魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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海の男たちに迫られる魔女三姉妹

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魔法帝国でも屈指の都会と言われるヨハマは城塞都市になっている。広大な城下町を見下ろすようにそびえ立つ城にはかつて相応の規模の魔王軍が駐留していた。
「うわあ、やっぱりヨハマってすごい町なんだねえ。ミリーびっくりしちゃった」
多くの人出でにぎわう町を見回したミリーが素直に感動し、はしゃいで走り回った。
「ミリー、田舎者と思われると恥ずかしいから静かにしててよ」
マリーが顔を赤らめつつミリーに言ったが、マリーも町の喧騒に驚いていた。
「何言ってんだい。アタシたちは正真正銘の田舎者だろ。おや? あれは酒場かね?」
メリーは酒の匂いを嗅ぎつけるとすたすたと酒場に入り、酔客の中に紛れ込んだ。
「……姉さんったら。でもまあ情報収集には酒場が一番いいかもしれないね」
マリーとミリーも酒場に入り込み、酔客をかきわけてメリーを探した。
「どいつもこいつもごつい男らばっかで華がないねえ。もうちょっとシュッとした紳士的な魔族の男はいないのかい? 酒がまずくなるよ。ええ? もう一杯だよ!」
酒場の中央に酔ったメリーの姿があり、いかつい男たちがにやにや笑いながらメリーに酒を差し出していた。マリーとミリーが近づくと男たちはさらに笑い、自分たちの輪の中にマリーとミリーを迎え入れた。
「よお、美人の魔女が二人増えて三人になったぜ。今日は朝までパーティーといこうぜ。なんならこいつら船に乗せて食事当番でもやってもらうか。船ん中は野郎ばっかでむさくるしくっていかんからなあ。よし決まりだ。姉ちゃんたち、船まで来いや!」
リーダーらしき男がミリーの腕を乱暴につかむとミリーは反射的に払いのけた。
「怖いよおじさん。そういうことするとミリー怒っちゃうよ!」
機嫌を損ねたミリーの体に電流が流れ始め、周りにいた男たちが次々に感電した。
「ぎいい! ひいい! あああああ!」
驚いた男たちは一斉に逃げたが、マリーはリーダー格の男を捕まえて言った。
「聞きたいことがある。お前はジョーという魔族の男を知っているか? 知らなければ知っていそうな者のところへ案内して。それすらできないというなら死ぬかもね」
氷のようなマリーの瞳に恐怖した男はぺこぺこと頭を下げて言った。
「港に行けば知っている奴がいるかもしれねえから許してくれ!」
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