室へ連れていくことにした。

(こんな怪我をしてても、まだ生きてるなんて…… この人の生命力はおかしいでしょ……)

廊下は血で汚れてたが、気にする余裕もない。
幸い教師や生徒が工事の影響で帰っているので、大ごとにならずによかった

「陽翔くんが軽いから、私でも運べてよかった…… 」

しばらく歩き、保健室に着いた。

(人の命に関わることだし、器具を勝手に使うしかないね)

「し、失礼します……」

中に入ると、白衣を着た女性が座っていた。

(黒髪のロング、後ろで結んでいて、保健室の先生かな)

「あら??生徒の方はみんな帰ったはずだけど、おかしいわね……」

「あなたが先生ですか??この人が怪我しているので手当をしてください!!」

「怪我ってレベルじゃないし、ほんとに生きてるの?まあいいわベットに寝かしてあげて」

そっとベットに晴翔くんを置いた

「私は、今すぐ救急車を呼びます」

私が携帯をバックから取り出そうとすると先生が止めた。

「いや……いいわ、私だけで治せるし……」

そういい先生は上着のボタンをとり、陽翔の胸の中心に手を置いた。

「今から治すね」

咳払いをしたのち、液体のようなものを取り出して陽翔の表面にかけた

「損傷の位置を特定、再構築を開始」

魔力を流しているように見え、次第に傷が減っていき、手を離すと傷が全てなくなった。

「先生のそれ、能力ですか??」

そういうと、先生は陽翔の服のボタンを閉めて布団をかけた。

「ええ、私の能力『Healing』よ風邪などは治せないけど、怪我なら基本なんでも治せるから あなたも怪我したらきなさいね」












しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

処理中です...