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いちご夢野先生と睦月拓馬

やっと会えましたね先生

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 食卓の脇で横になって眠った拓馬を見た若菜は隣に来た奈緒美の顔を見た。
 奈緒美は首をかしげながら拓馬の顔を見ていたが、やがてうなずいて若菜に言った。
「……こんな感じの人だったかも。でも痩せたのかな? うまく思い出せないよ」
 そこで若菜は拓馬に聞いた限りの現状を説明した。
「……病気になっちゃったんだ。それでもまた編集の仕事をやるの? 大丈夫かなあ?」
「こうやって寝てる姿を見ると大丈夫ではなさそうやな。そんでもここまで来たんや」
 しきりに寝返りを打つ拓馬を見ながら若菜は笑い、困った顔の奈緒美に言った。
「こんなんでもな、最初に仕事をする相手は奈緒美って決めてるんやと。どうや? そう言われたら悪い気せんやろ。こいつが起きたら話だけでも聞いたれや奈緒美」
 若菜の提案に対して奈緒美が考え始めたとき、拓馬の体が震え始めた。
「な、なんや? こいつ震えとるぞ? 寒いんか? 顔が赤いわ。熱があるんか?」
 若菜は自分の手をさっと拓馬の額に当てた。すると高熱を感じて驚き、奈緒美に言った
「奈緒美! 濡れタオルや。それとできれば氷水や。あとお母さん起こしてな!」
 奈緒美が持ってきた濡れタオルを額に当てると拓馬の震えはいったん治まった。だが再び拓馬の熱は上がり、息も荒くなり始めたので若菜は救急車を呼ぶよう奈緒美に言った。
「おい睦月! 大丈夫か? これってお前の持病なんか? 救急車呼ぶで!」
「……ああ、いちご先生。やっと会えましたね。僕とまた仕事をしましょうよ」
「睦月? お前意識あるんか? なんや? やめんか! ああっ奈緒美!」
 赤い顔のまま立ち上がった拓馬はふらふらと奈緒美に近づき、勢いで抱き着いた。
「やめて! 嫌です編集さん! だ、大丈夫ですか?」
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