魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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溶けちゃう! 魔法熟女の熱いキス

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「……なんやなんや? ウチを置いていったくせに大ピンチかいな? いい気味や」
魔法少女と相対するマリーとミリーのところへモモが飛んできてからかうように笑った。
「なんだ、どうでもいい妖精は生きてたのか。ミリー。姉さんは大丈夫だから王子さまに被害がないよう守ってて。私は魔法少女をやる。頼むよミリー」
マリーはそう言ってステッキを構えている魔法少女ミレドを見て微笑んだ。
「はあ? おばさんがミレドをやるってどういう冗談? 頭平気? もうボケてるの?」
ミレドが鼻で笑ったとき、怪鳥の大群が一斉に悲鳴のような鳴き声をあげた。
「アチョア! ホアア! グギョアアア! ホギョオオ!」
すると怪鳥たちは紅蓮の炎に包まれて一匹残らず灰になった。
「……美味いさけだったよ爺さん。ところでおかわりはないのかい?」
灰の中から無傷のメリーが立ち上がったが、まだ酔っているようでふらふらしていた。
「……え? なんで? マジ? ありえない! ミレドの僕は超強いのに、あれ?」
動揺を隠せないミレドにじりじりとマリーが近づくと、ミレドは慌ててステッキを振り回し、攻撃呪文を唱え続けた。
「ネシ! ロエキ! レバタク! スロコ!」
それらの呪文はマリーにはまったく通じず、マリーは微笑みながらミレドに近づいた。
「寄るなババア! キモイ! 年増! 熟女! ウソですお姉さま!」
ミレドは必死に叫んだが、マリーは微笑んでミレドの唇にキスをした。
「……ぐ! ンンン! んぷはっ」
マリーが唇を離し、ミレドが一息つくとミレドの小さな体が膨らみ始めた。
「え? 何? ミレドってデブになるの? イヤ! イヤ! きゃああギャアア!」
ミレドの体は風船のように膨らみ続け、パンパンに張り詰めて弾け飛んだ。
「……な、なんや? マリーはん、何をしたんや? 魔法少女が一瞬で!」
モモが恐怖で震えながらマリーに聞くと、マリーは小さな声で答えた。
「唾液を沸騰させただけ」
「姉ちゃん! 王子さまは無事だよ。今の魔法少女可愛かったねえ」
ミリーの背中からダイヤが顔を出し、メリーとマリーに頭を下げた。
「いちいちお礼しなくていいよ。坊やのおかげで久しぶりに美味い酒が飲めたウィ~~」
「ホンマにお前ら魔法少女より断然強いんやな。これなら旅はすんなり終わるかもなあ」
酔いが覚めない様子のマリーを見てモモは飛びながらつぶやいた。
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