魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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魔王城目指して冒険開始

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「はじめまして、魔女のお姉さまがた。ボクがダイヤです。堕天使のモモに連れられてここまで来ました。どうかお姉さまがたのお力でボクたちを助けてください。お願いです」
おずおずと言い、光るブロンドの頭をぺこっと下げたダイヤの姿に一同は息を飲んだ。
「あなたが王子さま? きらきら光って素敵ねえ。ねえ姉ちゃんたち?」
ミリーの問いにメリーとマリーはそれぞれの反応を見せた。
「アタシはこういう弱っちい感じの坊やは趣味じゃないね。マリーの趣味だろ?」
メリーが言い捨てるとマリーはぷいと顔をそらしてつぶやいた。
「……可愛いと言えなくもないし素敵と言えなくもないが私のものにしたいとは言えないし王子さまだから私では釣り合いが」
ほんのり頬を赤くしたマリーを見たモモがにやりと笑った。
「ほな、そういうことでダイヤさまとウチのために魔王城へ行くで。冒険の始まりや!」
モモは嬉しそうに羽ばたいて右手を高く天に上げたが、乗り気ではなさそうなメリーを見てその右手を下ろした。
「なんやねん、メリーさんは冒険とか好きそうやのに嫌なんか?」
「冒険はどうでもいい。その旅路に戦いはあるのか? 戦いがあるなら旅立ってもいい」
メリーが答えるとモモはすかさずまくし立てた。
「あるある。そらもうごっつい戦いの連続や。何しろ悪い魔法少女たちが王子を狙ってわんさか襲い掛かってくるはずや。手下の怪物たちもてぐすね引いて待ち構えとるやろ。そこであんたら魔法熟女いや素晴らしい魔女さんたちのごっつい魔法が役に立つんや。ホンマ頼むで。なんせ王子もウチも戦いではからきし役に立たんから、守ってほしいねん」
モモが言い終わるとミリーが言った。
「ミリーも戦いは苦手だけど王子さまとモモちゃんのためにがんばってもいいよ」
ミリーが言うと、ダイヤをじっと見つめていたマリーが口を開いた。
「そうね、魔法帝国の大事な王子さまだから守らないとね、国民として。私も冒険だの戦いだのは嫌いだけど王子さまを守るためなら国民として魔法を少し使ってもいいわ。少しならね、国民として」
ぼそぼそと言ったマリーの言葉を聞いたモモは再び右手を高く上げた。
「ほな出発や! 目指すは魔法帝国最果ての魔王城や! レッツゴー!」
こうして魔法熟女グロウ三姉妹とダイヤ王子と妖精モモは長い冒険に出ることになった。
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