県立青海高校争乱始末

３ 平和の失速

翌日、早速、侠学連合会系の組員3人が報道部に押し掛けたが報道部員達によって
たちまち摘み出された。

「このままで済むと思うちょったらいけんど！」

「首洗うて待っとれよ！」

「この青高にヤクザは2つも要りゃあせんじゃ！」

部長の甘草静子をワクワクさせる様な台詞や意味不明な捨て台詞を残して
3人の組員達はホウホウの体で立ち去って行った。

その姿を見送りながら静子は思った。

「そう言うたら、もうそろそろちゃんとした生徒会をもう一個、別に作らんと
いけんなあ」

そう考えた。

とは言え報道部はそもそもが文化部に過ぎず、保有兵力と言えば辛うじて
歩兵1個小隊があるだけの弱小部に過ぎなかった。

今後、現生徒会の意を受けた侠学連合と渡り合って行くには、陸軍の拡充と
陣営の拡大が急務であった。

この為、柔道部、演劇部、茶道部等に呼び掛けて、これと手を結ぶ事を決め
さらに他部の取り込みにも力を注ぎ、一方で一般生徒をも陣営に取り込む為
「校門坂４６」「壁ドンキッズ」等の特別ユニットを編成し、これを校庭や
通学路に放った。

そして遂に青海高校新生徒会を勝手に発足させた。

一方、こう言った甘草陣営の動きに対し、侠学連合側も対抗措置として
会長、三好巌が空手部、剣道部両部長と兄弟盃を交わしたのを皮切りに
運動部を中心に盃外交を展開した。

そんな中で、甘草静子ら新生徒会陣営の度肝を抜く様な出来事が起きた。

大安吉日の日、青海高校校長室に於いて執り行われた、青海侠学連合会長
三好巌と県立青海高等学校、学校長、光頭（こうず）蛸之進の（五部兄弟
盃の儀）

この電撃盃によって侠学連合の組員達は校長を（光頭のオジキ）と呼ぶ
様になった。

この報が校内を駆け巡ると青海高全体に激震が走った。

「近い内に、学校名が青海侠学高校に改称されるらしい」

「新生徒会と侠学連合によって学校が北青海高校と南青海高校に分断される
事になった」

校内にデマや憶測が飛び交った。