魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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新しい仲間は筋肉質の魔女

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「さっきの天使さんはモモちゃんだったんだ。かっこよかったねえ」
やがて魔力が回復したミリーが言うと、マリーは思わずくすっと笑った。
「ミリー、とりあえず収容所に行ってジョーのことを聞こう。守っているのは魔女たちだから事情を説明して私たちに協力してもらうのよ。たぶん大丈夫でしょう」
メリーたちが収容所に行くと、老いた魔女たちの喝采を浴びた。
「あんたらすごいねえ。あの魔法少女をやっつけちまうんだから。あたしらみんな感動したよ。
それにあんたらみんな美人じゃないか。あたしらも若いころはねえ……」
魔女たちは収容所の封印を解き、メリーたちを収容所内へ案内した。
「……だからさあ、イケメンでダンディーな魔族のジョーだよ。お前も知らないの? え?お前も知らないのかい? これは面倒だねえ」
メリーは囚人の魔族たちに聞いて回ったが、みなジョーを知らない様子だった。
「……アタイ知ってるよ。教えてやるからお前らの乗ってきた船にアタイも乗せてくれ。乗せてくれるならお前らの冒険とやらにも協力してやるよ。どうだい?」
囚人をかき分けてメリーの前に立ったのは筋肉質の若い魔女だった。
「本当かい? 本当なら先にジョーのことを教えて。話はそれからだよ」
メリーが言うと若い魔女は筋肉質の薄い胸を張って言った。
「魔王軍前線基地のワイハに司令官として赴任してるはずだよ。ワイハに行くかい?」
メリーはしばらく若い魔女の表情を見ていたが、うなずいた。
「嘘をついている感じじゃないし、事情通のようだね。とりあえず名前を聞いておこう」
「アタイはシーナ。魔法は苦手だけど格闘は得意なんだ。よろしくな」
メリーたちとシーナの四人は収容所を去って海岸の駆逐艦へ戻った。
「……悪いけどね魔女さんたち。ここで死んでもらうからね。主砲、撃て!」
駆逐艦の主砲がメリーたちに狙いを定め、艦長ルイの叫びが海岸に轟いた。
「アタシは最初からあの魔族女が気に食わなかったんだよ。燃やしとけばよかったね」
「なになに? あの軍艦はお前らの船じゃなかったのかい? 敵ってことでいいのか?」
シーナがメリーたちに聞いているときに駆逐艦の主砲が発射された。
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