夕日と白球

北条丈太郎

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白球を追う少年たち

不祥事発生! 野球部の危機!

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 ある日の午後、野球部キャプテン坂本辰馬は職員室に呼び出された。
「坂本君、困ったことが起きてね。君の野球部の部員が校舎裏でケンカをしたそうなんだよ」
 まず、坂本に話しかけたのは体育教師の権藤であった。
「サッカー部だった千田洋一が君の野球部に入部しただろう。その千田がやらかしたんだよ」
 生徒指導を担当している教師が権藤に続いて言い、眉をしかめて咳ばらいを一つした。
「何人もの生徒が目撃したんだ。ケンカの相手はあの不良だ、八木大吾だ」
 八木大吾という名前を聞いた坂本はすぐに思い当たり、八木のいかつい顔を思い出した。
「先生! そのケンカの件は僕がなんとかします! 八木と千田を仲直りさせます!」
 坂本が大声を出したため、職員室中の教師が坂本に注目して黙った。
 放課後、坂本は八木大吾がいつもいるという体育館裏に向かった。
「八木君、野球部の千田が君とケンカした件はキャプテンの僕が謝る! 許してくれ!」
 坂本が頭を下げると八木は立ち上がり、鋭く小さな目で坂本の坊主頭をにらみつけた。
「キャプテンさんよお、謝るのは千田のボケやろ! 千田連れてこいや! アホンダラ!」
「それはできない。またケンカをしたら大変だ。僕が土下座でもするから許してやってくれ」
 坂本の言葉を聞いた八木は思わず笑い、その巨体を揺らした。
「アホか! たかがケンカの件で先輩が後輩に土下座するんか? やってみいや先輩!」
 八木が笑いながら言ったとき、坂本は地面に膝を立てて土下座していた。
「……これで許してくれ。それと、できれば君も野球部に入ってくれ! 頼む!」
 土下座を繰り返す坂本の姿に圧倒された八木は苦笑し、そして大笑いした。
「……先輩にゃかなわんな! よしゃ入部したるか! ほな野球部内でケリつけるで!」
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