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16 わからない事だらけ

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此処は一体何処なのか?
波に洗われながら辺りに転がっている見慣れない種類の貝殻を見つめながら改めて考えてみる。
振り返れば浜の向こうには丈の高い草が生え、更にその先には木が生い茂った森が見える。
僕にはどうもその辺りの樹木にはいつも見慣れている景色とは違う微妙な違和感を感じる。
何となくだけど僕と龍雄が今目の前に見ている海には日本近海じゃないという雰囲気があった。
僕達2人がいる島と沖に見えている大きな島の他には陸地が見当たらないのをみると僕らは今外洋上に浮かんでいる島にいるというのだろうか?
だとすれば僕ら2人が今眺めている海は太平洋なのか?或いは僕らは大西洋かインド洋上にポツンと浮かんだ島にいるのだろうか?
考えてみればそもそも今僕らがいる場所が北半球なのか南半球なのかもハッキリとはわからない。
多分頭上から照りつける強い陽射しには夏を感じるので北半球なんじゃないかという気がする。
それに強い陽射しではあるけれど、灼ける様な激しさという訳でも無いし、かなり西に傾いてきた太陽はいずれすっかり西に沈んでしまいそうなので、此処は赤道直下とか極点近くでは無さそうだ。
...

「のう、圭介」

「ん?何なら?」

「ワシらは今何処かの島におるみたいじゃけど、此処には人が住んどるんかのう?」

実の所、僕もその事が気になり初めていた。
ひょっとしたら、今この島にいる人間は僕と龍雄だけなのかもしれない。

「どうじゃろうのう?此処から見る限りじゃあ、人が住んどる様な形跡は見当たらんのう」

浜の周囲を見渡しながら僕は答えた。
今僕らがいる場所からでは視界が限られていて、この島が一体どれ位の大きさなのかも、ハッキリとはわからなかった。
僕らが今いるのが無人の島なのかどうかも問題だったけれど、僕には他にも此処にいる内に、少しずつ気になり始めた事がある。
僕の中では徐々にある疑問が芽生え始めていた。
それは今僕らが目にしている見知らぬ光景が果たして、僕らが元々暮らしていた世界と同じ時間で繋がった同じ世界なのだろうか?という事だった。
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