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怖い魔女と結婚しちゃいました

女子プロレスラーとダーリン

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 そこはアメリ国でも特に人気がある女子プロレス団体WXYの試合会場でした。
 ワトスンポスト紙スポーツ部のデスクに取材を頼まれたトーマスは取材を申し込みました。
 すると、すんなり取材許可が出ました。そしてトーマスとライアンはリングに招かれました。
「さてお二人さん、取材の前にプロレスの痛みを体で味わってもらうよ。来な!」
 リング上から手招きしたのはトップヒールと呼ばれる美人プロレスラー、アグネスでした。
 トーマスが恐る恐るリングに上がると数人の女子プロレスラーに囲まれました。
「おら! ドロップキック! うら! ソバット! 地獄突き! チョップ!」
 次々と打撃技を食らったトーマスはリング上に倒れました。
「まだまだ! おうらブレーンバスター! バックドロップ! スリーパーホールド!」
 連続技で意識を失いかけたトーマスを見て、アグネスはトップロープから飛びました。
「死ねえ! 必殺ムーンサルトボディプレス!」
 そのときトーマスは意識を取り戻し、舞い降りてきたアグネスの体をがっちり抱きとめました。
「……君は美しい。ふわふわで茶色の巻き毛が可愛らしい。そして柔らかい体も素敵だよ」
 トーマスはアグネスを強く抱きしめながら耳元にささやきました。
「や! やめろ! 耳がくすぐったい! な、なんて男だこいつ!」
 アグネスが気分を害したため、試合前の練習はそこで終わりになりました。
 そして控室に戻ったアグネスはトーマスを呼び、ある決定事項を伝えました。
「今夜の対戦相手はお前に決めた! 全身タイツを着て女になれ! 私の技を全部受けろ!」
 こうしてトーマスは女子レスラーに扮装し、ウサギの仮面をつけて試合に出ました。
 試合開始早々にアグネスの膝蹴りが急所に当たり、ウサギ仮面はKOされました。
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