魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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手がかりは魔族の男

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「……ここがサフジだったかねえ? アタシはしばらく村から出てなかったから忘れちまったよ。マリー、ミリーは覚えてるかい?」
グロウ村を出て先頭を歩いたメリーは街道沿いのさびれた村を見て妹たちに尋ねた。
「私も忘れました姉さん」「ミリーも覚えてないよ姉ちゃん」
「なあなあ、それよりお前らホウキとかで飛ばれへんの?」
てくてくと歩き続ける三姉妹を飛びながら見下ろすモモがそれとなく聞いた。
「若いころは飛べたんだよ、若いころはな! もう一度聞いたら燃やすぞ!」
メリーの手のひらに炎の玉が浮かび上がったのでモモはミリーの帽子に隠れた。
「あのねモモちゃん。ホウキさんたちが言うこと聞かなくなったときに姉ちゃんがホウキさんたちを全部燃やしちゃったんだよ。だからモモちゃんも気をつけてね」
その間にもメリーはきょろきょろと村を見回していたが、やがて何かに気づいた。
「ああ、思い出したよ。確かにここはサフジだ。かすかに魔族男の魔力を感じるよ」
メリーが言いながらずんずんと村に入っていくと、年老いた人間の男が慌てて逃げたのでメリーは捕まえて問いただした。
「逃げるな、逃げたら村ごと燃やすぞ。ちょっと聞くが、ここに魔族の男ジョーがいるはずだ。久しぶりに会って話をしたいから連れて来い」
すると人間の老婆が近寄ってきてメリーに言った。
「ジョーさまなら魔法少女に連れて行かれちまったよ。村主がいなくなってこの村はさびれちまったんだ。みんなジョーさまが好きだったんだけどねえ」
涙を流す老婆を見てマリーが言った。
「魔族のジョーといえば優しげで顔のいい男だったから姉さんのお気に入りだったね」
マリーの言葉にメリーは黙っていたが、老婆が口を開いた。
「ああ、あんたらはグロウ村の魔女さんたちか。昔はよく遊びに来てたねえ。あれまあ、すっかり年をとっちまって。べっぴんさんになったねえ」
長い話になりそうなところでモモが三姉妹に提案した。
「そのジョーとかいう男を探し出せば魔法少女どもの動向や魔王さまのことも何かわかるかもしれへんな。婆さん、ジョーはどこに連れてかれたんや?」
モモの質問に対し、老婆はうなだれて言った。
「この辺で魔法少女がいるのは都会のハマヨだろうね。村人は怖がって行かないよ」
老婆の話を聞くと三姉妹たちは村を出てハマヨへ向かった。
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