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鈴の死
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「猿は仕留めたよ。でもこいつは小物だ。本命が近くにいる」
木の下に落ちた人影の喉には何かが刺さっていた。
「種子島は使うんじゃないよ。居場所を知らせちまう」
鈴の言葉で遼次は短筒を懐にしまった。
「やっぱり軒猿だな。ここらに潜んで俺らを狙うなんて」
亘が言いかけたとき、鈴は素早く十郎の後ろに回りこんだ。
「後ろだよ。本命は後ろから来る!」
十郎は全神経を後方から来る敵の気配に向けた。
(……奴だ。奴が来る。姫を守らねば)
「あっ! し、しまった。や、やられちまった」
小さく叫んだ鈴の耳元から血が流れ出した。
「面倒な伊賀者は片付けた。次はお前だぞ小僧。戸隠で殺してやる」
森林に加藤の笑い声が響き、しばらくして静けさが戻った。
「しっかりしてくれ鈴。もうすぐ武田の殿様の城だ。そこで診てもらおう」
ふらふらになった鈴を背負い、亘は急ぎ足で山道を登った。
「あれだ、あれだぞ鈴。あれが躑躅が崎館だ。あそこに行けば安心だ」
「……そうかい。なら私の仕事は終わりだね。キノ姉さんによろしく」
「……あ、あんた亘とかいったっけ。わ、私の好みだった、よ」
亘の大きな背中で鈴は血を吐き、絶命した。
木の下に落ちた人影の喉には何かが刺さっていた。
「種子島は使うんじゃないよ。居場所を知らせちまう」
鈴の言葉で遼次は短筒を懐にしまった。
「やっぱり軒猿だな。ここらに潜んで俺らを狙うなんて」
亘が言いかけたとき、鈴は素早く十郎の後ろに回りこんだ。
「後ろだよ。本命は後ろから来る!」
十郎は全神経を後方から来る敵の気配に向けた。
(……奴だ。奴が来る。姫を守らねば)
「あっ! し、しまった。や、やられちまった」
小さく叫んだ鈴の耳元から血が流れ出した。
「面倒な伊賀者は片付けた。次はお前だぞ小僧。戸隠で殺してやる」
森林に加藤の笑い声が響き、しばらくして静けさが戻った。
「しっかりしてくれ鈴。もうすぐ武田の殿様の城だ。そこで診てもらおう」
ふらふらになった鈴を背負い、亘は急ぎ足で山道を登った。
「あれだ、あれだぞ鈴。あれが躑躅が崎館だ。あそこに行けば安心だ」
「……そうかい。なら私の仕事は終わりだね。キノ姉さんによろしく」
「……あ、あんた亘とかいったっけ。わ、私の好みだった、よ」
亘の大きな背中で鈴は血を吐き、絶命した。
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