魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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恵と未来

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「なんかさ、クラスで王子王子とか言っちゃってんじゃん。恵ちゃんはどう?」
未来はあけすけな物言いで恵をたじろがせたが、未来は構わず続けた。
「正直言って王子ってほどイケメンでもないよね。恵ちゃんは好きなの?」
「わ、私は別に……。それより山本さんは可愛いって噂になってるわよ」
恵は話題をそらすために未来を遠回しにほめ、紅茶に砂糖を少し入れてかき回した。
「まあね。未来は可愛いからしょうがないね。あと未来って呼んで。山本は嫌なの」
未来は頬を膨らまし、注文したケーキが来るとぱくぱくと一気に食べた。
「あのね、恵ちゃんもけっこう可愛いし頭良さそうだから友達になってよ。美味しい」
未来はケーキを食べ終わると瞳をきらきら輝かせ、呆然としている恵の手を取った。
「やっぱ転校生ってなじむまでが大変じゃん? 友達いないといじめられたり」
友達と呼べる人が少なかった恵にとって未来の申し出は嬉しいものだった。
「……私でよければ。でも私は家のことで忙しいからそんなに遊んだりできないけど」
「家のこと? よしじゃあこれから恵ちゃん家に行こう! そうしよう!」
「ちょ、ちょっと未来ちゃん。いきなりは困るよ。お掃除とかしなきゃ……」
「未来もお掃除手伝うよ。それでいいでしょ? 恵ちゃん家ってどんなのかなあ?」
「未来ちゃん待って! 姉さんとか妹がいるとびっくりするから先に連絡を……」
恵が携帯電話を取り出す間に未来は意気揚々と店を出て歩き始めた。そして未来は道に迷い、途方に暮れてうろうろ歩いているところに恵が追いついた。
「待ってたよ恵ちゃん。早く行こうよ。恵ちゃん家ってここから近い?」
「未来ちゃんが迷っちゃったから遠くなっちゃったわウフフ。こっちよこっち」
「あ、恵ちゃんって笑うと可愛いね。普段からずっと笑ってればいいのにアハハ!」
恵は未来にそう言われて嬉しくなり、思わず未来の手を引いて自宅へと歩き出した。
「……ここよ未来ちゃん。ちょっと待ってて。私が先に入って少しだけお掃除……」
恵は玄関の鍵を開け、家の中へ入った。すると異変に気付いた。
「誰かいるの? 姉さん? あれ? 何よこの靴? 誰? 泥棒? 警察を……」
「私は真理。この家の家政婦をすることになりました恵さん。よろしく」
恵の目の前に立っていた青い服の女はにこやかに笑って握手を求めた。
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