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長女メリーはやはり伝説の魔女?
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「姉ちゃんだ! この絵はメリー姉ちゃんだよ! マリー姉ちゃん!」
床の間に飾られた絵を見たミリーは驚いて叫び、畳の上でぴょんぴょんと跳ねた。
「さようです。この絵画はルミツテ寺院に伝わる伝説の魔女サリー・グロウの肖像画なのです。拙僧もメリーさんを見たときに驚きました。メリーさんのお姿はあまりにも肖像画のサリー・グロウさまに似ていらっしゃる。お顔も全身もまさに生き写し」
カイクウはしみじみと肖像画を眺め、マリーたちに視線を移して熱い涙をこぼした。
「確かに姉さんそのものと言っていいわね。燃えるような赤い髪といい、大きな胸といい、凄みのある笑顔。それに右手に酒瓶を持ってるわねフフフ……」
マリーは笑いをこらえきれず、口元に手を当てて少し吹き出した。
「うんうん、この絵の魔女は酔っぱらってるんじゃねえの? 笑えるぜブフッ!」
マリーの笑いにつられてシーナも大声で笑いだし、静かな床の間に笑い声が響いた。
「南無南無南無……偉大なるご先祖サリーさまに失礼でありましょう。これで拙僧があなたがたをこの寺院にお迎えした理由がわかっていただけましたでしょうか……」
カイクウは言いながら絵の下にあるつづらを開け、中から三本の杖を取り出した。
「この杖はわが寺院に伝わる霊験あらたかな魔法の杖でございます。よくご覧になってください。杖の上部にある紋章はトライスケイル。三つの鱗をかたどった紋章です」
カイクウが指さした紋章は三つの三角形が三角に積み上げられた形を成していた。
「……トライスケイル……。グロウ村の魔法樹にこんな形の黒い焦げ跡があったわ」
マリーは記憶をたどりつつ杖を手にしてその手触りを確かめた。すると杖がかすかに光った。同じようにミリーが杖を手にすると、その杖もかすかに光った。
「姉ちゃん! ミリーの手にびびっと来たよ! これってすごい杖かも! びびび!」
ミリーが杖を振り回して遊ぼうとしたとき、床の間に酔ったままのメリーが入ってきた。
「あ~~! 美味い酒だったよ! なんだいその杖は? おや? その絵は?」
メリーはサリーの肖像画を見て驚きながらうっとりと絵を眺めた。
「まあまあの美人だねえ。でもちょっと酒癖が悪そうで性格も悪そうだねえ。誰だい?」
言いながらメリーは残った杖を手にして眺め、しっくり来たように何度か杖を振った。すると床の間が強く光り輝き、メリーたちはまぶしさのあまり目を閉じた。
床の間に飾られた絵を見たミリーは驚いて叫び、畳の上でぴょんぴょんと跳ねた。
「さようです。この絵画はルミツテ寺院に伝わる伝説の魔女サリー・グロウの肖像画なのです。拙僧もメリーさんを見たときに驚きました。メリーさんのお姿はあまりにも肖像画のサリー・グロウさまに似ていらっしゃる。お顔も全身もまさに生き写し」
カイクウはしみじみと肖像画を眺め、マリーたちに視線を移して熱い涙をこぼした。
「確かに姉さんそのものと言っていいわね。燃えるような赤い髪といい、大きな胸といい、凄みのある笑顔。それに右手に酒瓶を持ってるわねフフフ……」
マリーは笑いをこらえきれず、口元に手を当てて少し吹き出した。
「うんうん、この絵の魔女は酔っぱらってるんじゃねえの? 笑えるぜブフッ!」
マリーの笑いにつられてシーナも大声で笑いだし、静かな床の間に笑い声が響いた。
「南無南無南無……偉大なるご先祖サリーさまに失礼でありましょう。これで拙僧があなたがたをこの寺院にお迎えした理由がわかっていただけましたでしょうか……」
カイクウは言いながら絵の下にあるつづらを開け、中から三本の杖を取り出した。
「この杖はわが寺院に伝わる霊験あらたかな魔法の杖でございます。よくご覧になってください。杖の上部にある紋章はトライスケイル。三つの鱗をかたどった紋章です」
カイクウが指さした紋章は三つの三角形が三角に積み上げられた形を成していた。
「……トライスケイル……。グロウ村の魔法樹にこんな形の黒い焦げ跡があったわ」
マリーは記憶をたどりつつ杖を手にしてその手触りを確かめた。すると杖がかすかに光った。同じようにミリーが杖を手にすると、その杖もかすかに光った。
「姉ちゃん! ミリーの手にびびっと来たよ! これってすごい杖かも! びびび!」
ミリーが杖を振り回して遊ぼうとしたとき、床の間に酔ったままのメリーが入ってきた。
「あ~~! 美味い酒だったよ! なんだいその杖は? おや? その絵は?」
メリーはサリーの肖像画を見て驚きながらうっとりと絵を眺めた。
「まあまあの美人だねえ。でもちょっと酒癖が悪そうで性格も悪そうだねえ。誰だい?」
言いながらメリーは残った杖を手にして眺め、しっくり来たように何度か杖を振った。すると床の間が強く光り輝き、メリーたちはまぶしさのあまり目を閉じた。
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