魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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王子を守る魔法熟女たち

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「おのれ虫以下の怪物の分際で王子さまに牙を向くなどと許せぬ。永遠に眠れ!」
マリーが青い瞳で巨大狼をきっとにらみ、ふっと息を吹くとたちまち狼は凍った。
すると草むらから続いてゾンビウルフたちが現れて凍った巨大狼に近寄ったが、そのゾンビウルフたちもあっという間に凍りついた。
「さあ王子さま、こんな汚らしい怪物の氷像など見てはいけませんよ。進みましょう」
恐怖におびえて黙っていたダイヤの頭ををマリーがなでるとダイヤはつぶやいた。
「魔女のお姉さまがた、本当にありがとうございました。素晴らしい戦いを見てボクにも勇気が湧いてきました。もう怖くありません。今後もよろしくお願いします」
ダイヤのお礼を聞いてもメリーは無視したが、マリーは満面の笑みを返した。するとミリーが不満そうに言った。
「ねえねえ、ミリーも王子さまにやればできるってとこ見せたいなあ。次に怪物が出たらミリーに任せてね、お願いお姉ちゃんたち」
一行が街道をさらに進むと大きくきれいな池が見えてきた。歩くことに慣れていないダイヤが疲れた表情を見せたので、メリーたちは池の近くで休憩することにした。
「なあなあ、ウチ腹減ったわ。この池で魚釣りでもしてウチに食わせてくれへんか?」
モモが飛び回りながらメリーたちに頼むとミリーがモモに尋ねた。
「魚釣りってどうやってやるの? ミリーやってみたい。教えてモモちゃん」
するとメリーが笑いながらモモを捕まえ、思い切り池の中へ投げ込んだ。
「のわあ! な、何すんねん! おぼれてまうやろウボボボボ……」
池の表面でじたばたと暴れるモモの周りに水中から次々と黒い影が浮かび上がってきた。
「……嫌ねえ。半魚人とかそういう類の怪物だわ。面倒だからミリーに頼むわ」
人間と魚が入り混じった姿の怪物が水面に現れるとメリーが面倒くさそうに言った。
「わかったよマリーお姉ちゃん。危ないからちょっと離れててね。いくよ!」
ミリーの黄色いショートヘアが次第に逆立ち始め、ミリーの全身が電気をまとった。
「モモちゃんが死なない程度にいくよエレキックダンス、えい!」
ミリーが全身を光らせながら妙な踊りを踊ると池全体に電流がほとばしった。すると池の中にいた全ての半魚人たちが焼け焦げて浮かび上がり、白い腹を見せた。
「ねえねえ王子さま、ミリーの魔法見てくれた? すごい? 久しぶりに踊ったよ!」
池に浮かび上がった怪物たちの死骸を見たダイヤはあまりの光景に気絶していた。池からはしびれたままのモモが這い上がったが、メリーたちはダイヤを抱いて先に進んだ。
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