ドS編集M男と少し売れてる漫画家A子

君といつまでも

少女漫画家たちは恋愛の邪魔をしてしまう

夕方、M男が入院している病院を美しい夕焼けが照らしていた。
M男は自ら発した求婚の言葉に対する看護婦の返事を待っていた。
「お気持ち、すごく嬉しいです。M男さん、私なんかでよければ……」
M男に求婚された看護婦はベッドに寝ているM男の両手を握り締めながら涙をこぼした。
その表情を見たM男の涙腺は崩壊し、目の前の看護婦を抱きしめたいと心底から思った。
「M男さん！　何泣いてるんですか？　看護婦さんに注射されて痛いんですか？　やだあ」
M男が寝ている大部屋に入ってきたA子の大声が響いた。
「あら？　M男さんってば看護婦さんと見つめ合ったりしちゃって怪しい！　怪しいわ！」
A子に続いて大部屋に入ってきたC子はM男と看護婦を見てクスクス笑いだした。
「M男さん？　お見舞いの方ですか？　もう時間外ですよ。規則はちゃんと……」
先ほどまで涙をこぼしていた看護婦の表情は曇り、いぶかしむ目つきでM男を見た。
「あの、見舞いというか取引先の相手なんですよ看護婦さん。すみません」
「ええ？　私たちって取引先なの？　M男さんってそういうこと言うんですか？」
C子は驚いたように笑い、つられてA子も笑いだした。
「私はM男さんに頼まれて漫画を描いているA子ですよ看護婦さん。取引相手のね」