魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

文字の大きさ
上 下
31 / 122

怪物撃破! だが試練は続く

しおりを挟む
「あと一歩だったけど、いけるわ。ミリー、シーナ、力を貸して! やっつけるわよ!」
吐き出されたマリーはミリーとシーナに寄り添い、ヘルメット越しに作戦を伝えた。
「時間は少ないわ。タイミングがすべてよ。ラーケンがしぼんでしまう前に決着よ!」
いったん膨張したラーケンの体がしぼみ始めたのを見て三人は一気に間を詰めた。
「ミリー! シーナに電撃を! シーナは気合で我慢して! すぐに突入よ!」
マリーの号令でミリーは体に電流をため、シーナに抱き着いてシーナを感電させた。
「おおお! しびれるぜ! よっしゃ! このまま特攻といくぜ!」
光り輝いたシーナは全速で泳ぎ、ラーケンの開いた口から体内に飛び込んだ。
「うおおおお! てめえの内臓ギッタギタだぜえ! シーナ電光パンチ! キック!」
マリーとミリーがラーケンを見ていると、その体が大きくのたうちまわり、やがて大量の臓物とともにシーナを吐き出してぴくりとも動かなくなった。
「……こんなもんでいいのか? いやあ、たいした怪物じゃなかったなあ、おい!」
シーナが勝ち誇ったように言うと、そのヘルメットがひび割れていた。
「シーナ。ヘルメットが割れたら窒息して死ぬわよ! 急いでジェイへ帰りましょう!」
三人がジェイに帰還すると酔ったままのメリーとノラの機械音声が迎えた。
「本艦針路の障害は無事排除されました。まもなく航行を再開します」
ノラの声を聞いた三人は安心し、疲労で司令室の床に倒れこんだ。
「……なんだなんだ? お前ら全員イカ臭いな。海の中でイカと遊んでたのか?」
メリーは三人を介抱しようとしたが、鼻をつまんであきらめた。
「……姉ちゃん? ごはんまだ? 今日はマリー姉ちゃんが料理当番でしょ?」
マリーは調理室の調理機械から出てきた料理をしばらく見つめ、調味料を加えていた。
「……ぶほっ! 辛い! 酸っぱい! 苦い! お前味見したのか? 食えねえよ!」
食堂ではマリーが出した料理を食べたシーナが涙目でわめき、ミリーは沈黙していた。
「なによ! じゃあシーナが作ってよ!」
マリーとシーナがケンカを始めるとメリーが割って入り、さっとエプロンを身に着けた。
「アタシが残り物で何か作ってやるから文句言わないで食べるんだよ」
メリーが作った料理を食べたマリーたちは美味しさで笑顔になり、仲良く食堂を出た。 
しおりを挟む

処理中です...