七虹精神隔離病院～闇は誰もが持っている！！～

蠢く闇

危害

数日そんな状態が続いたある日、白暗と黒明からは少し怯えた様な表情を向けられた。
その事にとてもショックを受けたのと同時に、自分は担当から外れるべきだと悟った。
患者からしてみれば確かにそうだ。
人を屋上から落としたのでは？と言われている人間に診察されるなど恐怖でしかないだろう。
ごめんね、と謝り白暗達の病室を出ると他の先生に代理を求めようと思い足を進めた。
しかし、雪成と今話しをしてくれるのは森末や尾形などの限られた医師のみである。
何故彼らは雪成の事を信じていてくれるのかは分からない。
秋良はというと、あの事件の日以来顔を合わせてはいない。
実際に恋歌の言葉を信じていようがいまいが、こんな情けの無い自分を見せたくはないと自然と避けていた。
何度か秋良の方から接触を試みたことはあったのだが、決まって恋歌が空いだの入ってきた。
恋次は幸い大事には至らず、背中の打撲と腕の骨折で入院していた。
もちろん担当医は秋良だ。
雪成は休憩スペースに顔を覗かせるとやはり日中ということもありあまり医師はいない。
そんな中、雪成は幸運にも尾形を見つけ、声をかけた。

「尾形先生。」

「ん？なんすか？」

尾形は雪成に声をかけられればいつもの調子で顔を上げた。
その、実は……、と白暗達のことを伝えると尾形は快く了承してくれた。

「なぁに任せてくださいッ！」

余程いつも割としっかりとしている雪成に頼られたことが嬉しかったのか、軽い足取りで休憩スペースを飛び出した尾形にやや心配になるも、大丈夫だろう、と思い込み、院長室へと向かった。