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12 僕らがいる場所と、沖に見える大きな島

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僕は砂浜の上に座り込んだまま暫くの間、呆然として今まで見た事の無い景色をキョロキョロと見渡しているばかりだった。

「此処は一体何処なら?」

僕の傍らに立ち尽くしている龍雄が僕に向かって尋ねた。

「さあ..」

僕はぼんやりと答えた。
僕に聞かれたところで、僕にも答え様が無かった。
僕は愕然としながらも、ゆっくりと立ち上がった。
気が付いたらいきなり何処だか見当も付かない場所にいて狼狽している僕らには関係なしに、僕らの周囲には穏やかで静かな景色が広がっている。
僕らの目の前には、雲の多くない青空から陽光を浴びた海がスッキリとした青さで広がっていて、次々に寄せて来る波は浜で飛沫になって砕けて波打ち際に広がり、それからまた引いて行った。
海の少し沖には、かなり大きな島の姿が見えていた。
島の大きさがどれ位のモノなのかは、僕にはちょっとわからなかった。
けれども目の前に見えている島の大きさや姿は、何となく小学生の時家族に連れられて静岡に行った時に静岡市郊外の何処かの海岸から向かい側に見えていた伊豆半島の姿を思い出させた。
だから多分目の前の島は、淡路島や佐渡島位の大きさはある気がする。
沖に見える島には標高1000mかそれ近くは有りそうな結構高い山々が山脈状に連なり山々の姿は青白く霞んでみえた。
僕にはハッキリとはわからないけど、今僕らがいる砂浜から、沖の島迄は海を隔てて20キロか或いはそれ以上の距離はありそうだった。
背後を振り返ってみる。
今僕と龍雄がいる砂浜の先には草原が見えているけどそのすぐ先は200m位の山が見えた。
僕らに見えている僕らの今いる場所の陸地の景色はあまりにも限られている。
どうやら僕らは今、とても小さい島の中にいるようだった。
僕らのいる砂浜の周囲は鮮やかな自然に囲まれた、見ているとどこか清々しい気分にさせる様な風景だったけれども、僕は今自分が置かれているらしい状況が少しずつわかって来るにつれ、体から力が抜けて気が遠くなりそうになった。
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