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2 フレッドの思い
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フレッドは14歳の時から5年間ずっと、ローゼとの婚約を破棄する機会をうかがっていた。
ローゼとは幼馴染だった。物心つく前に婚約が決められていたため、一緒に過ごすことが多かったのだ。
幼い頃は、可愛いローゼとの婚約に乗り気であった。しかし、成長するにつれ、そのような思いは霧散した。
怖くなったのだ。
共に剣術の稽古をしていたが、ローゼの方がずっと強かった。共に魔法の稽古をしていたが、ローゼの方がずっと強かった。
いつかこの強さが自分に牙をむくような気がして、恐ろしくなった。結婚すればこの恐怖がずっとつきまとう。それが我慢ならなかった。
こうしてフレッドは、いつか婚約破棄を切り出そうと思いながらも、恐ろしくてなかなか実行に移せないでいた。
転機は19歳になった直後に訪れた。運命の人と出会ったのである。
勇気が湧いた。彼女と婚約するためならば、恐ろしいローゼに婚約破棄を切り出すことが出来る——そんな勇気が。
「きゃっ」
レンガの隙間に足を取られた彼女を、フレッドは慌てて支える。
「大丈夫か?」
「ええ、ありがとう」
そう言ってふわりと微笑む彼女は、ローゼと違って儚げだ。
あのパーティーから2週間が経過していた。ローゼとの婚約は正式に解消され、このか弱い令嬢との婚約が認められた。
フレッドは上機嫌で彼女と街を出歩いていた。
「ねえ、フレッド様。私、あっちに行ってみたいわ」
彼女が指さす方を見て、フレッドは首を傾げる。
「あっちには何もないぞ」
「行ってみなくちゃ分からないじゃない」
「でもなぁ……」
フレッドは難しそうな顔をした。彼女の望む方へ行けば、王都を出ることになる。
「僕は勝手に王都から出てはいけないらしいんだ」
「誰に言われたの?」
「……まあ良いか。行こう」
王都を出るなとは両親に言われたのだが、何だか恥ずかしかったので誤魔化した。すぐに戻れば問題無いだろう。
2人はそのまま王都を出て行く。
ローゼとは幼馴染だった。物心つく前に婚約が決められていたため、一緒に過ごすことが多かったのだ。
幼い頃は、可愛いローゼとの婚約に乗り気であった。しかし、成長するにつれ、そのような思いは霧散した。
怖くなったのだ。
共に剣術の稽古をしていたが、ローゼの方がずっと強かった。共に魔法の稽古をしていたが、ローゼの方がずっと強かった。
いつかこの強さが自分に牙をむくような気がして、恐ろしくなった。結婚すればこの恐怖がずっとつきまとう。それが我慢ならなかった。
こうしてフレッドは、いつか婚約破棄を切り出そうと思いながらも、恐ろしくてなかなか実行に移せないでいた。
転機は19歳になった直後に訪れた。運命の人と出会ったのである。
勇気が湧いた。彼女と婚約するためならば、恐ろしいローゼに婚約破棄を切り出すことが出来る——そんな勇気が。
「きゃっ」
レンガの隙間に足を取られた彼女を、フレッドは慌てて支える。
「大丈夫か?」
「ええ、ありがとう」
そう言ってふわりと微笑む彼女は、ローゼと違って儚げだ。
あのパーティーから2週間が経過していた。ローゼとの婚約は正式に解消され、このか弱い令嬢との婚約が認められた。
フレッドは上機嫌で彼女と街を出歩いていた。
「ねえ、フレッド様。私、あっちに行ってみたいわ」
彼女が指さす方を見て、フレッドは首を傾げる。
「あっちには何もないぞ」
「行ってみなくちゃ分からないじゃない」
「でもなぁ……」
フレッドは難しそうな顔をした。彼女の望む方へ行けば、王都を出ることになる。
「僕は勝手に王都から出てはいけないらしいんだ」
「誰に言われたの?」
「……まあ良いか。行こう」
王都を出るなとは両親に言われたのだが、何だか恥ずかしかったので誤魔化した。すぐに戻れば問題無いだろう。
2人はそのまま王都を出て行く。
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