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第3部 ルリタテハ王国の空人の本気
第1章-3 ”ルリタテハの踊る巨大爆薬庫”本領発揮
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床から5メートル以上の宙に浮いている風姫は、踊るように優雅な舞いを披露している。その下では、阿鼻叫喚の地獄絵図になっていた。いつもながら、風姫の誕生パーティーの開始直後は、鮮やかで見事なコントラストだった。
シャンデリアの光の中で風姫は光を纏い輝き、風姫の下の絨毯は赤い色に染め上げられ、離れた場所では華やかに着飾った男女がテロリストの手際を酷評している。
立体キャンバス”ルリタテハの破壊魔の舞”が完成しつつある。
戦闘可能なテロリストは、もう10人ぐらいだわ。
アキトは風姫の下へと支援に向かい、風姫の死角から狙う敵を積極的に潰す。入れ替わるようにジンがパーティー会場の出入口に陣取り、敵も味方も逃がさない構えをとる。
「風姫、やりすぎるなよ」
テロリストが上にいる風姫の死角からナイフを投げつけようとした瞬間。アキトはテロリストの右膝裏を下方へと蹴り、相手の体勢を崩してから延髄へと肘を叩き込む。昏倒するテロリストを避けて、アキトは次の得物を探す。
「アキト、まずは私の心配をしてくれないかしら」
一応、行動で示してくれてるけど、やっぱり言葉で語りかけて欲しいわ。
「人的資源は活用するもんで、浪費するもんじゃねーぜ」
本気で相手の心配をしている?
「私の心配は?」
「必要か?」
アキトが質問を質問に返している間に、風姫は2人のテロリストを戦闘不能にしていた。以前までなら、動いている標的の手足首を狙えるほどの技量はなく、腕と脚のどこかを切断していた。しかし戦闘不能となったテロリストは、両手両足首を切断されていたのだ。
「当然じゃないかしら。それに手加減は、すっごく巧くなったわ」
人間の手足の切断が巧みになったと自慢するのは、いつの時代の、どこの野蛮な国の王女なのか?
ルリタテハ王国歴481年のルリタテハ王国の王女だ。
物語のお約束通り王女は美女で、今も上から人々を睥睨している。
その王女様をアキトは呆れた声で返答する。
「そうだな・・・。オレも大学にきてから、対人戦が強くなったみたいだぜ。誰かさんたちの悪影響の所為でなっ!」
王女様・・・風姫の言動を一切否定しないアキトは、王家に雇われた立派な無法者にもみえる。
「一番成長したのは研究開発能力じゃないのかしら? 女性に対する態度は、未だ今一つね」
風姫は軽口を叩きながら、3人のテロリストの手足を切断していた。残りのテロリストはジンとお宝屋が叩きのめした。
動けるテロリストが一人もいないのを宙から確認した風姫は、すぐにアキトの胸へと飛び込む。
「アキトー」
アキトの胸に衝撃を与えないよう、かつ横抱き・・・所謂お姫様抱っこの体勢となるよう、風姫は自身の体をロイヤルリングで操ったのだ。
「すこし疲れたわ。このまま予備会場に連れてってね」
透き通った声音の風姫が甘えた口調で、アキトにお願いした。
昔のように雑に放り捨てたりせず、アキトは風姫を抱えたまま快諾する。
「はいはい、お姫様の仰せのままに」
これでも恋人同士ではない。
アキトがルリタテハ王立大学で働いて一番成長した分野は間違いなく対人スキルである。年上の同僚や幅広い年齢の生徒に接して対人関係の構築を学んだのだ。
ただ、一つだけ間違いも学んでもいた。
女性への接し方である。
新開家や王家からパーティーの作法を強制的に教えられた。アキトが参加していた新開家のパーティーは内々の、かつ技術交流会のようなもので、煩い作法はなかった。それに子供ということもあって、相手に失礼な言動や態度をとらなければ許されていたのだ。
しかしルリタテハ王立大学の教授となり、公式なパーティーへの参加も義務となったので、作法を習わなけらばなかったのだ。その中には、男性は公の場で女性に恥をかかせてはならず、特に王女には可能な限り配慮するようにと・・・。
大学内では無理でも公式なパーティーでなら、アキトは風姫の多少の我が儘なら受け入れるようになっていた。ジンと彩香、風姫が尽力した結果である。
「そういえばライコウⅢの完成披露に、なんで私を呼んでくれなかったのかしら?」
大学入学前後はアキトが忙しすぎて、まったく私の相手をしてもらえなかった。お宝屋とは仲良さげに一緒にいたのに・・・。それが仕事のためで、仕方なかったとは理解してるわ。でも私との時間がゴウとの時間より圧倒的に少ないのが納得できなかったわ。
でも公的には理事として、私的には大学生として、アキトとかかわる時間を徐々に増やしたのよね。
そうやってきて、今ではアキトの傍に私がいるのが、当たり前になってきている。次は、アキトが私をパートナーとして自然に認識するような状況へと徐々に移行させていくわ。
「王女様を民間施設に呼ぶなんて危険極まりないぜ」
「私の身の安全なら問題ないわ。万難を排してでも行ったのに・・・」
アキトは風姫の身の安全ではなく、周囲の安全に配慮したのだ。勘違いさせたままでいれば、風姫の好感度が上がるのだが、説明してしまうのがアキトだった。
「怖いこと言うなよな」
「どうしてかしら?」
「風姫が万難を排したら、死屍累々ロードが完成するからだ」
「しっ、失礼だわ。何よ、死屍累々ロードって。失礼すぎるわよ、アキト」
アキトは、そのままの意味で使っていた。
約30人が血塗れで倒れているパーティー会場を今アキトは歩いている。まさに死屍累々ロードといって良い状態なのだ。
シャンデリアの光の中で風姫は光を纏い輝き、風姫の下の絨毯は赤い色に染め上げられ、離れた場所では華やかに着飾った男女がテロリストの手際を酷評している。
立体キャンバス”ルリタテハの破壊魔の舞”が完成しつつある。
戦闘可能なテロリストは、もう10人ぐらいだわ。
アキトは風姫の下へと支援に向かい、風姫の死角から狙う敵を積極的に潰す。入れ替わるようにジンがパーティー会場の出入口に陣取り、敵も味方も逃がさない構えをとる。
「風姫、やりすぎるなよ」
テロリストが上にいる風姫の死角からナイフを投げつけようとした瞬間。アキトはテロリストの右膝裏を下方へと蹴り、相手の体勢を崩してから延髄へと肘を叩き込む。昏倒するテロリストを避けて、アキトは次の得物を探す。
「アキト、まずは私の心配をしてくれないかしら」
一応、行動で示してくれてるけど、やっぱり言葉で語りかけて欲しいわ。
「人的資源は活用するもんで、浪費するもんじゃねーぜ」
本気で相手の心配をしている?
「私の心配は?」
「必要か?」
アキトが質問を質問に返している間に、風姫は2人のテロリストを戦闘不能にしていた。以前までなら、動いている標的の手足首を狙えるほどの技量はなく、腕と脚のどこかを切断していた。しかし戦闘不能となったテロリストは、両手両足首を切断されていたのだ。
「当然じゃないかしら。それに手加減は、すっごく巧くなったわ」
人間の手足の切断が巧みになったと自慢するのは、いつの時代の、どこの野蛮な国の王女なのか?
ルリタテハ王国歴481年のルリタテハ王国の王女だ。
物語のお約束通り王女は美女で、今も上から人々を睥睨している。
その王女様をアキトは呆れた声で返答する。
「そうだな・・・。オレも大学にきてから、対人戦が強くなったみたいだぜ。誰かさんたちの悪影響の所為でなっ!」
王女様・・・風姫の言動を一切否定しないアキトは、王家に雇われた立派な無法者にもみえる。
「一番成長したのは研究開発能力じゃないのかしら? 女性に対する態度は、未だ今一つね」
風姫は軽口を叩きながら、3人のテロリストの手足を切断していた。残りのテロリストはジンとお宝屋が叩きのめした。
動けるテロリストが一人もいないのを宙から確認した風姫は、すぐにアキトの胸へと飛び込む。
「アキトー」
アキトの胸に衝撃を与えないよう、かつ横抱き・・・所謂お姫様抱っこの体勢となるよう、風姫は自身の体をロイヤルリングで操ったのだ。
「すこし疲れたわ。このまま予備会場に連れてってね」
透き通った声音の風姫が甘えた口調で、アキトにお願いした。
昔のように雑に放り捨てたりせず、アキトは風姫を抱えたまま快諾する。
「はいはい、お姫様の仰せのままに」
これでも恋人同士ではない。
アキトがルリタテハ王立大学で働いて一番成長した分野は間違いなく対人スキルである。年上の同僚や幅広い年齢の生徒に接して対人関係の構築を学んだのだ。
ただ、一つだけ間違いも学んでもいた。
女性への接し方である。
新開家や王家からパーティーの作法を強制的に教えられた。アキトが参加していた新開家のパーティーは内々の、かつ技術交流会のようなもので、煩い作法はなかった。それに子供ということもあって、相手に失礼な言動や態度をとらなければ許されていたのだ。
しかしルリタテハ王立大学の教授となり、公式なパーティーへの参加も義務となったので、作法を習わなけらばなかったのだ。その中には、男性は公の場で女性に恥をかかせてはならず、特に王女には可能な限り配慮するようにと・・・。
大学内では無理でも公式なパーティーでなら、アキトは風姫の多少の我が儘なら受け入れるようになっていた。ジンと彩香、風姫が尽力した結果である。
「そういえばライコウⅢの完成披露に、なんで私を呼んでくれなかったのかしら?」
大学入学前後はアキトが忙しすぎて、まったく私の相手をしてもらえなかった。お宝屋とは仲良さげに一緒にいたのに・・・。それが仕事のためで、仕方なかったとは理解してるわ。でも私との時間がゴウとの時間より圧倒的に少ないのが納得できなかったわ。
でも公的には理事として、私的には大学生として、アキトとかかわる時間を徐々に増やしたのよね。
そうやってきて、今ではアキトの傍に私がいるのが、当たり前になってきている。次は、アキトが私をパートナーとして自然に認識するような状況へと徐々に移行させていくわ。
「王女様を民間施設に呼ぶなんて危険極まりないぜ」
「私の身の安全なら問題ないわ。万難を排してでも行ったのに・・・」
アキトは風姫の身の安全ではなく、周囲の安全に配慮したのだ。勘違いさせたままでいれば、風姫の好感度が上がるのだが、説明してしまうのがアキトだった。
「怖いこと言うなよな」
「どうしてかしら?」
「風姫が万難を排したら、死屍累々ロードが完成するからだ」
「しっ、失礼だわ。何よ、死屍累々ロードって。失礼すぎるわよ、アキト」
アキトは、そのままの意味で使っていた。
約30人が血塗れで倒れているパーティー会場を今アキトは歩いている。まさに死屍累々ロードといって良い状態なのだ。
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