魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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帰ってきた伝説の魔女たち

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「爆発! 私の魔法で敵を吹っ飛ばして! お願い!」
マンデーが機械の杖を空にかざして叫んだとき、空が割れて閃光が落ちてきた。
「……呼んだかい? おや? マンデーじゃないか。なんだい戦争中かい?」
落ちてきたメリーはぼうっとしているマンデーの頭を撫でた。すると続いてマリーが落ちてきて、マリーの尻がメリーの頭に直撃した。次にミリーの尻がマリーに直撃した。
「マンデーちゃん! 久しぶりだね! ミリーたちは元気だよ! 今忙しいの?」
ミリーがあっけらかんと笑うと、敵部隊は呆然として動きを止めた。敵中で暴れていたシーナも猛然とミリーに駆け寄り、ミリーを抱き上げて高らかに笑った。
「お前ら知ってるか? グロウ三姉妹だ。伝説の魔女たちが帰ってきたぜ。勝ったな!」
「おや? シーナかい? こいつら敵かい? とりあえず燃やすか!」
メリーは敵部隊を見ながら大きく息を吸い、口から紅蓮の炎を吐き出した。
「燃えろよ燃えろ! ああ、いい景色だねえ。我ながらアタシの炎は美しいよ」
メリーの吐き出した炎が敵部隊を燃やし尽くし、辺り一面は真っ白な灰になった。
「姉さん。あそこに要塞が見えるわ。空を飛んでいた要塞が地上にいるわ。あれも敵よ」
マリーが指さした要塞マロクは前進を続けながら増援部隊を送り出していた。
「メリーさん。あの城に行って! 新しい杖と箒を受け取って! ここは私が防ぐわ!」
マンデーに言われたメリーたちは魔族男に誘導されてオラダ城に向かった。
「……ひっひっひ。人間界は楽しかったかい嬢ちゃんたち。ほれプレゼントじゃ」
オラダ城に到着したメリーたちは魔女オンプの出迎えを受けた。
「これは私たちの杖。それに新しい箒? 姉さん、この箒は見覚えがあるわ」
マリーは魔女オンプに渡された箒をしげしげと見つめた。するとミリーが思い出した。
「姉ちゃん! この箒はメリー姉ちゃんが燃やしちゃった箒だよ。ここに焦げ目があるもん。懐かしいね。ミリーたちが子供のころに使ってた箒にまた会えたよ姉ちゃん!」
「そうだねミリー。こいつらはアロー号だよ。速いけど言うこと聞かないんだよねえ」
メリーは言いながら箒アロー号にまたがったが、箒はおとなしかった。
「ミリーは久しぶりにアロー号で飛びたい! 一緒に飛ぼうよ姉ちゃん!」
言うや否やミリーは箒に乗って飛び出し、メリーとマリーは箒で追いかけた。
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