わがまま王女ルビイの冒険

怪しい影

「……ふむ、これは珍妙な味じゃ。気に入った。おかわりじゃ！」
宿屋の田舎料理に目を丸くしたルビイは思う存分食べました。
隣ではクリスが宿屋秘蔵の高級酒をうわばみのように飲んでいました。
「さてルビイさま、しょぼい宿屋ですがスイートルームに行きましょう」
「うむ、確かにもう眠いぞ。では城に帰るとするか」
「いえいえ、私たちは冒険中ですよ。王子さまを探して強制結婚ですわ」
「面倒くさいのう。ならばとりあえず部屋に行くか」
ルビイとクリスがスイートルームに着くと、部屋の扉が開いていました。
「……ルビイさま、中に誰かいるかもしれません。ご注意を」
ルビイが部屋を覗くと、部屋はがらんとしていました。
「ル、ルビイさま、あ、怪しい者が！　ああ、なんてことでしょう」
振り向いたルビイはクリスの横に信じられない人影を見ました。