魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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一大事! 潜水艦が動かなくて困る魔女三姉妹

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「何度も聞いてるだろ? 酒はどこに隠してるんだこの野郎! 吐け! 燃やすぞ!」
メリーが画面のノラを脅したが、コンピュータのノラは冷静に言葉を返した。
「飲酒は原則として禁止です。艦長の許可を得てからもう一度お尋ねください」
ノラに言われたメリーはノラを起動させて艦長に認定されたミリーの小さな頭を撫でた。
「お酒はダメだよ姉ちゃん。これはミリーの艦長命令。ワイハまで我慢しようね」
ミリーが諭すように言うとメリーは司令室の床に寝転がってじたばたと暴れた。
「話が違うだろマリー! 潜水艦に酒があるって言ったじゃないか! どうなってる!」
「姉さん、コンピュータのノラはお酒がないとは言ってないわ。飲酒は禁止って言ってるのよ。お酒があったとしても飲むにはミリー艦長の許可が必要という話なのよ」
マリーに説得されたメリーは黙って司令室を飛び出した。
「あんたら姉妹なのに仲がいいんだか悪いんだかよくわからないねえ。見てて面白いよ」
シーナは笑いをこらえるように腹筋を締めてつぶやいた。
「では艦長。ワイハへの航路を設定してください。大まかに3つの選択肢がございます」
ノラがミリーに問いかけるとミリーは首をひねり、困った顔でマリーを見た。
「ミリー、私も潜水艦や海路には詳しくないわ。詳しいことをノラに聞きましょう」
「……う~~ん、わかんないからノラに全部任せるよ!」
ミリーのその一言を聞いたノラは自動で計算をはじめ、ワイハへの航路を設定した。
「アタイもよくわかんないけど、いよいよワイハへ行けるんだな? よろしくノラ!」
シーナが喜びの声を上げるとノラは思わぬ一言を返した。
「いいえ、このままでは本艦はワイハへは行けません。魔力炉の動力が不足しています」
ノラの答えを聞いたマリーは頭を抱えているシーナを見てからノラに聞いた。
「要するにこの潜水艦ジェイは魔力で動く魔力潜水艦ってことでいいのねノラ?」
「そうですマリーさん。魔力炉にワイハまで航行可能なだけの魔力を与えてください」
ノラが答えたとき、メリーが茶色の液体で満たされた酒瓶をもって司令室にやってきた。
「おいミリー、飲酒許可をくれよ。頼むよミリー艦長。一生のお願いだ」
それを聞いたマリーはミリーを抱きしめ、ミリーの耳元に何かをつぶやいた。
「わかったよ姉ちゃん。思う存分お酒飲んでね!」
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