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ラスボスのルーミ
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「……あれ? 姉ちゃん。いつ帰ったの? ノックくらいしろよな!」
星空月は自分の部屋のベッドから飛び起きると、まず弟の敦の部屋へ向かった。そして部屋の扉を思い切り開け、敦が遊んでいたゲーム機のコントローラーを手にした。
「敦! このゲームは姉ちゃんのでしょ! 勝手にやらないで!」
月はそう言いながらゲーム画面を見つめた。『魔法帝国の野望』はクリア寸前だった。
「ちょっと! 姉ちゃんのゲームを勝手にやって勝手にクリアするの? 敦のバカ!」
「ごめん姉ちゃん。でもこのラスボスのルーミが強くてさあ。どうやって……」
敦の言葉を聞いた月は激怒し、敦の頭をコントローラーで何度も叩いた。
「ルーミって何よ? ラスボスは魔王ドロンでしょ? ひどいネタバレよバカ!」
「本当にごめん姉ちゃん。でもクリアはしてないし、強くてニューゲームもできるよ」
敦が土下座するように謝ったとき、月は敦が読んでいた本を取り上げた。
「何よこれ。攻略本? こんなの読んでゲームやって楽しいの? バカね……」
そう言いながら月は思わず攻略本を読み、その内容を見てうなずいていた。
「あら、このイラストは公式のイラストね。素敵じゃない。へえ初期設定は……」
「なかなか面白い本だろ姉ちゃん。こういうの好きだと思って買ったんだよ俺」
月が読書に夢中になっている隙に敦は部屋を出て、台所からお茶菓子を持ってきた。
「まあまあ姉ちゃん。お菓子でも食べて。その本は姉ちゃんにあげるから許してよ」
敦に言われた月は本を読みながら菓子をつまみ、ゲーム画面を見てうなずいていた。
「許すってなんだっけ? この本面白いわね。資料に使えるわ。今度のコミ……」
「だからさ、もう姉ちゃんのゲームを勝手にやったりしないからさ。漫画も……」
「漫画? 敦! 姉ちゃんの漫画勝手に読んだの? 許さないよバカ! アホ!」
月は持っていた攻略本の角で敦を何度も叩いた。すると敦が薄い本を差し出した。
「……返すよ姉ちゃん。これって姉ちゃんが描いたんだろ。上手いじゃん。なあ?」
「ギャアア! ぶっ殺す! 読んだの? どこまで読んだ? 上手い? 本当に?」
月は顔を真っ赤にしながら錯乱し、思わず投げた攻略本がゲーム機に直撃した。
「ああ! 姉ちゃん! ゲーム機が壊れた! 画面見て! バグった! ヤバいよ!」
テレビに映っていたゲーム画面は赤青黄色が交互に映るだけの状態になっていた。
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「敦! このゲームは姉ちゃんのでしょ! 勝手にやらないで!」
月はそう言いながらゲーム画面を見つめた。『魔法帝国の野望』はクリア寸前だった。
「ちょっと! 姉ちゃんのゲームを勝手にやって勝手にクリアするの? 敦のバカ!」
「ごめん姉ちゃん。でもこのラスボスのルーミが強くてさあ。どうやって……」
敦の言葉を聞いた月は激怒し、敦の頭をコントローラーで何度も叩いた。
「ルーミって何よ? ラスボスは魔王ドロンでしょ? ひどいネタバレよバカ!」
「本当にごめん姉ちゃん。でもクリアはしてないし、強くてニューゲームもできるよ」
敦が土下座するように謝ったとき、月は敦が読んでいた本を取り上げた。
「何よこれ。攻略本? こんなの読んでゲームやって楽しいの? バカね……」
そう言いながら月は思わず攻略本を読み、その内容を見てうなずいていた。
「あら、このイラストは公式のイラストね。素敵じゃない。へえ初期設定は……」
「なかなか面白い本だろ姉ちゃん。こういうの好きだと思って買ったんだよ俺」
月が読書に夢中になっている隙に敦は部屋を出て、台所からお茶菓子を持ってきた。
「まあまあ姉ちゃん。お菓子でも食べて。その本は姉ちゃんにあげるから許してよ」
敦に言われた月は本を読みながら菓子をつまみ、ゲーム画面を見てうなずいていた。
「許すってなんだっけ? この本面白いわね。資料に使えるわ。今度のコミ……」
「だからさ、もう姉ちゃんのゲームを勝手にやったりしないからさ。漫画も……」
「漫画? 敦! 姉ちゃんの漫画勝手に読んだの? 許さないよバカ! アホ!」
月は持っていた攻略本の角で敦を何度も叩いた。すると敦が薄い本を差し出した。
「……返すよ姉ちゃん。これって姉ちゃんが描いたんだろ。上手いじゃん。なあ?」
「ギャアア! ぶっ殺す! 読んだの? どこまで読んだ? 上手い? 本当に?」
月は顔を真っ赤にしながら錯乱し、思わず投げた攻略本がゲーム機に直撃した。
「ああ! 姉ちゃん! ゲーム機が壊れた! 画面見て! バグった! ヤバいよ!」
テレビに映っていたゲーム画面は赤青黄色が交互に映るだけの状態になっていた。
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