7 / 122
手がかりは魔族の男
しおりを挟む
「……ここがサフジだったかねえ? アタシはしばらく村から出てなかったから忘れちまったよ。マリー、ミリーは覚えてるかい?」
グロウ村を出て先頭を歩いたメリーは街道沿いのさびれた村を見て妹たちに尋ねた。
「私も忘れました姉さん」「ミリーも覚えてないよ姉ちゃん」
「なあなあ、それよりお前らホウキとかで飛ばれへんの?」
てくてくと歩き続ける三姉妹を飛びながら見下ろすモモがそれとなく聞いた。
「若いころは飛べたんだよ、若いころはな! もう一度聞いたら燃やすぞ!」
メリーの手のひらに炎の玉が浮かび上がったのでモモはミリーの帽子に隠れた。
「あのねモモちゃん。ホウキさんたちが言うこと聞かなくなったときに姉ちゃんがホウキさんたちを全部燃やしちゃったんだよ。だからモモちゃんも気をつけてね」
その間にもメリーはきょろきょろと村を見回していたが、やがて何かに気づいた。
「ああ、思い出したよ。確かにここはサフジだ。かすかに魔族男の魔力を感じるよ」
メリーが言いながらずんずんと村に入っていくと、年老いた人間の男が慌てて逃げたのでメリーは捕まえて問いただした。
「逃げるな、逃げたら村ごと燃やすぞ。ちょっと聞くが、ここに魔族の男ジョーがいるはずだ。久しぶりに会って話をしたいから連れて来い」
すると人間の老婆が近寄ってきてメリーに言った。
「ジョーさまなら魔法少女に連れて行かれちまったよ。村主がいなくなってこの村はさびれちまったんだ。みんなジョーさまが好きだったんだけどねえ」
涙を流す老婆を見てマリーが言った。
「魔族のジョーといえば優しげで顔のいい男だったから姉さんのお気に入りだったね」
マリーの言葉にメリーは黙っていたが、老婆が口を開いた。
「ああ、あんたらはグロウ村の魔女さんたちか。昔はよく遊びに来てたねえ。あれまあ、すっかり年をとっちまって。べっぴんさんになったねえ」
長い話になりそうなところでモモが三姉妹に提案した。
「そのジョーとかいう男を探し出せば魔法少女どもの動向や魔王さまのことも何かわかるかもしれへんな。婆さん、ジョーはどこに連れてかれたんや?」
モモの質問に対し、老婆はうなだれて言った。
「この辺で魔法少女がいるのは都会のハマヨだろうね。村人は怖がって行かないよ」
老婆の話を聞くと三姉妹たちは村を出てハマヨへ向かった。
グロウ村を出て先頭を歩いたメリーは街道沿いのさびれた村を見て妹たちに尋ねた。
「私も忘れました姉さん」「ミリーも覚えてないよ姉ちゃん」
「なあなあ、それよりお前らホウキとかで飛ばれへんの?」
てくてくと歩き続ける三姉妹を飛びながら見下ろすモモがそれとなく聞いた。
「若いころは飛べたんだよ、若いころはな! もう一度聞いたら燃やすぞ!」
メリーの手のひらに炎の玉が浮かび上がったのでモモはミリーの帽子に隠れた。
「あのねモモちゃん。ホウキさんたちが言うこと聞かなくなったときに姉ちゃんがホウキさんたちを全部燃やしちゃったんだよ。だからモモちゃんも気をつけてね」
その間にもメリーはきょろきょろと村を見回していたが、やがて何かに気づいた。
「ああ、思い出したよ。確かにここはサフジだ。かすかに魔族男の魔力を感じるよ」
メリーが言いながらずんずんと村に入っていくと、年老いた人間の男が慌てて逃げたのでメリーは捕まえて問いただした。
「逃げるな、逃げたら村ごと燃やすぞ。ちょっと聞くが、ここに魔族の男ジョーがいるはずだ。久しぶりに会って話をしたいから連れて来い」
すると人間の老婆が近寄ってきてメリーに言った。
「ジョーさまなら魔法少女に連れて行かれちまったよ。村主がいなくなってこの村はさびれちまったんだ。みんなジョーさまが好きだったんだけどねえ」
涙を流す老婆を見てマリーが言った。
「魔族のジョーといえば優しげで顔のいい男だったから姉さんのお気に入りだったね」
マリーの言葉にメリーは黙っていたが、老婆が口を開いた。
「ああ、あんたらはグロウ村の魔女さんたちか。昔はよく遊びに来てたねえ。あれまあ、すっかり年をとっちまって。べっぴんさんになったねえ」
長い話になりそうなところでモモが三姉妹に提案した。
「そのジョーとかいう男を探し出せば魔法少女どもの動向や魔王さまのことも何かわかるかもしれへんな。婆さん、ジョーはどこに連れてかれたんや?」
モモの質問に対し、老婆はうなだれて言った。
「この辺で魔法少女がいるのは都会のハマヨだろうね。村人は怖がって行かないよ」
老婆の話を聞くと三姉妹たちは村を出てハマヨへ向かった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる