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自由の天地を求めて
目覚めないハルマン
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ハルマンからかなり遅れてタイソンに到着したタークとユキノはそれぞれの個室で泥のように眠った。そして起きるとタークは砂漠での出来事を皆に語って聞かせた。タークが時々興奮して話を飛ばすため、ユキノが要点をまとめて語りなおすという場面も何度かあった。タークは仲間たちに注目されているという喜びもあって延々と語った。途中でユキノは席を外し、格納庫へ行った。
「……おうユキノか。これが砂漠で見つけたというRBだな。こいつとハルマンのおかげで俺たちは助かったんだけどよ。どうにも妙なマシンだなこいつは。ユキノはどう思うんだ?」
ジャック艦長はNS7のボディを触りながらユキノに尋ねた。ユキノはためらってから答えた。
「このマシンは無茶苦茶よ艦長。アタシが調べたときは燃料もなかったのにハルマンが乗ったら勝手に動いたの。しかもあのスピード。不気味なマシンね。もっと調べる必要があるわ」
ユキノは言いながらNS7のエンジン部を調べ始め、艦長がいることを忘れて夢中になった。
艦内が落ち着いたころ、艦長は主な乗組員をブリッジに集めた。今後の方針として、タイソンはまず東の都市ワンスへ向かうことを伝えた。ワンスはイデア草原の中央から見て東北に位置する大きな都市であった。そこで補給と休息を終えてから次の行動を決めると伝えた。
地上艦タイソンは東の都市ワンスへ向けて前進を始めた。その間、ユキノはNS7を調べつつも時折医務室のハルマンを見舞った。彼が目覚めないのを心配しつつ、彼の手を握って話しかけた。
「ハルマン、あのマシンは怖いわ。とても古いマシンだけど、それだけじゃない。脳波の送受信装置みたいなのがあるし、それで駆動部を制御してるみたい。人の精神力で動くのかな? だとしたらハルマンは精神力をあのマシンに吸われたのかも。そんなの怖い。ねえ起きてよハルマン」
自分の考えに悪寒を覚えたユキノは医務室を出て格納庫へ向かい、ハルマンの愛車だったVTをピンク色に塗装する作業に取り掛かった。
「……おうユキノか。これが砂漠で見つけたというRBだな。こいつとハルマンのおかげで俺たちは助かったんだけどよ。どうにも妙なマシンだなこいつは。ユキノはどう思うんだ?」
ジャック艦長はNS7のボディを触りながらユキノに尋ねた。ユキノはためらってから答えた。
「このマシンは無茶苦茶よ艦長。アタシが調べたときは燃料もなかったのにハルマンが乗ったら勝手に動いたの。しかもあのスピード。不気味なマシンね。もっと調べる必要があるわ」
ユキノは言いながらNS7のエンジン部を調べ始め、艦長がいることを忘れて夢中になった。
艦内が落ち着いたころ、艦長は主な乗組員をブリッジに集めた。今後の方針として、タイソンはまず東の都市ワンスへ向かうことを伝えた。ワンスはイデア草原の中央から見て東北に位置する大きな都市であった。そこで補給と休息を終えてから次の行動を決めると伝えた。
地上艦タイソンは東の都市ワンスへ向けて前進を始めた。その間、ユキノはNS7を調べつつも時折医務室のハルマンを見舞った。彼が目覚めないのを心配しつつ、彼の手を握って話しかけた。
「ハルマン、あのマシンは怖いわ。とても古いマシンだけど、それだけじゃない。脳波の送受信装置みたいなのがあるし、それで駆動部を制御してるみたい。人の精神力で動くのかな? だとしたらハルマンは精神力をあのマシンに吸われたのかも。そんなの怖い。ねえ起きてよハルマン」
自分の考えに悪寒を覚えたユキノは医務室を出て格納庫へ向かい、ハルマンの愛車だったVTをピンク色に塗装する作業に取り掛かった。
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